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証人となる勇気_カリフォルニア州弁護士コラム_1184

法律ノート 第1184回 弁護士 鈴木淳司
Oct. 29, 2019

 今回は皆さんからいただいている質問にお答えするのをお休みして、最近感じたことを考えさせてください。弁護士の仕事もAIに取って代わると軽々しく言う人もいますが、裁判という制度がある限りそれは難しいということは法曹であればわかります。もちろん簡単な事件をAIで判断させることはできるのでしょうが、裁判制度自体は、事実を明らかにしていくプロセスです。

 「法廷で裁判」というと、皆さんは一体何をするのか想像ができますか。

 民事事件であれば、原告と被告、そして刑事事件であれば、検察対被告人が戦うわけですが、その戦い方の中心は法律家ではありません。証人なのです。相対する当事者が、証人を呼んで、色々事件に関係することを聞いていくのです。

 そして、時には反対尋問といって、敵対する証人に対しても証言を促すように話をしていきます。法廷もののドラマや映画で観ることも読者の方たちにはあると思いますが、証人の証言から、何が真実なのかあぶり出していくのが裁判制度の心臓部分です。

証人となる勇気 _カリフォルニア州弁護士コラム_1184

 最近、ある刑事事件を担当しました。

 発端は若いカップルの言い争いですが、ひいては深刻な事件に発展し、複数の重罪(法定刑が一年以上と定められている罪)を咎められている男性の起訴に至りました。

 保釈金は考えられないほど高く、拘置所に留置されることになりました。身柄が拘束されてしまうと、弁護士の仕事も大変です。

 毎回接見をしに拘置所に赴くので時間も消費されます。被告人にしても、拘置所内では身動きが取れず、ストレスも溜まるわけです。とにかく、事件の解決を早急に目指して私も取り組んでいました。

証人を探すのが至難の業

 被告人は、一部は罪を認めているものの、大部分は無罪を主張している事件でした。ですので、私も、被告人が無罪を主張している部分については、陪審裁判までいくことを覚悟しながら取り組んでいました。事実を争うことになると、時間がかかります。そして時間がかかると、被告人はなかなか外に出てくることができません。

 事件解決と被告人の心のケアに配慮しながら事件解決の緒を見つけようと色々動きますが、かなり難しい事件でした。

 何が難しいかというと、私が弁護をしている被告人に有利なことを言ってくれる証人を探すのが至難の業だったのです。この被告人をサポートしてくれる人がいないというのではなく、事件について語れる人がいないという状況なのです。

 一方で、検察側は花形証人を持っています。アメリカでは、スター・ウィットネスというやつです。この花形証人に陪審裁判ですらすら証言されてしまってはいくら一部無罪を争っても裏目に出てしまいます。

 そこで、私はこの検察側花形証人に突撃インタビューを申し込んだのですが、意外にも快諾してくれました。何も隠す必要がないということなのでしょう。しかし、私のクライアントは一部無罪を主張しています。ということは、真実としてはどちらかが嘘をついているわけですね。予習のために、この証人に関して知っている人、すなわち花形証人に関しての証人を探しました。私の立場としては、この花形証人を反対尋問で潰せれば、勝ち目はあるわけです。

検察側花形証人の「嘘」を見抜く

 私がたどり着いたのは、花形証人の友人でした。この御友人は事件に何も利害関係はなく、花形証人が本当にどういう人なのか話しても良いと言ってくれました。ただ、話をしても何も利益はないのです。かなり時間をとっていただき話をすると、花形証人が日常生活で「嘘つき」であるということがわかりました。被告人には有利な内容です。

 その後、何食わぬ顔で、私は花形証人と面談をして長々話をしました。被告人がどんなに悪いのか、流暢に話をしてもらったのですが、その話の中に嘘がいくつかあることを見抜けました。そのおかげで、検事との交渉がうまくいきました。私が無罪を主張している部分については、すべて起訴が取り下げとなり、被告人本人が認めている部分については、認めるものは認め事件は、妥当な形で終了しました。

勇気ある証言に心打たれる

 この花形証人の御友人は、この事件において何も得るものはありませんでした。逆に、陪審裁判になれば出廷して、証言をし、検察側の反対尋問に晒される可能性もあったわけです。それでも、素直に話をしてくれました。この御友人の助けがなければ、事件は解決しなかったと思います。

 そして、この御友人は、花形証人との縁が切れるだけではなく、共通の友人から証言をすることを非難され、いわば踏んだり蹴ったりの状況になったわけです。利益は一切ないのです。それでも、その御友人は、花形証人の嘘でだれかが罪に問われるのがおかしいと思ったのでしょう。嘘は悪いとちゃんと心で判断し、本当の友人だったら、隠さずに諌めて修正してあげたいと思う心を持つ。そういう姿を見て私は胸を打たれました。相当勇気がいることだと思います。

 こういった一歩踏み出して真実を明らかにするという気持ちが事件を動かすのですね。弁護士としても難しい事件でしたが、このような気持ちの良い人に会えると、弁護士をしていてよかったなぁ、と思う瞬間であります。さて、AIはこの御友人のような勇気を持てて、私のような爽快感を味わえるのでしょうか。そうなったら興味深いですが。それは私が死んでからにしてもらいたいものです。


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