アメリカで結婚した娘、日本で離婚できる?(1)_1080

Golden Gate sanfran

法律ノート 第1080回 弁護士 鈴木淳司
Oct. 24, 2017

 火事が相次いでいた北カリフォルニアにやっと恵みの雨が降りました。かなり雨が降ったのですが、それでも火事が完全に鎮火するわけではないのですね。火事に注意といっても、今回のように強風で火の広がりが早いと注意しようがないですね。まだ、色々な傷が癒えていない状況ですが、復興をしていかなければなりません。何かできることがあったら手伝いたい気持ちでいっぱいです。

アメリカで結婚した娘、日本で離婚できる?(1)_1080

 さて、今回から皆さんからいただいている新しい質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると「日本に住んでいる者(夫婦)です。私どもの娘が米国に留学していたのですが、精神的な病で日本に戻ってきました。現在、私どもと同居をしながら治療を続けています。多くは話さないのですが、アメリカ人男性と結婚して、結婚生活がうまくいかなかったようです。最近この男性から私どもに連絡があり、どうも日本に来て話し合いたいということでした。娘は会いたくもなく離婚をしたいということでした。こういった場合、本人がアメリカに行かないと離婚をすることができないのでしょうか」という質問です。

親といえども本人以外に離婚のアドバイスは難しい

 今回の質問は、お答えするのに少々困った状況であります。本来であれば離婚をしたいという意思を持っている娘さんが質問をされるべきであり、親御さんといえども、婚姻関係についてはある意味第三者であります。そうすると、細かい事情もわかりませんし、どのような婚姻関係にあるのかもよくわかりません。一方で、娘さんが実家に居るわけですから、親御さんにとっても影響のあることではあります。

 一般論として、本来娘さんが離婚をしたいということで相談をしなければ、弁護士は多くのアドバイスはできません。第三者に対して、他人の離婚についてアドバイスをしているようなものです。今回の質問は詳細が書かれておらず、推測しながら考えていかなければならない状況にあります。以下、がんばって考えていきましょう。

婚姻証明(Marriage Certificate)の発行により成立する婚姻

 さて、最初に考えなければならないのが、質問されている方の娘さんが、どこで誰といつ結婚したか、ということでしょうか。アメリカにいてアメリカ人と結婚しているわけですから、アメリカで留学中に婚姻したと考えられます。

 婚姻は日本でいう婚姻届の受理、アメリカでは婚姻証明(Marriage Certificate)の発行によって成立します。したがって、どこの州のどこに婚姻申請をしたのか確認する必要があります。

 もしアメリカで婚姻をしていた場合、簡単なのはアメリカ内で離婚の申立をすることです。できれば婚姻をした州で行えば、情報等も州内にとどまっているのですから、色々な作業が省略できる可能性があります。

 問題は、米国では一般的に、離婚を申し立てるためには、その申し立てを行う裁判所が管轄する地域に少なくとも6ヶ月住んでいなければならないという居住要件があります。したがって、現在娘さんが日本に帰ってきている状況では、どの程度の長さ実家に留まっているのかわかりませんが、居住要件を満たさないという可能性もあります。

 居住要件には色々な例外もありますので、まずは最後に娘さんがお住まいだった地域の弁護士に相談されるのが良いかもしれません。もちろん、相手方男性も離婚に合意をしているのであれば、話がはやいです。

裁判所の判決がないと離婚が成立しないアメリカ

 アメリカと日本の離婚手続きの違いは、日本では離婚届という行政に対する届出をすれば、離婚が成立しますが、米国では、形式的ではありますが、裁判所の判決がないと離婚が成立しません。しかし、判決まで必要とはいっても、お互いに争いがなければ合意によってスムーズに離婚まで持っていくことは可能です。

 ただ、今回質問にあるような状況では娘さん本人が本当に離婚の意思を持っているのか確認しなければなりません。ご両親が「離婚をさせたい」と思っても、本人がいくら病気でも、本人の意思がなければ離婚は難しいことになります。

 家族同士で話合いが難しければ、第三者を介して、娘さんの意思を確認することが必要になります。その意思を確認したうえで、娘さんが弁護士を選任し、離婚の手続きをアメリカまたは場合によっては日本で進めていくことになると思います。

 ここからさらに次回考えていきたいと思います。まだ、暑い日もありますが、朝晩は冷え込んできましたね。仕事であちこち出かけることが続き、私はなぜか寝ても寝ても寝足りないような一週間でしたが、英気を養いつつ、秋を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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