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輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(2)_1211

法律ノート 第1211回 弁護士 鈴木淳司
May 4, 2020
 

 コロナ問題はあるのですが、事件は待ってくれません。この数日を利用して拘置所に顔を出してきました。街はどこにいってもガラガラ。もちろん飲食店も開いていません。久しぶりにクライアントと面談がかなったのですが、弁護士であってもコロナのせいで、ビデオストリーミングで面談ということになってしまいました。せっかく拘置所に行っているのに、ビデオはないかな、と思ったのですが、拘置所側も色々な考えがあるのでしょうね。しかし、近くに受付の人も座っているし、ビデオも録画されているんじゃないか、と結局事件のことはあまり深く話せませんでした。現状で5月末まで自宅待機命令が延長されましたが、はやく現状が沈静化することを祈っております。みなさんは5月になっていかがお過ごしですか。

輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(2)_1211

 さて、前回から考え始めた質問を今回も考えていきましょう。「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものでした。

まずは契約書を確認

 前回、まずはこういったケースの場合、契約書の記載を確認しなければならないことを考えました。

 契約書は、最近は紙だけではなく、オンラインで「同意」している場合もあります。
 ですので、紙がなくても、契約は成立している(少なくともカリフォルニア州法では)可能性も高いので注意が必要です。

 契約書で「どこの法律で」「どの機関の裁定」を受けるのかアメリカでは契約書に記載しておくのが普通です。日本の契約書でも、最近では、似たりよったりの条項が一般条項に記載されていますね。

一般条項(General Provisions)を探す

 今回の質問にお答えするについても、まずは契約書の条項を確認しなければなりません。

 アメリカの企業と取引をされているということで、一般条項(General Provisions)をチェックする必要があるのですね。

 今回の質問には、契約書についての言及がなかったのですが、一般的な例を使って考えます。
 通常、たとえば私が扱う契約書では、「この契約は米国カリフォルニア州法に基づいて解釈される」、「紛争が発生したときには、○○郡を管轄するカリフォルニア州裁判所を第一審裁判所とする」などと記載されています。

 裁判を避けることを契約書に盛り込むことは可能で、「仲裁判断は、カリフォルニア州の○○郡で行われる」といった記載がされることも少なくありません。

 このような契約条項を見つけた場合には、アメリカの特定の州、そして、特定の郡で紛争を解決することになりますし、その紛争解決には、規定されている法律が適用されることになります。

 ですので、基本的に相手方の雛形を使われている場合には、適用される法律は、アメリカの州法、そして裁判所もアメリカになりそうです。

 しかし、海千山千の弁護士であれば、契約書に記載があっても何らかの手立てを思いつく可能性があります。一応の基準として考えておけば良いと思いますが、私は絶対とは思っていません。

契約書に紛争解決場所の指定がない場合

 契約書に規定がない場合には、かなりややこしいことになります。
 ただ、詳しい法律的なことには突っ込まないで考えると、問題が発生している場所、悪いことをしている人がいる場所、特に契約の内容で重要と思われる場所などが紛争の解決にふさわしい地ということになります。法律用語では、密接関連などという言い方をしますが、ピンときませんね。

 また、法律はどこの法律が適用されるか、ということになると難しい問題を生じます。
 ただ、今回の質問のように、国際取引の話であれば、基本的にはどこの土地で裁かれてもあまり結果は変わらないかもしれません。

 ただ、判決が出た後にお金を取る段階で色々苦労があるかもしれません。そして、契約ではなく、いわゆる不法行為(Torts)という事故など、誰かの過失があるケースでは、事故の発生地で裁判ができるというのが一般的です。

 ここまでが、法律的に考えて教科書的な「建前」の考え方であります。あまり実務のノウハウを晒したくないですが、次回実務家がどのように対応するのか、もう少し考えていきたいと思います。

 また、一週間感染に気をつけながら、身体と心を保ちがんばっていきましょうね。


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Washington DC

コロナウイルス、学生ビザへの影響

コロナウイルス、学生ビザへの影響

弁護士 鈴木淳司 May 25, 2020

 まだまだカリフォルニア州ではシェルターインが続いていますが、日本ではずいぶん自由が増えたようですね。アメリカでも州によってはかなり開放が進んでいます。しかしかなり感染者数が多いアメリカですので、二次感染が怖いところです。やっと、マスクも普及してきたことは良いことですが。

 さて、今回の国際弁護士ブログ(じんけんニュース)を利用して、学生ビザ(Fビザ、Mビザ等)についての緊急時下の対応について考えておきたいと思います。
 なかなか、学生ビザについては法曹が取り上げることがないのですが、現状質問が多いところです。代表的な論点を今回考えておきましょう。

1.学校がオンライン授業になった場合

 まず、学生ビザについては、学生としての活動を「アクティブ(Active)」にしておかなければ、アメリカ滞在は許されません(8 C.F.R. 214.2(f)(4) )。

 移民法でアクティブというのは、5ヶ月間間をあけないで学生ビザのもと勉強している外国人学生を言います。アクティブステータスがなくなると、もう一度ビザの申請が必要になってきます。

 この5ヶ月間を空けない、という規則が今回のコロナで問題になっています。自国に戻って、オンライン学習をする学生も多いからです。

 今回の自宅待機命令も含め、自国にいても、アメリカでクラスに直接出席できなくても、オンライン等で授業を継続していれば、「アクティブ」のステータスを維持できることになっています。

