法律ノート 第956回 弁護士 鈴木淳司
Sep 13, 2015
夏ももう終わりですね、などと前回の法律ノートで書いてからベイエリアは大変な暑さになりました。ガイドブックなどに「インディアン・サマー」と書かれていることも多いですが、夏が再来したような気候が続いています。カリフォルニアでは山火事がまだまだ続いて、日本では大雨で被害がでていますが、静かに秋を迎えるという感じではない年ですね。皆さんのお住まいの地域は平穏でしょうか。
アンインシュアド・モータリスト保険とは?(2)_956
さて、前回から考え始めた「最近交通事故に巻き込まれたのですが、相手方が保険に加入していないということで、車に生じた損害を請求するのに困った状況になっています(人身傷害があったかは不明)。このような場合に、アンインシュアド・モータリスト保険(Uninsured Motorist Insurance)というのがあると聞いています。この保険は任意に加入するものなのでしょうか。加入するとして、どのような保険なのか教えてください」という質問を考えていきましょう。
任意保険だが、保険料が安いのが一般的
前回、アンインシュアド・モータリスト保険というのは、日本語でいうと、保険未加入者対応保険、ということになろうか、ということはお話しました。事故に遭った場合、相手方が強制保険(いわゆる自賠責保険)に加入していないときに、損害を填補するための保険であり、州ごとによって設定が異なります。
事故の相手方が支払うべき損害について、自分で保険に加入し、そして事故に遭った場合には、自分が支払った保険から填補されるという、なんとも矛盾とも思える保険です。
カリフォルニア州でも、保険未加入者対応保険は普通にオファーされていますが、州がこの制度を下支えしているので、保険料は年間で数十ドルとなっています。ある意味気軽に払える金額なので、できれば加入しておいた方がよかろうということになります。
今回質問されている方も「任意かどうか」ということを質問されています。任意保険でありますが、保険料が安いのが一般的なので、ぜひ加入されたらいかがでしょうか。
自分が保険料を払った保険会社に弁護士を立てて交渉することに
さて、保険未加入者対応保険に加入しているとして、事故に遭って、相手方が保険にまったく加入していないという場合には、どのように処理をされていくのでしょうか。
もちろん、最終的には保険に入っていようがいないであろうが、交通事故は過失がある運転手の責任であります。しかし、過失のある運転手に責任財産(損害を払うためのお金)がなければ、被害者は被害の回復が実現しない可能性が大きいわけです。そのための保険でもあるのですが、保険がないと、被害者は自分が加入していた保険未加入者対応保険を利用して、損害の填補を受けることになります。
ここで、保険未加入者対応保険を利用する場合、自分がお金を払って加入している保険会社に対して請求をするわけですが、通常の保険のように、自分が利用する保険会社が全面的に「味方」になってくれる、というスタンスには立たない状況になります。
あくまでの保険のない過失のある加害者の損害を填補する立場になるのですから、皆さんに対して「出来る限り支払う」というスタンスではなく「できるだけ支払いを渋る」というスタンスで向き合ってきます。
特に慰謝料の算定についてはかなり渋ってくるということになります。結局、相手方の保険会社に損害や慰謝料請求をするのと変わらない形で保険会社に請求をしていくということになります。
利害が対立する請求については、弁護士を立てて損害や慰謝料を請求するのがアメリカでは一般的ですし、日本でも弁護士が最近では交通事故の案件を積極的に受任していますね。
そうすると、自分が保険金を支払ってきた保険会社に対して、弁護士を立てて交渉をするというなんともいびつな形になってしまいます。しかし、これがアメリカの現実であります。
かなり特殊な保険制度が基礎にある保険
今まで何回か、自分の保険会社があまり「払ってくれなかった」という不満をお持ちの方と会ったことがありますが、よく話を聞くと、この保険未加入者対応保険が適用される場面でした。自分の保険会社だと思って、素直に言うことを聞いていたことになりますが、実は利益が対立する場面だったということですね。
このように、保険未加入者対応保険は、かなり特殊な保険制度が基礎にありますので、皆さんも事故に遭われた場合には、注意が必要なところだと思います。次回また新しく頂いている質問を考えていきたいと思います。
ベイエリアのマーケットではアメリカ産の松茸も見かけるようになりました。きのこが美味しい秋なんですね。季節替わりの風邪に注意してまた一週間がんばっていきましょうね。
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