法律ノート 第1262回 弁護士 鈴木淳司
May 11, 2021
すでに今年もカリフォルニアは水不足になるということです。シエラの貯水は通常の30%程度だそうです。
火事も怖いですが、水不足も今からラジオで注意喚起がされています。今年の夏は昨年同様に思いやられます。
もともとカリフォルニアは水が潤沢ではない土地柄なんですよね。
開拓している途中ではあまりわからなかったのかもしれませんが、今これだけ人口が増え、砂漠のようなところにもマンションが立ち並んで行ってはじめて気づく問題なのでしょうか。
この水不足や火事もカリフォルニアから引っ越す人たちのインセンティブになっているようですね。
日本はこれから梅雨ですが、雨の半分でもわけてもらいたいものです。
コロナ禍でリモート-H1Bビザに影響は? (1)_1262
さて、今回はコロナ関連の質問を考えたいと思います。
いただいている質問をまとめると「私は日本の企業の駐在として、シリコンバレーで現地法人社長をしております。私も私の家族もLビザで渡航しております。会社に一人、H1Bビザで数年働いている有能な日本人がいます。コロナ禍になったので、社内全員が自宅からリモートで勤務しているのですが、日本本社から、リモートをしていると会社で働いていないわけで、ビザの維持に問題がないのか聞かれています。社員のこともありますし、自分自身のこともあります。」というものです。
この一年、本当にコロナで色々なことが変わってしまいました。
せっかく新たにアメリカの大学に入学した留学生も実際には学校にはほとんど行けずに友達もできない。
就労ビザの許可を得て、働きたいと思っていても、なかなか会社も機能しないなどと、世界中が凍りついてしまったような状況です。
アメリカ就業ビザへの影響は大
今回の質問は移民法に関する質問ですが、細かいようでかなり外国人には影響するポイントでもあります。
詳しく取り上げていきましょう。
まず、今回の質問を考える前提として、LビザとH-1Bビザについて簡単に考えます。
現状で、アメリカで日本国籍を持つ人達が就労しようと考えると主に、LビザとH-1Bビザそして、Eビザが考えられます。
いわゆる駐在という立場の方たちが許可を得るのは細かい枝分かれはありますがこの3パターンであります。
LビザとH-1Bビザの違い
ここでは、LビザとH-1Bビザに絞って考えます。
L-1Aというビザは会社の管理者を日本からアメリカに送る場合に通常使われます。
ですので、今回質問されている方もたぶんこのL-1Aビザの許可を得られているのだと思います。
H-1Bビザは専門職のビザで大学や大学院で学んだ延長の就職をするときに用いられ、現状ではITや医療、そしてサイエンスの就職に広く使われています。
もちろん文系でも、会計、法律などにも使われます。
Lビザというのは、アメリカに管理職を送り込む本社がどの程度の規模で、どのような仕事をアメリカで行うのか、ということに許可のフォーカスがあてられます。
前政権下では、微に入り細に入り嫌がらせのような質問も多かったビザです。
一方で、H-1Bビザは、申請する外国人の能力にフォーカスが置かれます。
もちろん、雇用する会社も実体を説明していかなければなりませんが、申請者本人の能力と提供されるポジションのマッチングなどが重要なフォーカスとなります。
LビザとH-1Bビザの申請過程で大きく違うのが、Hビザは移民申請の前に、必ず労働許可を米国労働局から取らなければなりません。
アメリカの労働市場への影響
一方で、Lビザにはそのような要件はありません。
なぜ、H-1Bビザの許可過程でややこしい労働許可の手続きが必要になるかというと、Hビザは専門職として就職をするわけですから、アメリカ人の労働を奪うことを最小限化することと、移民が低賃金で雇用される危険を最小限化するという目的があるからです。
Lビザはどちらかというと、外国企業がアメリカに来てお金を遣ってくれるわけですから、会社にお金があればウェルカムというスタンスですが、Hビザはアメリカ人の雇用に影響するかもしれないので、労働局も介入するということになっているわけです。
このように米国労働局が介入するかしないかはビザによって異なるわけですが、今回の質問にも実は影響する可能性があります。
Hビザは労働局が、「アメリカのどの地域で働くか」を勘案した上で、許可を出します。
ですので、就労場所は限定されているのです。
Lビザは労働局の介入がないので、就労場所というのは厳しく決められているわけではありません。
そうすると、就労場所について、もう少し米国労働局がどのように考えているのか、掘り下げる必要がありそうです。
ここから次回続けて考えていきましょう。
ベイエリアでは夏のような陽射しで暑いくらいです。渇水の憂慮を除けば気持ち良い季節です。花粉もおさまってきました。
コロナに負けず、楽しみをみつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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