米_エージェンシーへ損害賠償請求(3)_1440

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1440回 弁護士 鈴木淳司
Oct 20,2024

 もう、10月も終わりに近づいていますが、世界の各地では季節替わりというか、干ばつや大雨といった異常気象が続いていますね。
今までの常識が通じない天候になってきています。
人間は、それなりに順応していけるのかもしれませんが、これから植物や動物などを含む生態系がどんどん変わってきてしまうでしょうね。
食料も値上がりしていますが、これから食べるものも買えなくなってくるものも出てくるでしょうね。
皆さんはどんな服装で過ごされていますか。

米_エージェンシーへ損害賠償請求(3)_1440

 さて、「はじめまして。日本に本社のある企業のカリフォルニア州子会社の社長として一昨年赴任してきました。大企業の子会社といっても、数名の地元雇用の従業員と私の他を除き、業務を行う人たちは、契約しているエージェンシーから派遣されています。そのエージェンシーが最近になって、いきなり契約を打ち切るということを通知してきました。なんどか交渉をしたのですが、埒があきません。業務がストップする可能性もあるため、なんらかの形で損害賠償をしたいとも考えています。当社の付き合いのある弁護士に相談したところ、訴訟をするのは難しいと言われていますが、英語の会話なので、通訳社員を連れて行ってもうまく私の懸念が伝わっているのか不安になっています。」という質問を続けて考えていきます。

前回までのふりかえり

 前回、今回いただいている質問にでてくる契約関係は2種類あり得ることを考えました。

あくまでも仮定ですが、今回の場合には、派遣元のエージェンシーが派遣者の労働内容、時間等を管理している可能性が強いのではないかと思われました。

単に誰か従業員を紹介して、紹介先が雇用しているケースとは違うと思われるからです。

 かりに派遣元が事業の一部について派遣元の社員を派遣している場合には、派遣元と今回質問をされている方の所属する会社の間で契約関係が結ばれているということになります。

契約内容に基づく契約解除事由の確認

ですので、今回質問されている方も、この契約関係に基づいて、派遣元が表示している契約解除事由が妥当なのかどうなのかを判断する必要があります。

 通常、契約書に記載されている契約の終了事由としては理由がある場合とない場合に分けられます

契約の終了事由に理由がある場合

理由がある場合には、いくつか契約上その理由が列挙されています。

たとえば、一方の当事者が破産した場合、債務不履行があった場合、法律に反する行為があった場合などが考えられます。

これらの事由は、契約書に明記されていますので、この内容を確認する必要があります。

契約の終了事由に理由がない場合

 一方で理由なく解除できる場合があります

かりに契約の期間が契約書において設定されていない場合には、他に制限がなければいつでも一方から他方の当事者に解除する、ということで契約を終了させることができます。

このいつでも契約を終了できることをアメリカではat willと呼んでいます。

契約を解除できない期間に関する契約 があることも

ただ、今回のように業務を一部委託するような形の場合、通常は期間が設定されています。

「この契約は契約締結の日から○年間有効とする」といった形で規定されているわけです。

そうすると、その期間内においては、両方の当事者から契約を解除することはできないことになります。

一方で、期間を過ぎた場合には、契約は終了することになるわけです。

契約期間の更新に関する条文はないか?

ただ、契約が終了する期間が契約書で決まっていたとしても通常は、契約期間を更新するような条文もあります。

「契約終了時の○ヶ月前までに更新の通知をし、承諾がある場合には契約は、もともとの契約期間と同様の期間延長される。」といった内容で書かれているはずです。

当事者同士の合意で契約は解除できる

また、契約書にかかれていない場合でも、契約が終了する場合があります。

それは、当事者同士が合意する場合です。

通常、合意については書面で行うように契約書に記載がありますが、理由があろうがなかろうが、合意に達すれば契約は解除できることになります。

今一度契約書の確認を そして次のステップへ

今回の質問においては、まずどのような理由で派遣元が契約を解除したのか、解除の通知がどのようなものであったのか、注意して契約書を確認する必要があります。

契約書で決められた解除であった場合には、訴訟にしたり、法的になにかクレームをすることは難しくなってくると思われます。

もちろん、あまり状況がわからないところに、いきなり業務に影響する解除が言い渡されるのは、困ることがあるかもしれませんが、派遣元の解除が契約上正当なものである場合には、その派遣元の責任をなんらか追求するのではなく、新たな契約をその派遣元または別の業者と模索する方にエネルギーを使ったほうが良いのではないかということになります。

また、社内でいろいろな契約関係があるとは思いますが、その契約関係については、終了時期がいつに設定されているのか、今一度確認される方がよいかもしれません。

今回の質問について考えるのはここまでにして、次回また皆さんから新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

最近健康のために日本語でいう「ヒハツ」というのを食べるようにしています。

胡椒の兄弟のようなものです。

季節替わりですので、いろいろな形で健康に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。



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作成者: jinkencom

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