法律ノート 第1400回 弁護士 鈴木淳司
Jan 14, 2024
アメフトのシーズンも大詰めになりました。
毎年のことなのですが、この寒い季節によくやるな、と思ってしまいます。選手も怪我が多くなってきます。
今週末、カンサス・シティでワイルドカードの試合が行われているのですが、元チャンピオンのチーフズの試合なので、数日前にチケットはいくらなのかな、と調べてみたら、最低の席がなんと37ドル。何千ドルもする試合もあるNFLの試合もあるので、安いな、と思っていたのですが、実際の試合を観ていると、気温が摂氏マイナス18度。テレビで観ていた方が良さそうですね。
みなさんは寒い週末どうお過ごしになっていますか。
アメリカの商標登録(1)_1400
さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると、「カリフォルニア州に住んでいる家族です。最近私の子供が高校のプロジェクトでインターネットを通じての寄付を集めるサイトをつくっています。息子の手作りでサイトをやっているのですが、息子が自分で作ったそのサイトのロゴに酷似したものをつかっているまったく別のサイトを見つけました。子供は盗まれたと言っていますが、証拠があるわけではありません。トレードマークとして登録をしているわけでもありません。このような場合に何か主張できることはあるのでしょうか」というものです。
最近では、小学生や中学生までコンピュータだけではなく技術系のことを難なくこなしてすごい時代の流れですね。
今回のような事例もこれからどんどん増えてしまうのかもしれません。
誰もが簡単に情報にアクセスできる時代
いったん情報がインターネットに載ってしまうと、第三者が簡単にアクセスできてしまうので、情報を転載されたり、勝手に使われることもあると思います。
私の法律ノートも、できるだけ読者を限っているつもりですが、無断で転載されたこともありますし、色々な形で使われることもあります。
簡単に動画サイトで自分を晒せる時代になり、それに抵抗がなくなってきているというのは、世代が違うなぁ、とつくづく思います。
トレードマーク(商標)の価値
さて、今回のように、ロゴを盗用されたといったことは思ったよりも簡単に起こり得ます。
デジタルのデータは複製をするのがとても簡単です。
トレードマークというのは、そのマークを見れば、どのような商品か、どのような会社なのか、どのようなクオリティを持っているのか、を消費者が思い浮かべ、一定の信用を与える識別標識であり、その価値は守られるべきでしょう。。
日本では商標と呼びます。
アメリカでは登録制度で守られる
各国によって商標の守り方は違いますが、アメリカではトレードマークを連邦政府に登録する制度をつくって守っています。
なぜ、連邦政府に登録する制度を使うかというと、人々が、何か新たにトレードマークを使おうと思ったら、政府に登録されている情報を参照し、使用できるかどうかを判断できるからです。
登録している情報を広く人々が参照できることを「公示」されていると呼びます。
この公示機能が重要なのです。
ただ、トレードマークを登録するにはお金がかかります。
アメリカ全土and/or州で商標登録
アメリカでは、連邦の登録、そして州ごとの登録が存在します。
連邦政府に登録しておけば、アメリカ全体に対して、商標を登録しているということが公示できます。
一方で、カリフォルニア州の商標登録をすれば、少なくともカリフォルニア州内での公示が有効ということになります。
連邦の登録は最低でも250ドルの手数料がかかります、カリフォルニア州は70ドルとなっています(2024年1月現在)。
もちろん、連邦で商標登録をしたほうが全国区ですが、そこまでお金をかけられないとなれば、カリフォルニア州の登録だけでもしておくことが考えられます。
第三者による登録商標の無断使用は違法
このような登録をしておけば商標は、連邦であればアメリカ全土、カリフォルニア州の登録であればカリフォルニア州内では、第三者が登録商標を無断で使うことは違法になりますので、無断使用をやめろ、という請求をすることができます。
今回の質問にある方も、一度登録していれば、無断使用につき使用をやめろ、という法的な請求は可能になります。
逆に、すでに相手方が商標を登録しているとして、質問者の子供さんのロゴが酷似していると商標登録者から、クレームを受ける可能性がでてきますので注意が必要です。
まず、今回の質問については、連邦やカリフォルニア州で酷似するトレードマークがないのか、確認してみるのも良いかもしれません。
商標は分野ごとサービスごとの登録義務
もう一つ、商標の登録で覚えておくべきなのは、どのような分野(食品、衣類)で、どのようなサービスなのかが重要になることです。
なぜなら、商標は、分野ごとに登録が義務付けられていて、自社、自分が使う分野、サービスに限って登録をするということになっているからです。
したがって質問者の子供さんがどのようなサービスを提供しているのか、酷似している商標がどのような使われ方をしているのか、確認する必要がでてきます。
次回、今回の質問にあるように、登録していない商標というものはどのように守られるのか考えていきたいと思います。
まだまだ寒い時期が続きます。
私の周りには年末年始に風邪気味になり、なかなか治らないという話を良く聞きますし、咳をしている人も多いですね。
十分暖かくして、体温を落とさないようにしながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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