法律ノート 第1087回 弁護士 鈴木淳司
Dec. 10, 2017
ナパの火災が終わったと思ったら、今度は南カリフォルニアで大規模火災が発生しています。12月は気温が下がるので、歴史的に山火事は少ないはずですが、今年はカリフォルニアで本当に火事が多く異常に感じます。民主党の州知事は今日、現地に入りコメントしましたが、冬の火事も一般的になってきた、その理由は地球温暖化だ、と現政権の方向性にチクリと一言入れていました。生命の危険や財産を失った方々が多くいらっしゃいます。本当に心が痛みます。
ESTAでアメリカ出張、入国拒否(1)_1087
さて、今回からまた皆さんからいただいている質問を利用させていただき、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると、「先日、会社(日本の本社)の同僚が日本から出張にくる際にイミグレーションで止められ、入国を拒否されました。理由はいくつか考えられますが、何度もアメリカと日本を行き来していたことも関係しているのではないかと思います。どういった場合に疑われるのでしょうか。また、今回同僚はビザなしで入国を試みたのですが、今後ビザなしでの入国をすることはできないのでしょうか、というものです。
移民政策に厳しいトランプ政権
近時、現政権の意向が働き、移民政策に非常に厳しくなっています。最近でも仮の命令ですが、アメリカ最高裁判所は、トランプ政権の中東8カ国からのアメリカ入国禁止の大統領令を支持しました。もちろんこの大統領令は特定の8カ国に対するものですが、一般的な移民政策はアメリカに入国しようとしている外国人に不利益をもたらす方向性で動いています。いろいろな政策を見ても、現政権は行き当たりばったりな政策ばかりですが、移民政策も同じように感じられます。
ESTAと呼ばれるビザなし入国
さて、日本人は、ESTAと呼ばれるビザなし入国が許されている国の一つです。ESTAというのは、歴史的に不法移民が少ない国の国民が米国入国に使える方法で、最大で90日間アメリカに、観光や一定の視察に使用することができる入国方法です。ビザが不要なので、ビザなし入国という呼び方もされています。
ESTAは日本にいるときに情報を入力して許可を受けます。ESTAによる入国が、二度目からはキオスクがある空港ではキオスクを利用して入国が可能なので、かなりスムーズに入国ができるようになっています。
最近になって、ESTAでの入国拒否の事例が目立ってきたように思います。
今回の質問者の同僚もESTA入国を拒否されているようですが、理由については、拒否されたときに詳細に陳述等が記入された書類が用意されています。場合によってはその書類の請求をすることも可能です。時間がかかりますが、どのような理由になっているのか、確認することができます。まずは、その理由が書かれた入国税関管理局(ICE)が作成した入国拒否に関する書類を取り寄せることが重要です。入国拒否の理由は様々あります。
一度入国拒否された場合、次回はビザの取得が必要
一度ESTAによって入国しようとして、拒否された場合、その次にアメリカ入国を試みるためには、ビザを取得しなければなりません。日本人であれば、比較的許可を得やすいのはBビザでしょうか。Bビザというのは、ビザなし渡航が許されていない国の国民がアメリカ入国に使いますが、用途はビザなし入国とほぼ類似していると考えてください。
Bビザを申請するには、過去のESTA拒否について記述しなければなりません。必ず申告をしないと、申請書に虚偽があったとして、さらに入国ができなくなる可能性があります。
現在、在外アメリカ大使館は、かならずアメリカ国務省を通して、バックグラウンドチェックをしてからビザの許可をします。そのため時間がかかるのですが、過去の移民局関連、犯罪関連の情報は持っているということを前提にして申請をしなければなりません。今回の質問者の同僚の方は、事情を踏まえて申請書を慎重に作成したうえで、Bビザの申請をすることになろうかと思います。
入国拒否の理由を確認する
さて、今回の質問に関して、どのような理由で入国拒否になったのか、よくわからない様子ですが、いくつか代表的な事例を考えていきましょう。この法律ノートを読まれている日本在住の読者が、ESTAを利用してアメリカに入国する場合、気をつけるポイントにもなるかもしれません。最近、私の所属する事務所に相談があった事例をご紹介しつつ、次回続けて考えていきたいと思います。
もう年末ですね。年末になってもやることが多いのですが、頑張らなければと思っています。みなさんも、年末年始までもう少しですね。一年のけじめをつかる時期です。お互い体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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