 したがって、再度学生ビザの許可を得る必要はありませんし、I-20もキャンセルされることはありません。しかし、この措置は、コロナに関しての特別措置なので、期限等についてはSEVP(外国人学生登録プログラム)の情報に関して学校を通してチェックしてください。

 それから、このコロナでの休校措置が取られている間に新規入学のため渡米する(している)外国人に関しても、学校の取る措置に従って、オンライン授業などを行っていれば、アクティブステータスが失われることはありません。ただし、コロナの影響が収まって、学校に戻らなくてはいけないのに、受講に戻らない場合にはSEVIS(外国人学生登録)の記録に受講していないことが記載され、I-20が取り消しになるかもしれません。

 一方で、たとえばオンライン授業を受講するのも困難な場合には学校(DSO=学校の入管関連担当者)に相談をすれば、アクティブの状態で据え置きしてくれるはずです。

2. 学校のスケジュールが変わった場合

 学校の授業が休みになり延長された場合には学校がしかるべき措置を取り、SEVISの記録に整合性がなくてはいけなくなります。

 ですので、学校側がSEVPに通知をして、変更をする必要があります。
 学生側はその変更内容を確認する必要があります。

 OPTについても、時期がシフトする可能性がありますが、SEVISではなく、OPTの許可は、USCIS(米国関税移民局)が行っています。どちらも同じDHS(国土保安安全局)の管轄下ですが部署が違うので、学校を通すなりして、要件を確認する必要があります。

3. I-20の電子的発行

 本来I-20(就学許可書類、学校が発給するもの)は物理的に郵送されなければなりませんが、今回郵便配達も困難な状況に陥って、さらに国際郵便は停止しているところも多いため、学生ビザ申請に必要なI-20については、SEVISに登録されている学生のメールアドレスに送信する形で良いということになりました。こういうのは、アメリカはとても早くて素晴らしいことですね。

 また、I-20はスキャンでも、デジタル署名でも良いことになっています。
 また、電子的に発行されたI-20は、コロナの緊急時が静まっても有効期限内であれば、効力は維持されるということになっています。

4. フルタイム学生の定義変更

 オンライン授業になりフルタイムといっても、一部の授業は受けられない状況になっています。これについては、フルタイムを維持することについて学校側が、SEVPを通じて維持は可能となっていますので、学校側の指示に従うことが重要です。

5. アメリカへの再入国

 基本的にコロナの影響によりアメリカの再入国が遅れる等の問題があっても、原則外国人の学生ビザによる再入国には影響はしないとしています。

 しかし、SEVISが入国については扱っていないので、学生ビザの有効期限等については、大使館・領事館等の発表を確認する必要があります。ただ、基本的には、再入国は可能ということになっています。

 上記は、いろいろな学生の方がいて、いろいろな質問があると思いますがその一部の解説です。
 特に、プラクティカルトレーニング(学生ビザのあとにおける就労期間(1年間))については、SEVISだけではなく、米国関税移民局(USCIS)の管轄下でもあるので、いろいろな問題が発生しそうなところではあります。

 ただ、米国はかなりコロナ対策を徹底的におこなっているので、延長等の話には耳を傾けてくれると思います。

 次回また、新しいトピックを考えていきたいと思います。また次回まで、健康にすごしましょう。


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19歳の娘は交際相手に問題あり。連れ戻せるか?(1)_1213

法律ノート 第1213回 弁護士 鈴木淳司
May 19, 2020

 週末に時間を見つけて木でできたデッキの床板を交換したり修復していたのですが、釘を打ち付けているところから木の痛みがでていることに気づきました。業界の人であれば「当たり前」なのかもしれませんが、なかなかじっくり見てみないと知り得ないことではあります。思ったのですが、湿気の問題もあるのでしょうが、伝統的に日本では釘を使わない工法が盛んに使われていました。宮大工さんの工法をみると芸術的だなと平面的に見ていましたが、実は釘を使わないことで建築物を長期保たせるための知恵という部分があるのかな、と思いました。日本の文化は奥深いですね。

19歳の娘は交際相手に問題あり。連れ戻せるか?(1)_1213

 さて今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。いただいている質問をまとめると「昨年カリフォルニア州の高校を卒業した娘(19歳)のことについてご意見を伺えると幸いです。高校のときから付き合っている同級生の男性と高校を卒業するあたりから同棲をはじめ、大学進学もせずに1年以上フラフラしています。親への連絡も怠りがちな状態です。この同級生の男性は21歳以下にもかかわらず酒浸りで、さらに最近になり、麻薬で逮捕されたということで、どうしても娘を私どもの家にいったん連れ戻したいのですが、何か法的な方法はないものでしょうか」というものです。

 たしか、以前法律ノート宛に類似の質問をいただきお答えしたと思いますが、もう一度ここで考えていきましょう。

親の監護権

 親の監護権が19歳の子に及ぶかということですね。

 アメリカ合衆国では未成年と成年の切り分けを18歳で行っています。どの州でも均一に18歳というのが成人という形で規定されています。これが原則となります。

 ところが、特別法があって、たとえば飲酒については21歳と引き上げて策定されています。    
 今回質問されている方も、飲酒については21歳なので、どうも飲酒をしているから親が何か言えないか、ということも書かれていますね。

 しかし、この飲酒についての21歳というのは政策的に引き上げられているので、自分のことについて自己決定権を行使できるのは、基本的に18歳(カリフォルニア州家族法6500条)からということになっています。例外的に日本の民法でいう成年擬制(Emancipation)は14歳から認められます(同州法7120条)。

