法律ノート 第1218回 弁護士 鈴木淳司
June 22, 2020
タカ派のジョン・ボルトンが現大統領についての本を今週出版するそうです。私も興味があるので、電子書籍で予約をしました。本屋さんには申し訳ないですが、コロナのときに電子書籍はかなり威力を発揮しています。この本については、週末に連邦裁判所で発行差止めの訴訟をウィリアム・バー司法長官が行い、負けました。なんだか観ていて、親狸の所業を子狸同士で化かしあっている感じがします。この本が出て、じゃあ、何が起きるのかというと、何も起きないような気がしますが、生真面目なボルトンが民事訴訟のリスクをかけて書いているので、一応読んでおこうかと思っています。日本のことも言及しているみたいですね。皆さんはコロナ対策いかがでしょうか。
ドメスティックバイオレンスで有罪。講習は必須か?_1218
さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると「以前DV事件で有罪となりました。色々な事情があって、公選弁護人に依頼しました。事件が終わって1年間の講習を言い渡されたのですが、新たに始めた仕事の都合でいけなくなりました。そうしたら、呼び出しが来て、刑務所に入ることになると先日裁判所で言われたのですが、講習というのは行かなければならないものなのでしょうか。通訳の人も来ていたのですが、言っていることが理解できませんでした」というものです。
公選弁護人は多忙、通訳士は能力差大
長々いただいたメールを端折りました。具体的な内容についてはぜひご自身の弁護を担当された公選弁護人に聞かれたら良いと思います。忙しいかもしれませんし、充分な答えがないかもしれませんが、公選弁護人はとにかく忙しいし、事件が次から次です。ですので、あまり過度な期待は持たないほうがよいかもしれません。
それから、通訳の人ですが、法廷通訳という職業がありますが、はっきり言ってピンキリです。私も20年以上「法廷通訳」の人たちを観てきていますが、私が日本とアメリカの法律知識に基づく法律用語の使い方から見ると、実際に正確に訳している人達は数パーセントだと思います。20年前から知っている素晴らしい法廷通訳の方がベイエリアにはいるのですが、訴訟になってその人の顔を見るとかなりホッとしたりもします。
昨年には、この優れた法廷通訳の人がいきなり他州の連邦裁判に現れて、びっくり嬉しいこともありましたっけ。しかし、一般的にクオリティはかなり低いのが実情です。ほとんどの法廷弁護士は日本語ができないことから、スルーしてしまいますので、商売が成り立っているように思います。私は絶対にスルーしません。色々個人的には思い出話があるところですが。
カリフォルニアはDV事件に厳しい
さて、DV事件というと刑事事件でしょうから、結局は有罪認定となった事例のようです。カリフォルニア州でDV事件が厳罰化されたのは、OJシンプソン事件がきっかけです。妻がかなり暴力を振るわれていたのに、死亡する前に止められなかった、ということがあったと思います。
夫婦喧嘩が悪いわけではありません。暴力が悪いのです。
ただ家庭内のことですので、なかなか第三者や裁判所が介入することができません。
したがって、今回相談されている方は、なせ一年間のカウンセリングをうけなくてはいけないのか、ということを言われていますが、中長期的にみて状況の沈静化を確認するという方法論をカリフォルニアでは立法したわけです。
罰金ではなく教育とカウンセリング
カリフォルニア州において、DV事件で有罪を認めると(陪審員によって有罪評決がなされると)、罰金は安く数百ドルの範囲です。
ところが、必ずトッピングとして1年間のカウンセリングが義務付けされます。
これは判決の一部になりますので、完了することが義務付けられます。
ですので、今回メールにある講習というのが、この52週間(1年間)の講習の一部であれば、判決の一部ですので、ちゃんと終わらせないと、判決に違反したということになります。
今回裁判所に呼び出されたという記述がありましたが、これは判決の一部を履行していないではないか、ということで、呼び出されていることになります。宿題をちゃんとやっていないから先生から呼び出されるという感じでしょうか。
講習には義務として参加すべき
ですので、1年間のDV講習・カウンセリングについては、行かない時期があったとしても、ちゃんと終わらせないと判決に反することになってしまいますので、「義務」として理解してください。色々な類型のDV判決がありますが、講習を義務付けられるのは一般的ではあります。
仕事の事情があれば、日時の変更は可能ですので、柔軟に終わらせるべきです。かりに裁判所の指示にしたがって終わらせないと、判決に反する行為として、さらにペナルティが発生して、禁錮になる可能性もあります。
次回また新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。アメリカにいる皆さんはまだまだコロナの勢いが削がれていませんので、注意しながらまた一週間がんばっていきましょう。
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