September 05, 2005
もう9月になっちゃいましたね。サンフランシスコはこれからインディアンサマーが来ますので、暑くなる日も増えるのですが、世間一般では秋ですね。一年間が毎年加速していくように感じる今日この頃ですが、自分の健康管理をしながら、残りの数ヶ月を過ごしていきたいと思っています。皆さんも、これからくる秋を楽しみにされているのでしょうか。
さて、今回はL1ビザに関して変更された法律に関して考えていきましょう。
2004年12月8日にブッシュ大統領が署名してthe Omnibus Appropriations Act (OAA)という法案が成立しました。この中に、L1ビザに関わる、L-1 Visa Reform Act of 2004 という部分が存在し、この部分をもとに実際の法律が制定されたのです。今回の法律の変更はどのようなものか、ある程度皆さんにも理解をしておいていただきたいと思っています。大きく分けて今回のLビザの変更点は2つあります。
一つめはL-1Bビザカテゴリーに関する変更点です。L-1Bビザとはもともと、専門的な知識がある関連会社(親子会社等)での海外駐在のために創出されたビザであり、例えば日本とアメリカに本社支社がある関係の会社で外国人を雇用するために使われてきました。ビザの内容自体はH-1Bビザとあまり変わりはなく、どこで線を引くのか不明確な部分も実際あります。要件的には少々違いがありますし、有効期限等でも長短が認められます。大きく違うのはH-1Bビザは毎年発行数の制限に付されますが、L-1Bビザはそのような制限がないということです。また、最低賃金の確保についても、両ビザで違いが認められます。
近時移民法および労働法で問題になっていたのが、L-1Bビザの濫用でした。アメリカの会社で国外に支店、支社を持つ会社が、国外、例えばインドで現地の人たちを雇用する。そして、数年を経て、本社勤務とするが、一般より低い賃金で雇用をする、という事態が発生しました。このため、アメリカの労働力に影響するだけではなく、外国人が不当な労働条件のもとアメリカ国内で移民法上は合法的に働く、ということが発生しました。また、本社勤務といいながらも、実際の勤務は別の場所であるということも多発し、発行上限数の設定されていないL-1Bビザの濫用ということにスポットライトがあたってきたのです。
今回の改正の動きの中で、L-1Bビザを廃止するという動きもありましたが、改正はある程度穏当な範囲で行われたと私は評価しています。L-1Bビザを受給できない場合として、(1)勤務地とは異なった場所での勤務を基本的には許さないこととした、そして(2)被用者の監督関係について強化した、という点です。
この新しい基準は2005年6月6日以降の申請分から適用されることになりました。申請分には新規、延長、内容の変更等が含まれます。簡単に言うと、外国人被用者がどのような体系でどのような場所で働くのか、より制限が増えたということです。
もう一つの変更点は、Lビザの一括申請(ブランケット・ペティション)に関するものです。一括申請とは、Lビザ特有の申請方法で、移民局に対してあらかじめLビザの枠を申請し、認められるとその枠内であれば、外国人はLビザの給付を受けることができるという制度です。この制度を使用することで、外国の会社はアメリカでビジネスをする際にスムーズに人を送り込めるメリットがあります。この制度に関して、大きなポイントではありませんが、変更されることになりました。今まではこの一括申請を通してLビザを取得するためには、少なくとも6ヶ月本社(または外国の支社等)で働くことを証明しなくてはLビザは発給されませんでしたが、今回の改正でこの期間が12ヶ月間に延長されました。この改正もLビザ濫用を防ぐための策として認められたものです。
以上の二点が今回のLビザの改正点であります。今回の改正点は制度の濫用を防止するというまっとうな考えに基づいていますので、私は妥当だと考えています。移民政策ではよく考えられた改正だと思っています。しかし、このような変更点を加えたからといって、実際にLビザ濫用対策になるかというと、いたちごっこのような気はしています。
また、次回新しいトピックを考えていきましょう。それではまた次回まで、さようなら。
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