自己決定権と成年擬制

 たとえば、親と離れて住む場合などが想定されています。
 また、婚姻した場合、軍隊に入隊した場合なども成年擬制が適用されます(同州法7002条)

 これらの例外はありますが、18歳になると、大人と同様に自分で法律上の権利を持ち義務を負うのです。

 ですので、たとえば契約も単独で締結できますし、投票の権利もあります。また、同様に政府などに対する義務も個人で発生します。

 18歳未満であれば、親などの監護者(Guardian)の許可を必要とする行為についても、18歳を境に個人で自由に行うことができます。裏から言うと責任も発生するのです。

21歳と飲酒

 飲酒については、アメリカは政策的に21歳までは禁止とされています。

 もともと禁酒法のあった国ですから、伝統的に酒に対しては厳しいところがあることや、車社会であることも今日の法規制に影響していますが、これは合法な酒類および薬物などについてのみ適用されるのであって、今回の質問のようなケースには、たとえ同居男性の酒問題があったとしても、娘さんにすぐに当てはまるということは考えにくいです。

親の立場でできることはないか?

 このように考えると、今回親の立場から、娘さんに対して監護権を行使して、「すぐに実家に帰ってこい」と命令することはできないわけです。もちろん、親として子が心配なのはもっともなことで、踏み込んで実家に帰るように説得することはなんら問題ありませんが、強制力のない「お願いベース」になってしまいます。

 そうすると、娘さんが自分の意思で戻らない限り18歳以上であれば、それ以上親が何かできることはない、ということになってしまいます。

 ただ、このまま放っておくわけにも行かないので、何か手を打たなくてはとやきもきされている気持ちもわかります。ただ、こういうときに弁護士に相談されたとしても、なかなか弁護士としてできる仕事は限られた状況になると思います。ですが、何かないかな、と考えるといくつかの方法論はありそうですので、次回続けて考えていきましょう。

 もう、コロナ自宅待機も解除されつつある方向ですが、油断すると怖いですね。本当に落ち着くまで体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。



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アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

法律ノート 第1212回 弁護士 鈴木淳司
May 11, 2020

 長年知っている親しい40代男性が末期がんであるというニュースが入ってきました。コロナで医療機関にもかなり負担が生じているようですが、このような時期に入院をしたり、治療をするのは誰にとっても容易でないことが想像できます。もうお見舞いにも行けない程度弱っているということも聞き、ショックを受けました。ご家族の気持ちを考えると、このようなパンデミックの異常事態だけでも辛いのに、そのなかでの更に辛い出来事です。心が痛いです。

アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

 「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものでした。

まずは契約書に沿って

 簡単な前回の復習をすると、契約書に規定があればその契約書に沿って適用される法律と、裁判をする場所が決まります。そして、契約書に規定がないようなケースでは、お互いの関係に密接に関連する場所が裁判をする場所になり、その場所を管轄する法律が適用されることになりそうですが、ケースバイケースです。

相手のビジネスを観察

 今回のケースのような事例において考えにくいですが、かりに契約書がなかったり、裁判管轄・準拠法の規定がなかった場合には、基本的に取引関係においては、相手方の所在地を基本に考えるのが適しています。

 しかし、そうすると、今回の相談では、わざわざ日本からアメリカに行って提訴しなくてはならなくなります。そこで、なんとか日本で提訴できないか、ということになります。

 まず可能性を探るために、相手のビジネスを知ることが重要です。
 かりに、日本と頻繁にビジネスをしているとか、日本に営業所や営業の人を置いているなど、日本との繋がりがどれだけあるのかが、一つ重要なファクターになります。

中間業者の存在は?

 そして、今回質問にある「中間業者」の行動も確認する必要があります。

 かりに、この中間業者が頻繁に日本に滞在しているなどという情報があると、中間業者に対しての訴訟も日本で考えられるかもしれません。

「送達」が可能か

 裁判をするには、単に訴状を裁判所に提出するだけでは足りません。訴状を訴える相手方に対して「送達」しなければなりません。送達というのは、相手方にどのような訴訟を提起して、何を求めているのか書いてある書類です。この送達というのはかなり訴訟において重要で、日本でもアメリカでも厳格なルールが定められています。訴訟をするのであれば必ず必要な行為です。

 この送達がなされてはじめて訴訟としては実質的なゴングが鳴るという感じです。

 ところが送達については相手方に直接手渡しするのが原則ですから、外国にいる人や会社に対して訴訟をする場合には、かなり翻訳などの手間がかかりますし、政府間で送達の取り決めをしている場合も多くありますので、色々な機関を通さなければならず時間もかかります。

 ですので、相手方の行動をよく確認して、日本に頻繁に滞在している場合には送達が日本国内で可能になることもあります。

管轄違いの申立て

 間違ってはいけないのが、送達があれば裁判は出来ますが、相手方は裁判管轄が不適当であるということで争うことは当然できます。
 この争いでそれなりに時間がかかることもありますので覚悟はしておかなければなりません。うまくいけば裁判管轄が認められることになりますが、負ければアメリカで裁判をしなくてはならなくなりそうです。

手を組む会社はないか

 とにかく、相手方がどの程度日本とビジネスなどのつながりがあるのかを先行して確認しておくことが重要です。また、他に似たような不良品を多く見つけて不満を持っている業者などと情報を共有することも重要です。かりに、一社だけではなく数社一緒になるとそれなりに力にもなると思います。

 今回いただいている質問への一般的な考えは上記の通りですが、何か他にも類似の質問があれば、ぜひ法律ノートに質問をされてください。

 まだまだシャットダウンは続いていますが、心身ともに健康に留意してまた一週間がんばっていきましょうね。


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輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(1)_1210

