米コロナ禍の家賃トラブル(2)_1261

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1261回 弁護士 鈴木淳司
May 2, 2021

 私の所属する事務所が所在するサンフランシスコダウンタウンでは、レストランも徐々に開き、少しずつ活気が戻ってきました。
バイデン大統領が、一定の屋外活動にはワクチンを打った前提でマスク着用をしなくて良いというCDCの方針を最近国民に対して流しました。
その影響もあるのか、先日、6,7人のおじいちゃん、おばあちゃんグループが大きな声で笑いながら、楽しそうにマスクもつけずに事務所の近くのレストランに向かっていました。そのような光景を久しぶりに見ると、少々の驚きのあとに感慨深さを感じます。
アメリカではトンネルの出口は見えてきたのでしょうか。

米コロナ禍の家賃トラブル(2)_1261

 さて、前回から考えている質問を今回もまたみなさんと一緒に考えていきましょう。

考えはじめた内容は、「昨年(2020年)夏にアメリカの大学を卒業しました。その後、大学を通じてプラクティカルトレーニングをしようとしていたのですが、プログラムが閉鎖され、急遽日本に戻りました。日本で就職活動を続けていたのですが、数ヶ月してから借りていたアパートからセキュリティデポジットだけでは足りないので、あと数千ドル払えという督促状のようなものが日本の自宅に届きました。すでに、コロナ禍において合意してセキュリティデポジットも返してもらうことになっていたのですが、更に支払いを求められていて納得がいきません。このような場合にはどのように対応するべきなのでしょうか」というものです。

賃貸借は一年など長期契約が前提

 前回は、通常、賃貸借の契約書は、たとえば1年間などと期間が決まっていて、その期間の金額を12等分にして支払うという形になっていることを考えました。
ですので、毎月の支払いというよりは、一年間の支払いを分割にして払うというイメージを持ってください。

つまり、一年間の支払いを全うせずに中途で解約をすることは想定されていません

仮に中途で解約する場合には、合意がない限り、残額の支払いが必要になります。通常は、このような中途解約の方法についても契約書に明記されている可能性は高いです。

「合意解約」?

 さて、今回質問されている方は、「合意で解約をした」ということを書かれています。
コロナ禍があったわけですから、家賃が払えなくなるケースも多く、政府が立退きの制限をしたり、家賃の扶助をしたりする政策もかなりの数できました。
基本として、大家と店子が敵対する必要はなく、逆にお互いの利益を尊重しながら着地点を見つけるのがこのようなパンデミックの中では必要となります。
したがって、「合意解約」ということについても十分に考えられるのだと思います。

問題は、合意解約をどのような形で行ったか、ということです。

契約内容を再確認

これには、もともとの契約書を確認する必要があります。

契約書には、内容の変更について規定されていることが多く、書面で作成した契約書は、書面でなければ契約の変更はできないといった条項が含まれています。
そのような条項が契約書にあると仮定した場合、たとえば電話だけでやり取りした場合には、「合意解約」と言えるのか怪しいことになります。
電子メールで、やり取りがある場合には、「合意解約」であると解釈される可能性はあります。
できれば、両者のサインが入った簡単な合意解約書があるのがベストではあります。

ここでは、少なくともなんらかのメールのやり取り、または書面で合意が取れていると仮定しましょう。

そうすると、合意して解約している以上、それ以上の支払いを大家側が求めることはできません。
ですので、今回質問されている方の言っていることは筋が通っていることになります。

もしかしたら、その合意内容を大家側の担当者がちゃんと理解していない可能性があるので、支払いは合意解約によって消滅したということをちゃんと伝えたら良いと思います。

通知は見過ごさない

今回のようになにか支払いをしろ、という通知が来た場合には無視するのは良くないと思います。

下手に無視をすると、裁判を提起されてしまう可能性もあります。
ですので、少なくとも大家側に合意解約がされたので、これ以上の支払いはしないし、セキュリティデポジットを返還してほしい、ということは伝えたほうが良いと思います。
この通知もメールか書面で行うべきでしょうね。

アメリカから出国後の場合

ただ、質問者は日本にすでにいるようです。

そうすると、アメリカにいる大家としても、訴訟を提起しても回収できる見込みはかなり低い(金額にもよりますが、費用倒れする可能性がある)一方で、日本にいるテナント側からアメリカの大家に対してセキュリティーデポジットを返せ、と言っても簡単に返してこない可能性も高いわけです。

可能であれば、アメリカで現地にいる間に、金銭的な精算は終わらせておくのが賢明だと思います。

次回新しい質問を考えていきたいと思います。

夏のような陽射しの週末です。太陽を楽しみたいですね。
日本はまた深刻な状況になってきつつありますが、オリンピック開催は本当に大丈夫なのでしょうか。
気を抜かずに安全と健康に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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