会社をたたむー法的な手続きは?(4)_1233

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1233回 弁護士 鈴木淳司
October 13, 2020

 最高裁判所判事の空席を埋めることに現アメリカ政権は躍起になっています。他の経済問題等を差し置いて、とにかく超保守派の人を判事にしようと承認を得るための手続きを加速させています。ブッシュとゴアが大統領選挙で戦い紛争が生じて最高裁判所の判断まで至ったことをご記憶の方も多いと思います。現大統領も、選挙結果に不満があったときに最高裁判所まで争うことを想定しているのかもしれません。そのための伏線なのだと思います。なんだか、司法が政治利用されているような感じがしています。大統領選も近く、秋本番ですね。みなさんは季節を楽しまれていますか。

会社をたたむー法的な手続きは?(4)_1233

 さて、「日本とアメリカの間で、インターネット売買の仲介をしている会社を経営しています(経営はカリフォルニア州)。最近コロナ禍によって売上が激減し、会社を畳もうと思っています。カリフォルニア州の法人として活動をしていたのですが、会社の営業活動を一切やめることを前提でどのような法的手続きを取ったら良いのか教えてください。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。

一口に破産と言っても…

 前回は、主に3つの種類の破産があるということを考えました。今回この3つを概観していきましょう。

 まず、一番多く使われ、今回質問されている方にも適切と思われるのが、消滅型の破産です。前回考えましたが、消滅型というのは、チャプター7と呼ばれるものです。

 アメリカでは実際に一番多く使われている破産の類型です。
申請に提出する書類は、裁判所によって多少の差はありますが(いわゆるローカルルールですね)、アメリカの連邦法に基づく申請なので、内容に差はありません。

チャプター7の手続き

 チャプター7というのは、まず破産裁判所に申請を行います。
 そして債権者に対して破産手続が開始されたことが通知されます。

 破産申立が債権者に通知されると、債権者は取り立てを続けることが禁止されます。また、すでに裁判手続が進行している場合でも、破産の申立によって一時的に停止されます(Automatic Stay)。

 そして、破産裁判所は、管財人(Trustee)を選任します。弁護士等から生成されたリストが破産裁判所に常備されていて、このなかから選任されるのです。

 管財人は、どのような財産が残っているのか、どのような負債があるのかを確認します。
そして、債権者集会というのを、破産の申請から通常は40−50日経過したときに設定されます。

そこには、破産を申請した人が必ず参加しなければならず、自己の財産や負債についての質問に正直に答えなければなりません。

 ただ、債権者集会には、必ず債権者が参加するということでもなく、通常の破産手続における債権者集会というのは自分以外に出席者がいない、などがらんとした場合も多数あります。

その債権者集会が終わり、管財人が財産についてはすべて処分すると、負債が免責されます。とくに、担保がついていない個人的な借金や、クレジットカードのローンなどについては、一般的な免責対象です。

管財人が債権者集会を終え、財産を換価し、債権者に残った財産を按分すれば、免責となり、破産手続きは終わります。

残せる財産と免責されない債務

チャプター7において、弁護士やファイナンスの専門家と協議しなければならない重要な点は、(1)どの財産を破産手続から除外し、維持できるのか、という点と、(2)どの債務について免責されないか、という点があります。

 どちらも、連邦法だけではなく、州法にも規定されています。
 今回質問されている方についても、他のかたもそうですが、具体的にすべての財産と負債をリストアップしてから、具体的に検討するのが妥当ですが、ここでは一般論を考えておきます。

 まず、破産者が手元に残せる財産ですが、生活し仕事するのに必要な財産一般です。

 たとえば、車で年式が古いものなどが考えら得ます。住居も場合によっては該当します。
家具や衣服など必要なものは手元に残せそうです。また、仕事に必要な道具なども残せます。
それから、リタイアメントアカウント(公的、私的年金)については、手元に残せそうです。

 次に、非免責債権つまり、裁判手続を経ても債務が残るものの一般論を考えておきましょう。

 主に公の義務にかかわるものです。例外はありますが、税金は基本的には免責されません。

 所得税に関しては一定の要件を満たせば免責されます。次に、家族へのサポートは免責されません。離婚などで決まった債務も免責されません。例外はいくつかありますが、学生のローン(Student Loan)も免責されません。その他にも、公的な内容の債務は免責されないものがあります。

 このように、色々な難しい例外があるので、具体的に自分の財産と負債をはっきりさせて、弁護士やファイナンスの専門家に相談し、破産手続きが終わったときに、どのような状況に置かれるのか、想定したほうが良いと思います。次回続けていきましょう。

カリフォルニアの火事もやっと沈静化してきて、秋の気配を感じる週末でした。私はインフルエンザの予防注射を今日打ってきました。今年は、やはり色々なウイルスの問題があるので、しっかり対策したいですね。また来週まで、選挙でぐるぐる世の中は盛り上がっていますが、楽しいことを見つけてがんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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