じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 04-20-2022
Eビザ・Lビザ配偶者の就労許可
今回取り上げるのは、ビザを取得してアメリカで就労するというシチュエーションの方々には必ず確認していただきたい内容です。ビザを取得して主として働く方ではなく、その配偶者に影響する内容です。
Eビザ(投資など)およびLビザ(企業内出向など)の方々がアメリカ国内で働く場合、以前、配偶者は働けませんでした。
しかし、共働きの家庭などで、一方がアメリカに赴任するという場合、家庭内で不都合が生じることもありました。
そこで、EおよびLビザの配偶者(子供は含まれない)に対しては就労許可がおりるという政策に移行していったのです。
就労許可を取得する必要
この配偶者に与えられる就労許可については、主たるビザ保持者について発給されるので、ある意味自動的に与えられるはずですが、最近までは労働許可の申請をして、許可を得ることが求められていました。
この許可を得るプロセスにも申請料がかかり、時間もかかることで、コロナ禍の間にはかなり問題が発生しました。
就労許可のみなし扱い
そもそも、主ビザの発給があれば認められることから、2021年11月12日から、主ビザの配偶者であり、その資格でアメリカに滞在することをもって、就労許可があるとする、みなし扱いがはじまりました。
したがって、EおよびL配偶者ビザをもっていることで合法的にアメリカ国内での就労が許されることになったわけです。
雇用者は、移民法上被用者よりI-9という合法的に働けることを記した書類を受け取り常備することが要求されているのですが、ビザの写しをもって許可がある証明になるとしました。
EビザとLビザ配偶者には新たな地位
今回さらに一歩踏み込み、2022年1月30日から、EまたはL配偶者のビザには、新たにビザの許可クラス(Class of Admission)が創設、付与されることになりました。
内容は、2021年11月に変更されたままですが、ビザの記載に若干の変更が生じることになりました。
Eビザ、Lビザの配偶者には、今後E-1S, E-2S, E-3S, または L-2Sといった記載となり米国に合法滞在をしていることを示すI-94にも「S」がつくことになります。
このSは、配偶者(Spouse)を示しており、合法的に労働ができることを簡単に周知することが目的となります。
E-1S, L-2SなどS=就労可能
ソーシャルセキュリティー番号は取得する必要がありますが、労働許可を別途得ることなく働くことができますし、また働ける資格はこの新たな「S」という許可クラスが付くことで、雇用主にも簡単に説明することができます。
今後、雇用をする側としても、この「S」という表記を確認すれば滞在資格について問題はない、ということになりますので、確認が容易になると思います。
私が所属する事務所でも、この許可クラスがE2Sと記載されたものが目につくようになりました。したがって実務でもスムーズに運用されているようです。
EまたはLビザの付帯ビザとして発給される場合、配偶者のみが就労可能であり、子供などには適用されませんが、自動的に労働許可が与えられるという運用になりましたので、これから赴任される方、すでに入国されていて、配偶者の方が働くことを考えられている方については、朗報ということになろうかと思います。
また、次回新しいトピックを考えていきましょう。
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