法律ノート 第1210回 弁護士 鈴木淳司
April 28, 2020

 アメリカではウイルスによる死者が、わかっているだけでもすでに5万人を超えるという、かなり深刻な事態になっていますが、実際は検査も受けずに亡くなっている方もかなりいると思われます。ところが、すでに自宅待機の解除を求める人もデモを行ったり、一部の公共施設を開放したりする州もでてきたりしています。二次的な感染の波が怖いです。解除のデモで感染したらどうするのでしょうか。まだまだトンネルの出口が見えないようにも思えるのですが、人々が「終わり」を希求する気持ちも理解できる状況ですよね。皆さんは、どのようにお過ごしでしょうか。

輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(1)_1210

 さて、今回は皆さんからいただいている新たな質問について考えていきたいと思います。

 いただいている質問をまとめると「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものです。

 今回の質問は法律用語でいうと、「裁判管轄」とか、「準拠法」の問題と言いますが、難しいですよね。法律の勉強をしていないとピンとこないと思います。法律ノートではできるだけ日常使う用語に引きつけて考えていきたいとおもいます。難しかったら指摘してください。角度を変えて考えていければ良いですよね。

まずは契約書を確認

 さて、今回質問されている方ですが、日本でネット販売をするために、アメリカから物を買っているということですので、この日本の会社とアメリカの業者の間には、規模の大小の違いはあれ、売買契約が成り立っていそうです。
そして、その売買契約の内容として、受け取る物に不満があるということなのでしょう。

 この契約がどのように結ばれているのかわかりませんが、通常は契約書を締結します。
 最近では少なくともアメリカでは、ウェブ上で紙を使わずに契約を成立させることができますから、内容をあまり読まずに実際は契約書によって契約が成立している可能性は充分にあります。

 ですので、今回質問されている方も、まず確認しなければならないのは、契約書があるか、ということです。弁護士に相談しても、まず聞かれるのが「契約書はあるか」ということなので、この点は最重要事項として考えてください。以下ですが、契約書がある場合、それから契約書がない場合に分けて考えておきましょう。

紛争解決の方法の条項は?

 まず、契約書がある場合です。
 今回質問されているようなケースでは継続的に売買が繰り返されているので、たぶん契約書は存在すると思われます。

 そして、契約書には通常、紛争になった場合にはどのように解決するのか書かれているものが多いです。

 紛争の解決はいわゆる一般条項(General Provisions)の一部として存在するのが普通です。契約書の最後の方に規定されている一般的な取り決めの部分です。

 ここで、今回の質問に関連して注意してみなければいけない条項がいくつかあります。

 1つ目は、どこの裁判所で紛争を解決するのかという、場所の問題
 2つ目は、どのルールに従って紛争を解決するのか、という紛争解決のために使用する法律
 3つ目は、どのような方法で紛争を解決するのか、という手段の問題があります。

 この3つについて契約書を確認すると、今回の質問に対する答えが明らかになってきます。

どこで裁判をするかー管轄

 詳しく考えていきましょう。
 まず、どこで紛争を解決するか、というのは裁判管轄について合意するなどと言われますが、通常紛争があった場合には、どこどこの裁判所を第一審の管轄とする、とか、サンフランシスコ郡内の範囲において紛争を解決する、などと規定されています。

 すなわち、喧嘩をするなら場所を指定しておこうということです。

 契約書に定められていれば、通常その場所で紛争を解決するということになります。

 しかし、日本でもアメリカでも、たとえ場所が決まっていても、あまりにも不合理な場合には、裁判で否定される場合もあります。私も経験上、契約で決められた紛争の解決場所が「公序良俗に反して」無効、といった判決をみたことがあります。

 このような例外的な場合がありますが、基本的には契約書に規定されている場所において喧嘩をする、ということになります。

次回続けていきましょう。

 なかなか、外で運動をするのも難しいですが、身体を動かすことを怠らずまた一週間がんばっていきましょうね。


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コロナウィルス蔓延とアメリカ刑事司法の柔軟性_1208

法律ノート 第1208回 弁護士 鈴木淳司
April 13, 2020

 どこもかしこもコロナ一色で、外出もままならない今日このごろですが、皆さんの士気はいかがでしょうか。新潟の友人弁護士がとても綺麗な桜の写真を送ってくれました。人間はあたふたしていますが、季節は、そして自然は人間の問題とは関係なく流れていくのですね。人間の生死が毎日のニューズラインになってしまっていますが、やはり人間はいつでも大自然と一緒に行きているわけです。こういうときこそ、自然を楽しみたいものです。花粉が大変ですが、花が綺麗な季節ですね。植物の勢いに元気をもらいましょう。

 今回は、いち早くサンフランシスコもロックダウンされているのですが、こういうときに弁護士がどのような仕事をしているのか、いくつか拾って、皆さんに自宅待機の弁護士は「こんなことしているんだ」ということを知ってもらえたらいいのかな、と思って徒然書かせてください。

皆さんからいただいている質問を一回休ませていただき、この数週間私が体験した刑事事件の処理を取り上げてみましょう。
 もちろん、ビジネス系の話も大変な時期なので、色々あるのですが、通常、動きの必要な刑事事件はどのような対応が行われているのか私も興味があったところです。

