相続財産管理人@カリフォルニア USA(2)_1457

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1457回 弁護士 鈴木淳司
Feb 15, 2025

 ずいぶん晴れたり雨が降ったり、天気がこのところ安定しませんが、花は季節を知っているようです。
桜の一種なのですが、少しピンクがかっていますが、ほぼ白に近い花がところどころで咲き始めています。
もう、春の訪れを感じる時期になってきましたね。
一方で、山では雪も降ったりしているので、まだまだ寒さは続きそうです。
体調には十分気をつけていきたいところですね。

相続財産管理人@カリフォルニア USA(2)_1457

 さて、前回から考えてきた質問を今回続けて考えていきたいと思います。
「日本在住の者です。20年ほどまえにカリフォルニアに移住した兄(未婚・子どもがいない)がいるのですが最近亡くなりました。カリフォルニアの弁護士から連絡があり、私(質問者)が、相続財産に関してなにかしなければならないとメールに書いてありました。日本の弁護士にも相談をしたのですが、私自身も持病があり、アメリカを往来するのは難しいです。兄のことはできることがあれば、なにか助けたいのですが、どのように関わればよいのかアドバイスをいただけないでしょうか。」というものでした。

相続財産管理人になったら

 今回、お兄さんのために相続財産管理人となった場合にはどのような作業が必要になるのか、考えていきたいと思います。

まず、前回考えたように、相続財産管理人にならざるをえなくなったとしても、いちいちアメリカに来る必要はありません。
すなわち、代理人をたてることで対応が可能です。

弁護士に代理人を委任した場合

本来であれば、定期的に相続財産がどのようになっているのか、裁判所に報告したり、相続財産を管理、保全しなければなりません
これらの業務を日本に住みながら行うことは難しいわけですから、現地で弁護士に依頼して代理とすることができるわけです。

弁護士に委任するとなるとお金がかかるのでは、と思われるかもしれませんが、相続財産管理人の費用は相続財産から支出されますので、あとで相続が終わるときに払われることになります。
ですので、弁護士に頼んでしまうのが手っ取り早い解決方法となります。

同時に裁判所への手続きも委任できる

一方で、相続財産管理人とは別に、裁判所に対して様々な手続きをする必要もあります。
通常、この手続きも弁護士に委任することにはなるのです。

そうすると、実際には相続手続を行う弁護士と、相続財産管理人の代理をする弁護士と建前上は2つの役目が生じます。
法律でも、この2つは別の役割として捉えられています

しかし、実際の相続手続では、一人の弁護士が、相続手続きも相続財産管理人の代理も両方引き受けてやってしまうという例が多くあります。
そうすると、その受任した弁護士は、2つの役割で報酬を得ることができるわけですね。

ところが、実際には2倍まで仕事をしなければならないか、というと重複することもあるわけで、見る人がみたら「二重取り」のように見えると思います。

私も通常気を付けて、2つの役割を負ったとしても、二重取りをしないようにしていますが、弁護士のなかには、普通に二重取り的な報酬の取り方をする人もいます。
もちろん、法律的になにか問題があることではありませんが、納得いかないと感じる方もいると思います。

弁護士に依頼する時は業務内容を確認

 ですので、今回質問されている方も、弁護士に依頼するのは良いのですが、ちゃんと説明を受けてください

相続財産管理人の代理としての弁護士としてやってもらえるのか、また、相続業務も一緒にやってもらえるのか、2つの違うことなので、何を業務の対象にするのかを確認することが重要です。
また、良心的な弁護士であれば、2つの役割を負っても、本来一つの仕事としてやれることですから、報酬としては、一つの役割分でやってもらえるのか、二重取りをする予定なのか、最初から聞いてみると良いと思います。

委任しても、都度、確認することが重要

 また、相続財産管理人になると、いろいろな書類にサインをすることになります。
ですので、どのような書類にサインをしているのかなどは都度確認されることが重要だと思います。

特に相続財産を分配する段階ではどのような財産が最終的に残り、その財産がどのように分配されるのか、といったことをちゃんと確認する必要はあると思います。

 日本にいても、相続財産管理人に就任してやっていくことはそこまで難しい話ではありません。
さらに、現代ではビデオ会議なども発達していますので、裁判所に対しても直接出向く必要もほぼないのではないかと思います。

 せっかくの兄弟のつながりがあるわけですから、お兄さんの遺志にしたがって、ぜひ助けてあげてくださいね。

また次回新しい質問を考えていきたいと思います。
春節のパレードなども賑やかな三連休ですが、休みのときを楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。



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作成者: jinkencom

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