July 19, 2012
オリンピックがはじまりましたが、中国の金メダル獲得の勢いはすごいですね。ぜひ日本や韓国にもがんばってもらいたいものです。皆さんはどの種目に注目されているのでしょうか。
ビザ取得と入国は別の次元
さて、日本人を含め、多くの外国人の方々が、いったん米国に入国するビザやビザ無し渡航の許可をもらえば、アメリカに入国できないのはおかしいということを思われているようです。
いったん入国の書類が整ったのに、アメリカに入国できないというのは、違法なのでしょうか?
まず、ビザを持っていたとしても入国が拒否される場合があります。
たとえば、虚偽の事実をつかって申請書を作成した場合や、ビザ発給後に刑事事件において有罪となった場合などです。また、入国審査において、ビザの発給目的とは違う意図をもってアメリカに入国しようとした場合には、入国が拒否される場合もあります。たとえば、学生ビザをもっている人が、実際は働く意図を持っているような場合です。
このように、ビザを取得したり、事前にビザなし渡航の許可を得ていても、入国が拒否されるという事例は往々にして発生しています。
アメリカ政府の裁量ー決定権を持つのは米政府
なぜこのようなことになるのかというと、米国への入国については、アメリカ政府の広範(広汎)な裁量によって可否が左右されます。
ある人は入国が許されているのに、ある人は許されない、という事例は耳にされたことがあると思いますが、これは、アメリカ政府は外国人の入国の可否を判断する権限を広範にもっているから起こることなのです。
なぜこのようにアメリカ政府は移民行政において広範な力を持っているのか。それは移民法の性質と密接に関係しています。
ここで移民行政の位置づけを考えていきたいと思います。
アメリカ移民法
アメリカでは「移民法」というのは、Immigration and Nationality Actを指します。すなわち立法府である議会が制定した、出入国および滞在を管理する法律を言います。
このような法律は各国にあり、日本では出入国管理及び難民認定法という法律がこれにあたります。たしかに「法」とついていますが、これらの出入国に関する法律を運用するのは行政府であります。
アメリカでは、Homeland Securityという行政機関、日本では入国管理局という行政機関が法律を主に運用しています。行政機関が主に扱う法律ですから、通常の法律とちょっと趣が異なります。
たとえば、民法というのが日本でもアメリカでも存在します。お金を払わなければ、そのお金を回収するために訴訟を提起するということは、誰でも可能です。法律に基づいて自分の権利を実現するという感じでしょうか。この場合、自分の権利を実現するために裁判所に訴を提起することになるわけです。
移民法の条項を根拠にすぐに提訴はできない
ところが移民法については、移民法に基づいて裁判所に対して訴えの提起をするという性質を持っていません。
移民法には主に入国にはどのような要件が揃っていなければならないのかが書かれていて、どのような条件を満たせば合法的に滞在できるのかが規定されています。
ですから、外国人が直接自分の入国を求めて裁判所に提訴するというよりも、まずは行政機関である移民局に入国許可を求めるのが第一歩になるのです。
このように、出入国に関する法律は、人々の権利を実現するためというよりは、移民局に対してどのような場合に入国を許すのかというガイドラインを与えている感じだと思ってください。移民法は、アメリカ行政府の広範な裁量を行使できるように枠組みがつくられているのです。
外国人は入国の「権利」を持たない
アメリカ行政府がどの外国人をいれるかいれないかについて、なぜ広く裁量を持っているかというと外国人は基本的にアメリカに入国する「権利」を持っていないからです。
これは、どの国も一緒であって、日本にアメリカ人が入国する権利というのは基本的に持たないことと同じです。自国民はともかく、外国人が権利を主張して、他人様の国に自由に入れたら世界の秩序はとんでもないことになってしまいます。
ですので、外国人がアメリカに入国することについては「権利」ではないのです。権利ではないので、基本的にビザを発給するかどうか、そして入国させるかどうかについては、アメリカ政府の広範な裁量が認められているのですね。
外国人がいったんアメリカに入国を許された場合には、移民法や選挙に関する適用を除いては、適正手続が保障されています。この点については今回考えません。
ただ、入国が許可されるまでは、外国人の権利は非常に限定されているということを感覚的で良いので、覚えておかれると良いと思います。
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