法律ノート 第1240回 弁護士 鈴木淳司
Nov 29, 2020
今年のサンクスギビングは暖かかったですが、やはりコロナの影響がどこにもでているような状況で、何をやるにでも抑制的な休みでした。しかし、コロナが増えていますね。コロナは待ってくれませんから、医療従事者の方々は、それは大変な時期だと思います。本当に敬意を払いたいと思います。私の身内にも医療従事者がいるのですが、ぜひ安全に体力を維持してほしいと願っています。
IT企業のアメリカ進出(4)_1240
さて、前回まで「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」という質問を考えてきました。
前回は、ビザに関して主に、Eビザを考えました。
現在、トランプ政権末期においても、ビザに関する規制は緩和されておらず、新規のビザ発給がかなり制限されています。
今回の質問に資するのはEビザのみですが、今後新政権が、プライオリティと考えているコロナ対策等が落ち着けば、ビザの規制緩和が見込まれます。ただ、現状では、ビザ氷河期と言って良いと思います。
アメリカでの会社設立のメリットー資金移動とビザ取得
今回は、ビザの話題に関連しますが、アメリカにおける会社の設立について考えておきたいと思います。
アメリカに進出するときに、まず会社を設立するという方が多いのですが、その主な趣旨は、アメリカ国内において、銀行口座を通して出入金をする必要性があること、それから移民関係の申請に米国内に会社があることがベターなケースが多いこと、といったところでしょうか。
最近ではいろいろな決済方法存在し、どこに銀行口座があるのかそもそも必要性がどの程度あるのか疑問ではあります。また、マネーロンダリング対策から、銀行口座を開設することがなかなか簡単ではありません。
ただ、ちゃんと会社を設立しておくと、口座もより作りやすいことはあります。
また、会社の設立をして、ちゃんとした実体を持っておくと連邦の納税システムに登録され(雇用者納税番号(Employment Identification Number))国としても、どのような活動をしているのか把握しやすくはなるわけです。
もちろんビザのことを考えると、アメリカに会社を設立しなくても、親会社の支店登記を米国においておこなえば十分にビザの申請は可能です。
しかし一方で、将来の成長を見込んだり、将来的なビザの更新を考えたり、さらには、日本とアメリカで法人の責任を分離できるメリットなどを考えると、どこかの時点で会社の設立を考える方が、アメリカに根付くにはベターといえると思います。
どのタイミングで設立するか
問題は、会社を設立するとしてどのタイミングで設立するか、ということになります。
会社をアメリカ国内で設立するのは、さほど手続的に難しいものではありません。
一方で、設立にはある程度実費や手数料がかかりますし、毎年の更新費用や、会計費用が発生することになります。
一度設立してしまうと、清算するまでいろいろな責任が会社に発生するので、メンテナンスに費用がかかることになります。そうすると、いきなり会社を設立するのではなく、前回までに考えてきたように、順次ビジネスの可能性を見ながら、ビジネスプランが固まってきた段階で会社を設立しても良いのかな、と思います。
それまでは、日本の本社等の口座を利用して、支払いをするとか、クレジットカードを使うなどの方法論でも今の世の中間に合うのではないでしょうか。
会社のタイプは州によっても様々
では、会社といっても、どのような会社を設立するのが良いのでしょうか。
アメリカには50州あり、各州が会社法を整備していますので、50州別々の会社の設立方法が用意されています。デラウェア州の法人が良いとか、ネバダ州の法人が良いとか、たとえカリフォルニアでビジネスをしてもいろいろな州の法人の良い悪いが議論されています。
法律事務所によっては、いくつかの州のメリット・デメリットなど、お金をとってセミナーしていますが、本当にそれほど違うのでしょうか。
50州別々であっても、一つの国のなかの話であって、基礎的な会社の構造や運営に違いはありません。この辺のところから次回続けて考えていきましょう。
それなりに暖かい日が続きますが、朝晩はかなり冷えるようになりましたね。寝るときは暖かくしてこの時期ですから風邪などには注意してまた一週間がんばっていきましょうね。
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