法律ノート 第1286回 弁護士 鈴木淳司
October 26, 2021
今週末は、嵐が来るという予報でしたが、高速道路を走るとかなりの雨の量でした。
今まで見たことがないほどに冠水していました。そもそも水はけなどを考えずに街を組み立てているのか、高速道路の追込車線は車の下まで浸かりそうな水たまりで、少し走っただけでも4件の交通事故を見ました。
まったく雨が振らなかったところにびっくりするくらいの水が空から落ちてきて、今週末は交通については大往生でした。
しかし、道に倒れている木を見ると、今まで何ヶ月も水を待っていたのに、降って倒れてしまうというのは切ないと思いました。
ネットから子どもを守る法律(2)_1286
さて、前回から考えがえてきた「コロナ禍で、子どもたちの学校も休みになっています(2020年の質問)。オンラインで授業には参加していますが、子どもたちのために、それぞれタブレット端末を買いました。子どもたちは喜んで使っているのですが、色々なウェブサイトを閲覧したり、さらにはゲームなどを勝手にダウンロードして遊んでいる様子です。セキュリティ等のできることはやっているので大丈夫かなと思っていたのですが、犯罪などに巻き込まれるとか、勝手に課金されるのでは、と憂慮しています。法律で、子どもたちのインターネットに関して守らなければならないことなどはあるのでしょうか。また、安全なインターネットの使用のために気をつけておいた方が良い法律はありますか」という質問を続けて考えていきましょう。
基本的にはペアレンタル・コントロールで対応
前回考えたように、基本的には親権者が子どものオンラインの使用を管理する責任がありますから、ペアレンタル・コントロールなどを駆使して、子どもの行動を監視するしかないと思います。
COPPA–Children’s Online Privacy Protection Rule
一方で、COPPAと呼ばれる連邦の規則があります。
COPPAとはChildren’s Online Privacy Protection Ruleの略で、未成年のためのオンラインプライバシー保護規則となります。
詳細は、このリンクに書かれています。
https://www.ftc.gov/enforcement/rules/rulemaking-regulatory-reform-proceedings/childrens-online-privacy-protection-rule
この規則は1998年にまず制定され、2013年に改正されています。
この規則は主に13歳以下の未成年を保護することが目的で、どのような情報を未成年から収集して良いのか、などを規定しています。
この規則は原則として商用のサイトで、13歳以下のアクセスが予定されているサービスを提供している業者に適用されます。
そして子どもの情報を収集する場合にはどのような情報が収集され、管理されるのか、などについて幅広く規定されています。
したがって、親が何かをする義務があるというシチュエーションではなく、商用のウェブサイトへの遵守を課しているのです。
また、13歳以下の未成年者に関する情報を収集するサイトであれば、子どもをターゲットにすることに特化していなくても、ウェブサイトは遵守が求められます。
COPPAの内容
この規則の大まかな内容は以下の通りです。
まず、子どもの個人情報を収集するのであれば、その収集する旨をウェブサイトで明示しなければなりません。
また、ウェブサイトを利用するうえで、情報収集するためには事前に、親権者の同意が必要であることを明示しなければなりません。
それから、親の同意が必要だとしても、その同意内容について、業者が内部で使用する限りに個人情報の開示を許可し、第三者には情報を提供しない、としなければならないと規定されています。
上記のようにサイトが一定の内容を取り込んでいないといけないという建て付けになっていますが、一方で、親権者が積極的に個人情報のコントロールができる仕組みを提供することを義務付けています。
すなわち、親権者が子の情報を随時確認し、個人情報を必要に応じて変更できるような仕組みをつくらなくてはいけませんし、親権者が将来的に業者にいつでも個人情報の使用を停止するような裁量を与える必要があります。
情報の提供先の制限
更に、未成年者の個人情報については、情報管理を徹底すること、そして情報は親権者のみに提供することに留めること、などの情報管理についても規定されています。
また情報についても、必要最小限の情報で、使用するために必要な程度のみに限られ、サービスが必要でなくなれば情報を削除しなければなりません。
また、サービスの使用の条件として個人情報の提供を義務付けてはならないとされています。
このように広範な規定があり、子どもの個人情報を守ろうとしていますが、原則として18歳以下は使えないとしているサイトには子どもたちをまったくアクセスさせないような努力が親にも必要です。
また、18歳以下でもアクセスを許しているサイトについては、特に13歳以下も使用できるサイトであれば、このCOPPAに従って情報収集し、サービスを提供しているのか注意を払うことが親権者としての義務になります。
今回の質問者の方もそうですが、子どもさんがいる家庭では一度COPPAに目を通して内容を知っておくと良いと思います。
また、次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。
雨があがって空気は清々しいですが街のいたるところでは、大雨被害が出ています。
季節替わりですが、風邪など引かないように注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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