 私が現在、無罪を争っている大型の刑事事件があるのですが、拘置所に入れられている被告人は元々結核を子供のときに患っていて、現在も様々な既往症が認められます。

 いったん、拘置所にコロナウイルスが蔓延してしまうと、治療も不安ですし、そもそも無罪を争っていて、私も無罪を確信している事件ですから、ウイルスの影響が本人にあると、トライアルまで耐えられるのか疑問になってしまいます。そして、公に危険が生じるような性格を持っている被告人ではありません。交通切符も一回ももらったことのない真面目な人です。

 そこで、コロナウイルスの問題で、一時的な釈放を申請してみようということになりました。
連邦の事件なので、争ってきているのは連邦司法省です。そして、かなり厳しい判断を下す裁判官が担当です。

 アメリカ全体でも、実際拘置所の公衆衛生が問題になってきており、少しは裁判官も聞いてくれるのかな、とあまり期待せずに戦っていました。自宅待機中で弁護士も裁判所にいけません。申請書には「電話、またはビデオ出廷をリクエスト」と書いておきました。

 司法省側の反論についての再反論を整えていたところ、電話などの出廷も飛び越えて私の主張が認められ、いったん被告人が拘置所から出してもらえる決定を勝ち取ることができました。とても嬉しいことなのですが、一方で、自宅待機をしていることから、法廷で色々弁論もできなかったことは、なんだか法廷弁護士としては気持ちが悪いというか。

 別の事件では、日本の公的機関から紹介されたという日本人から、逮捕勾留されているので緊急で助けてほしいと事務所に連絡がありました。

 事務所の人達も出勤するわけにいかず、遠隔操作での伝言での連絡です。私も遠隔操作で、サンフランシスコの拘置所と検察に連絡を取ると、まだ保釈金も設定されておらず、勾留されていました。電話では直接被疑者と話ができません。しかし、この緊急時、弁護士もノコノコ拘置所にいくのも躊躇します。

 拘置所の人たちと話をすると、なんと、インターネットのビデオ通話で、接見ができるというではないですか。そこで早速申し込みをしてみると、翌日早速設定がされ、ビデオで話すことができました。ただ、スーツは自宅で着ませんから、普段着は映ってしまいましたね。直接ビデオで話ができるということは勾留されている人にとっても、弁護士にとってもとても便利でしたし、単なる電話よりも充実した相談タイムでありました。身振り手振り、そして、図などもやり取りできます。かなり非常時対策がちゃんとしていて、検察・警察も事件を進めるために、協力をしてくれていると感じました。
こういったフェアな精神がアメリカの素晴らしいところだと思いました。

 いっその事、これからビデオ接見も普通に許してくれると、被疑者も弁護士もかなり助かるな、と感じました。本件の事情を聞くと、DV事件でした。どうも、彼氏も彼女もコロナで生活が異常になり、口論が絶えなくなったこともあったようです。
一般的にもDV事件が増えているようですが、精神的な影響もあるのかもしれません。

 本件では事情を聞いてみると、暴力事件とは言えないような案件でした。
 関係各所に連絡をしたところ、その日の夜には釈放され、事件化には至りませんでした。このような釈放の説得なども結局電話だけで対応できたのは、いつも動いている私には少々気持ちが複雑でしたが、まずは良かったですが。

 このように、書面だけをいじって、そして考える作業だけではなく、刑事事件でもそれなりに遠隔操作ができるということを実感できる数週間になりました。新しいことを習うのは楽しいですね。ただ、やはりどんなにテクノロジーが進化しても、実際の法廷や、実際の相談、そして実際の交渉などは、電話やビデオでは本当は代替えできないのではないかな、とも思わされました。

 大変な時期が続きますが、また一週間各自自宅待機をして、コロナの死滅を願いましょう。



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訪米中の交通違反(3) _1207 

法律ノート 第1207回 弁護士 鈴木淳司
Apr.6, 2020

 中国やイタリアでは、コロナ問題が峠を越したということで、本当かどうかはわかりませんが、かなり外出をはじめている様子がニュースで報道されています。実際にウイルス問題が峠を超えているのであれば、長いトンネルの終わりを見ているようで、励まされます。ただ、アメリカでは感染拡大が止まっていません。一人ひとりが協力している外出自粛が、功を奏すると良いのですが。

訪米中の交通違反(3) _1207 

 さて、前二回考えてきた「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符をきられてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」という質問の今回は最終回です。

反則金を払わないと裁判になり、出頭が必要

 交通切符を支払わずに時間が経ってしまったときの対応を今回は考えておきたいと思います。通常は、反則金を納付すれば、裁判にはならない(争いたい場合には裁判ができる)という手続となっており、これはアメリカも日本も変わりません。日本でいう青切符の場合ですね。

 問題は反則金を払い忘れた、払わなかった、という場合です。この場合アメリカでは裁判となります。必ず切符に出頭日が書いてありますので、本来であればその日に裁判所に行き、申し開きをしなければなりません。その日に支払いを終えても良いのですが、どちらにしても出頭が必要になります。

 そして、その日に出頭しないと、勾引状(Warrant)が裁判所から出されることになります。この状態になってしまうと、簡単にクレジットカードで支払いを済ませることができません。あくまでも、本人が出頭しなければなりません。交通事件なので、弁護士に委任して代理として出廷してもらうか、ご自身で行くかのチョイスになります。各州の手続きに違いがあるかもしれませんが、少なくともカリフォルニア州では本人出廷が必要になってきます。一旦出廷してしまえば、そのときに罰金を払うなりすれば手続きを終了させることができます。ですので、放置されている場合でも、ちゃんと対応すれば問題は深刻になりません。

