法律ノート 第1439回 弁護士 鈴木淳司
Oct 14,2024
やっと秋が感じられるようになりましたね。
懇意にしているスーパーの方から松茸をいただき、松茸ごはんをつくって食べましたが、とても美味しかったです。アメリカで太く立派な松茸が手に入るのも驚きですが、最近の炊飯器の性能は素晴らしく、信じられないほど美味しい炊き込みご飯ができました。
皆さんは、なにか食卓で秋を感じていらっしゃいますか。
さて、前回から考えはじめた「はじめまして。日本に本社のある企業のカリフォルニア州子会社の社長として一昨年赴任してきました。大企業の子会社といっても、数名の地元雇用の従業員と私の他を除き、業務を行う人たちは、契約しているエージェンシーから派遣されています。そのエージェンシーが最近になって、いきなり契約を打ち切るということを通知してきました。なんどか交渉をしたのですが、埒があきません。業務がストップする可能性もあるため、なんらかの形で損害賠償をしたいとも考えています。当社の付き合いのある弁護士に相談したところ、訴訟をするのは難しいと言われていますが、英語の会話なので、通訳社員を連れて行ってもうまく私の懸念が伝わっているのか不安になっています。」という質問を考えていきます。
前回は、まず契約書をよく読もうというところまで考えました。
エージェンシー契約の種類と特徴
人材派遣の場合、法律よりも、まず契約内容によって当事者間の関係が規律されます。
(1)単に紹介をして手数料をもらうタイプのビジネスもありますし
(2)実際に派遣する人たちを教育したり、派遣先の業務内容をコントロールしたりするタイプのビジネスもあります。
今回、質問されている方のメール内容は読みましたが、具体的にどのような契約を結んでいるのか、文面からはよくわからなかったため、歯切れよく具体的にアドバイスをすることはできません。
一方で、まず、今回おっしゃっている「エージェンシーからの派遣」ということが、契約上どのように規定されているのか、確認するのが第一になります。
(事務局注記:カリフォルニア州の雇用関係については、カリフォルニア州産業関係局(DIR)が詳しい情報を提供しています。)
人材紹介契約と直接雇用の関係
仮定の話ですが、上述(1)のタイプ、つまりエージェンシーが人材を単に紹介する場合、雇用契約は紹介先の企業と紹介された人の間で直接締結されることになります。
その場合、企業と被用者の直接雇用関係が成立します。
その場合には、エージェンシーは紹介業務が終われば、直接の関係はなくなりますので、今回のように、エージェンシーが介入してくるような状況にはならないのではないでしょうか。
業務委託型の派遣契約
そうすると、これも推測ですが、上述(2)の状況にある可能性はあります。
例えば、会計や物流などに特化した派遣会社・エージェンシーが、業務内容を明確にして自社の社員を質問者の企業に派遣するケースがよくあります。
会計事務所やコンサル会社などが、自社の社員を他社に派遣して業務を遂行するというのはよくある話です。
このような場合には、派遣された社員と、派遣先の企業には直接雇用契約は発生しないと考えられます。
もちろん、契約書を読んでいないので一般論ですが、独立して指定された業務を行うだけ、という関係になると思われます。
そうすると、もともと自社の社員を、他企業に派遣していたのですから、契約のなんらかの終了事由によって、派遣をストップすることは契約上可能になるかもしれません。
今回の質問を拝見すると、上述(2)の可能性が大きいようです。
契約終了事由の確認が重要
既に何度か交渉されているということですが、契約書をよく見て、契約の終了事由を確認していく必要があります。
仮に契約の終了事由に反する場合には損害賠償請求が可能かもしれませんが、一方で契約書に規定された終了事由に基づく契約終了であれば、法的なクレームは難しくなると思います。
契約の終了事由にはいくつかパターンがありますので、次回、詳しく考えて行こうと思います。
アメリカでは、もうハロウィンの飾りが真っ盛りです。
日本の幽霊や妖怪は少し怖くウェットな印象ですが、アメリカの幽霊はお祭り騒ぎに参加する感じで、趣向が全く違いますね。結局、大人は酒を飲み、子どもたちは甘いものをたくさんもらうパーティーに集約されます。霊が戻ってくる日本のお盆とは随分違いますよね。
ハロウィンを過ぎると今年も終わりだというムードになりますが、まだまだやることは多いです。
季節替わりに咳をする人も多くなってきていますので、体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2024年10月)の情報に基づいており、法律や規制は変更される可能性があります。
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関連する米国法律リソース
本記事で取り扱ったトピックについて、さらに詳しい情報は以下の公式サイトでご確認いただけます:
- カリフォルニア州産業関係局(DIR) – 雇用関係と労働法の情報
- カリフォルニア州法令集 – 契約法を含む州法全般
- 連邦取引委員会(FTC) – 事業者向けガイダンス
- カリフォルニア州裁判所 – 民事訴訟に関する情報
※ これらのリンクは参考情報として提供しています。個別の法的問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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