アメリカの裁判もオンライン化_1280

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1280回 弁護士 鈴木淳司
September 13, 2021

先日ひさしぶりに病院に用事があって行ったら、医者に捕まりました。
左腕にインフルエンザ、右腕に三種混合を打たれ、さらに検査もしろということで血を抜かれました。
ある意味コロナ時期の精算です。血液検査の結果は翌日メールで送られてくるので便利なものです。
おかげさまで、コレステロール、中性脂肪、血糖値などまったく問題がなく安心しました。
みなさんは健康チェックされていますか。

アメリカの裁判もオンライン化_1280

 さて、今回から新しくいただいている質問をみなさんと一緒に考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると、「現在、離婚裁判中です。妻からの申立で、私は自分で対応しています。今度裁判所から調停をビデオ会議システムで行うという通知が来ました。ビデオで別居中の妻と会うのはあまり気が進まないのですが、どのようにおこなわれるのかビデオ会議の実情を教えて下さい」というものです。

裁判再開は刑事事件から

 コロナ禍になり、一時的に裁判所も業務を停止していましたが、ワクチンの普及とともに活動を工夫しながら再開しています。
以前にも法律ノートで取り上げました。
一部では、実際に法廷での活動もはじまっていますが、主に刑事事件がメインです。迅速に裁判を受ける権利があるからです。
もちろん、民事事件も再開されていますが、まだ多くは法廷で行われるということはなく、ビデオなどを利用している実態があります。 

ビデオシステム利用の調停も

 さて、私自身、コロナ禍における離婚裁判の調停経験が実際にありませんが、通常の民事事件の調停はコロナ禍で何度か経験があります。
やはり生で調停人を挟んで主張し合うのとは異質ですが、それなりにビデオの調停も機能しているものだな、とは思いました。
事件によって、今後はビデオでの調停が主流になるかもしれません。

雰囲気だけではなく、当事者の顔色などはビデオでは確認できないなどのデメリットもありますが、家や事務所を離れずに調停ができるというのは、手軽であることは間違いありません。
笑ってしまったのは、私がビデオ会議を通してしか会ったことがない関係者が、実際に私を見ると背が高いのでびっくりするということです。
なんとなく日本人って小さいと思っているのでしょうね。
185センチの大男が出てくるとはビデオではわからないのです。

利用するアプリは裁判所主体で

 現状では、各裁判所でマチマチなビデオ会議システムを取り入れています。
たとえば、アラメダ郡ではBluejeansというシステム、サンタクララ郡では、Teamsというシステムを使っています。
ですので、今回質問されている方の事件に関しても事前に裁判所から指示があり特定のビデオ会議システムを使う必要があるのだと思います。
まあ、どのビデオ会議システムも似たりよったりなわけですが、裁判所が使う場合には基本的に裁判所側がコントロールをすることになります。

調停の進行方向も様々

私の経験では、ビデオ会議システムによる調停の進行は主催側の都合でマチマチですが、私が出席した調停では、裁判所がまずは全員を映しだして一般的な内容を説明してから、裁判所側の操作で、各当事者とその弁護士が交互に映し出されて、各々の主張をしていくという形になりました。

もう一つのケースでは、はじめからすべての出席者を一同に映し出さず、交互に話を聞き、必要に応じて、双方の弁護士と裁判所で話をするといった形を取っていました。
和解が成立した場合、全員がビデオに映し出されて、シャンシャンということになります。

残念ながら私がコロナ禍で関与した事件は、すべて調停で和解しませんでした。
したがって、最後にどうなるのかわからないのです。
和解した場合、その場で簡単な和解契約書を通常はつくるのですが、どうやってビデオのシステムでやるのでしょうか。
たぶん、電子メールを使って、お互いにサインをするのでしょうかね。

「元配偶者に顔を合わせたく無い」調停人に希望を伝えてみる

今回質問されている方も、ビデオ会議システムがどのように行われるのか不安でしょうが、もし相手方の元配偶者とあまり画面を共有したくなければ、調停がはじまるときに調停人になる裁判官などに、そのように伝えたら良いと思います。

もちろん、裁判所や調停人はそれぞれのコロナ禍における独自のルールはあるでしょう。
しかし、一方、調停というのは裁判上(裁判外でも可能ですが)の手続きであるものの、ある程度自由度があります。
ですので、当事者であっても、要望があれば調停人に伝えたら良いと思います。

コロナ禍なので、当事者であっても、裁判所でもあっても、譲り合ってやっていくことも必要だと思います。
今回相談されている方も、自宅から調停に出席できますので、リラックスした環境で、緊張せずに、がんばってください。

また、次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。

秋の訪れです。これから、夜も寒くなっていくでしょうから、体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。

アメリカ コロナ禍の裁判_1273

アメリカ コロナ禍の裁判(2)_1274

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作成者: jinkencom

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