 一回の出廷で終わるわけですから、わざわざアメリカに飛行機で日本から来るのも大変ですので、そのときは、逮捕された場所の近くの弁護士に一回の出廷に限るということで、委任するのが手っ取り早いかもしれません。交通事件では本人が出廷しなくても、多くの場合弁護士の出廷で対応が可能です。

再訪米前に記録をクリアーにしておく

 また、次回アメリカに入国する際には、一応交通事件であれ記録をクリアーにしておくのが良いと思います。現状ではかなりの刑事関係事件が、移民行政の記録と紐付けされていますので、不測の二次的拘束を入国管理の段階で避けるために、事前に弁護士に委任しておくのが良いと思います。

起訴されたら、一年後でも裁判所の記録に残る

 それから、時々違反から時間が経てば時効などで、許されると思われているような話も聞きます。しかし、いったん起訴されている段階だと、その起訴は原則としてそのまま残ります。起訴されていない場合、検察が起訴するかどうかを決めるのは、カリフォルニア州では原則事件送致から一年なのですが、いったん起訴をされると一年経っても、それは裁判所の記録に残ります。ですので、面倒臭がらずに対応をしておくのが良いかと思います。

 あとは留学生などが、友人に頼んで処理をしてもらうとすることはたとえば罰金の支払いについては良いと思いますが、身代わりの出廷などは決してしてはいけません。かりにバレたときには、罪に問われます。気軽に考えないほうが良いかもしれませんね。

 以上で今回の質問に対するお答えとしたいと思います。もし他にも似たような事例や、今回の法律ノートで気づいたことやさらに質問があればいつでも法律ノート宛(question@marshallsuzuki.com)にメールをください。

 今は、自宅待機の方も多いと思います。もちろん仕事や勉学などが気になるところですが、自宅でじっくりできる読書などポジティブに考えて生活していきたいですね。

 また次回は新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。できるだけ自分の身の回りの衛生と自己の体調管理をしながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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在アメリカ日本大使館 管轄エリア

アメリカは国土が広いため、日本大使館と各総領事館の管轄地域が分かれています。
たとえば、戸籍の届出やパスポートの更新その他の領事業務は、お住まいの地域にある日本領事館・大使館で行ってください。
メルマガの登録も、管轄ごとに行います。

大使館・領事館の業務

_在留届の管理
_戸籍上の届出
_パスポートの更新
_お子様の教科書受領
_選挙と在外投票
_日本人の保護に関する業務
_管轄地域の情報発信(防災・防犯・その他非常に多くの情報を扱っています)その他

■在米国日本国大使館

ワシントンDC,メリーランド州,バージニア州
Embassy of Japan
2520 Massachusetts Avenue, NW,
Washington, DC 20008-2869
Tel:(202)238-6700 Fax:(202)328-2187

■アンカレジ領事事務所

アラスカ州内における旅券及び各種証明書受付・交付並びに 在外選挙関連業務等

Consular Office of Japan in Anchorage
3601 C Street, Suite 1300,
Anchorage, AK 99503
Tel:(907)562-8424 Fax:(907)562-8434

■アトランタ総領事館

アラバマ州,ジョージア州,ノースカロライナ州,サウスカロライナ州
Consulate-General of Japan in Atlanta
3438 Peachtree Road, Suite 850
Atlanta, GA 30326
Tel:(404)240-4300 Fax:(404)240-4311

■ボストン総領事館

メイン州,マサチューセッツ州,バーモント州ニューハンプシャー州,ロードアイランド州,コネチカット州のニューヨーク総領事館管轄地域以外
Consulate-General of Japan in Boston
Federal Reserve Plaza, 22nd Floor,
600 Atlantic Avenue, Boston, MA 02210
Tel:(617)973-9772 Fax:(617)542-1329

■シカゴ総領事館

イリノイ州,インディアナ州,ミネソタ州,ウィスコンシン州 ,アイオワ州,カンザス州,ミズーリ州,ネブラスカ州,ノースダコタ州,サウスダコタ州
Chicago
Consulate-General of Japan
Olympia Centre, Suite 1100,
737 North Michigan Avenue,
Chicago, IL 60611
Tel:(312)280-0400 Fax:(312)280-9568

■デンバー総領事館

コロラド州,ユタ州,ワイオミング州,ニューメキシコ州
Denver
Consulate-General of Japan
1225 17th Street, Suite 3000,
Denver, CO 80202
Tel:(303)534-1151 Fax:(303)534-3393

■デトロイト総領事館

ミシガン州,オハイオ州
Detroit
Consulate-General of Japan
400 Renaissance Center, Suite 1600,
Detroit, MI 48243
Tel:(313)567-0120 Fax:(313)567-0274

■ハガッニャ総領事館

グアム,北マリアナ諸島
Hagatna
Consulate-General of Japan
Suite 604, Corps ITC Building,
590 South Marine Drive,
Tamuning, Guam 96913
Tel:(671)646-1290 Fax:(671)649-2620

■ホノルル総領事館

ハワイ州,米国の領土中,他の総領事館の管轄地域以外
Honolulu
Consulate-General of Japan
1742 Nuuanu Avenue,
Honolulu, HI 96817-3201
Tel:(808)543-3111 Fax:(808)543-3170

■ヒューストン総領事館

テキサス州,オクラホマ州
Houston
Consulate-General of Japan
2 Houston Center Building
909 Fannin Street, Suite 3000,
Houston, TX 77010
Tel:(713)652-2977 Fax:(713)651-7822

■ロサンゼルス総領事館

アリゾナ州,カリフォルニア州 ロサンゼルスオレンジ,サンディエゴ,イムペリアル,リヴァーサイド,サンバーナディノ,ヴェン チュラ,サンタバーバラ,サンルイオビスポの各郡
Los Angeles
Consulate-General of Japan
350 South Grand Avenue, Suite 1700,
Los Angeles, CA 90071
Tel:(213)617-6700 Fax:(213)617-6727

■マイアミ総領事館

フロリダ州
Miami
Consulate-General of Japan
80 S.W. 8th Street, Suite 3200
Miami, FL 33130
Tel:(305)530-9090 Fax:(305)530-0950

■ナッシュビル総領事館

アーカンソー州,ケンタッキー州,ルイジアナ州,ミシシッピ州,テネシー州
Nashville
Consulate-General of Japan
1801 West End Ave, Suite 900,
Nashville, TN 37203
Tel: (615)340-4300 Fax: (615)340-4312

■サンフランシスコ総領事館

ネバダ州,カリフォルニア州のロサンゼルス総領事館の管轄地域以外

San Francisco
Consulate-General of Japan
275 Battery Street, Suite 2100,
San Francisco, CA 94111
Tel:(415)780-6000 Fax:(415)767-4200

■シアトル総領事館

ワシントン州,アラスカ州,モンタナ州,アイダホ州のアイダホ郡以北
Seattle
Consulate-General of Japan
601 Union Street, Suite 500,
Seattle, WA 98101
Tel:(206)682-9107 Fax:(206)624-9097

■シカゴ総領事館

イリノイ州,インディアナ州,ミネソタ州,ウィスコンシン州 ,アイオワ州,カンザス州,ミズーリ州,ネブラスカ州,ノースダコタ州,サウスダコタ州
Chicago
Consulate-General of Japan
Olympia Centre, Suite 1100,
737 North Michigan Avenue,
Chicago, IL 60611
Tel:(312)280-0400 Fax:(312)280-9568

■ニューヨーク総領事館

ニューヨーク州,ニュージャージー州,ペンシルベニア州,デラウエア州,ウエストバージニア州,コネ ティカット州のフェアフィールド郡のみ,プエルトリコ,バージン諸島
New York
Consulate-General of Japan
299 Park Avenue, 18th Floor,
New York, NY 10171
Tel:(212)371-8222 Fax:(212)319-6357

■サイパン領事事務所

サイパン

Saipan
Consular Office of Japan
2nd Floor, Bank of Hawaii Building,
Marina Heights Business Park, Puerto Rico, Saipan
(Mailing Address: P.O.Box 500407 Main Post Office, Saipan, MP 96950-0407, U.S.A.)
Tel:(670) 323-7201/7202
Fax:(670) 323-8764

■ポートランド領事事務所

オレゴン州,アイダホ州のシアトル総領事館管轄地域以外
Portland
Consular Office of Japan
1300 SW 5th Avenue, Suite 2700
Portland, OR 97201
Tel:(503)221-1811 Fax:(503)224-8936

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訪米中の交通違反(2) _1206 

法律ノート 第1206回 弁護士 鈴木淳司
Mar 31, 2020

 COVID-19ウイルスの猛威はアメリカを含め世界で広がりが止まりません。先日の志村けんさんの他界にはショックを受けました。ウイルスで死者が出ているといっても抽象的な話で済ましてしまう部分がありましたが、テレビで馴染んだ有名人がこの世からウイルスのためにいなくなる、というのはある意味日本の人たちも現実的に状況を捉えるきっかけになっているのではないでしょうか。またCOVID-19とは別のウイルスでも死人が出ているとか。一体いつ終わりが見えるのでしょうか。ため息が出てしまいますね。

訪米中の交通違反(2) 1206

 さて、前回から「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符を切られてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」という質問を考えはじめました。

切符から管轄の警察や裁判所を調べる

 前回、2つの可能性が考えられるということは理解されたと思います。

一つは、警察が事件化しない場合、もう一つは裁判所の通知が郵便事情で届かない場合、ということでした。今回続けて考えていきましょう。

まず、スピード違反などで切符を切られると(アメリカでは、受け取るものは黄色の長細い切符が一般的)、その切符に「何時、どこの裁判所」に出頭するように、という記載があります。

この記載はマニュアル的に記載されますが、事件になると「どこの裁判所」で審理がなされるのか記載があります。また、その切符にはどこの警察が切符を切ったのかも記載があります。これらの情報がヒントになります。

まずは、この警察や裁判所の情報をインターネットで確認して、できれば電話連絡をして事件化されているのか、裁判となっているのかを確かめる必要があります。警察で事件化されていないことが確かめられれば、そこであとは何もすることはありません

一方で、裁判となっている場合には対応が必要になります。

切符を紛失してしまったら

 なお、切符を紛失してしまった、ということもあると思います。その場合には、どこの警察が切符をきったかというのは、なかなかわかりにくいものです。

高速道路であれば、カリフォルニアハイウェイパトロール(CHP)の可能性が高いですが、カリフォルニア州には、シェリフ(保安官)が取締をする場合もありますし、郡や市にも警察が設置されている場合もあります。

したがって、どこの行政かを探すよりは、捕まった場所を管轄する裁判所の交通部門に連絡するのが一番手っ取り早いということになります。

 また、最近では交通事件でもオンラインで事件を探すこともできるシステムを導入している裁判所もあります。

まずは、切符に書いてある情報、捕まった場所をもとに、インターネットで裁判所を検索するのが良いと思います。

 裁判所に電話をするとなかなか取り合ってもらえなかったりすることもあります。また、すべて英語で対応しなければならないので、大変かもしれません。しかし、交通事件になっていれば、情報はありますので、根気よく対応をするしかないと思います。

その裁判所近くの弁護士に委任することも考えられますが、まずは情報を探すだけの作業ですので、自分でできる限りのことはするべきだと思います。

Warrant(勾引状)が出ていたら

 かりに情報がもらえて、罰金を払えば良いという状況であれば、すぐに罰金を納付すれば事件は終了します。最近ではクレジットカードでも支払いができる場合もあるので、すぐに対応してしまえばよかろうと思います。

裁判所からの情報で、Warrantが出ています、と言われた場合、少々ややこしくなります。Warrantというのは、裁判所に出廷しなかったために勾引するための令状です。勾引状というものです

地方の交通事件に関するWarrantは、今までは移民行政と絡むことはありませんでしたが、同時多発テロ事件以降、様々な勾引状の情報も移民行政と共有されているという現実もあります。

小さな事件でも対応していないとアメリカに入国するときになんらかのトラブルになるのは本意ではないでしょうから、できればこの勾引状問題は解決しておきたいところです。

 次回もう一度今回の質問を考えていきたいと思います。主に勾引状について考えていきましょう。

なんだか、生活が変わってきてしまいましたが、健康を第一にまた一週間がんばっていきましょうね。


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訪米中の交通違反(1) _1205 

法律ノート 第1205回 弁護士 鈴木淳司
Mar. 22, 2020

 カリフォルニア州は、アメリカで最初に州全体に外出禁止令を出しました。クライアントの方々も困惑されている方が多く、多くの質問を受けています。弁護士は、対応する必要がある事例がある場合には、例外として事務所などに行くことは許されるそうです。裁判所も、行政関係も閉鎖されるところが多く、様々な影響が出ています。ワクチンができれば一段落するのでしょうが、それまではとにかく感染者を抑えることしかできませんね。皆さんは自宅で何をされているのでしょうか。

訪米中の交通違反(1) _1205 

 さて、今回から新しくいただいている質問を考えて行きたいと思います。

 いただいている質問をまとめると、「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符をきられてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」というものです。

連絡が来ない二つの理由

 外国に旅行することは楽しいですし、私も大好きですが、知らないところに行けばもちろんリスクも存在するわけです。今回の質問のように、警察が絡むと旅の楽しさが半減してしまうこともあるでしょう。盗難にあったりすることもあります。まあ、身体に危害が加わるような事態でなく「無事」であれば、何よりです。今回の方も無事にご自宅に戻った様子で良かったです。

 さて、今回の質問に関しての事後処理を考えていきましょう。まず、まったく連絡が来ない現状をどう見るかですが、考え方は2つあります。

一つは警察が事件化しない場合です。もう一つは、出頭命令書が出されてはいるが、うまく質問者の方に届いていない場合が考えられます。

警察が事件化しない場合

 まず、前者ですが、警察も事件化するかどうかを決めることができます。事件にならないと思えば、警察内で処分をしないという判断ができます。

 この処分をしないという判断には色々な理由が考えられます。上司が処分しないという判断をする場合もありますし、実際にスピード違反の検挙に使われたスピードガンが正確に作動していなかったという場合もありますし、書類が紛失した、などという場合もあるでしょう。

 理由はともあれ、警察内で処分をしないという判断になっているとすれば、出頭命令書はそもそも裁判所から来ないわけです。

  

出頭命令書が届いていない場合

 もう一つの場合ですが、通常交通違反はInfraction(微罪)といって、刑事裁判所の中でも交通部門(Traffic Division)が対応します。警察から事件が検察に送られて、起訴されますが、Infractionの司法手続は、法律で簡易な手続が決められていて、反則金さえ納めれば解決することができます。日本でいう青切符ですね。

 今回の質問にある事例も反則金さえ払えば終了できる事例だと思います。

 たぶん、質問に記載はありませんでしたが、今回の質問者は、国際免許証で運転していたと思われます。カリフォルニア州発行の運転免許証であれば、減点の対象になりますが、国際免許証であれば、カリフォルニア州の行政機関は減点することができません。ですので、基本的に反則金を支払い、事件を終了することができます。

 また、Infractionは、ほとんどの法律では前科にはなりません

 前科となるのは、重罪(Felony)と軽罪(Misdemeanor)であって、たとえば移民行政に関する申請においては、Infractionは原則申告をしなくても良いと考えられています。反則金の納付通知がくれば、その通知に基づいて支払いをすれば裁判所に出頭する必要はありません。

 この納付通知が来ないというのは、往々にしてありえることです。郵便事情です。

 特に外国に通知を出すということになると、紛失する恐れがあり、私も何度もこのような問題について耳にしたことがあります。問題は知らされないとどのように対応してよいのかわからないことが一つ。そして、裁判所も通知を出したものの反則金が支払われない、そして出頭もない、ということになると、裁判所の命令に反したということで、勾引状がだされることになります。

 この裁判所からの勾引状は、いわゆる逮捕状と同じような役割を負っていて、場合によってはアメリカに入国する際に留置される可能性もあります。

 このように、納付通知が来ない場合には大きく分けて2つの可能性がありますが、今回の質問にあるようにどのように対応していくのが良いのか、次回考えていきましょう。

 現在、ウイルスで異常事態が続いていますが、皆さんくれぐれも安全に気を払ってまた一週間がんばっていきましょうね。


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