米国で非営利団体を設立したい(1)_1132

Golden Gate sanfran

法律ノート 第1132回 弁護士 鈴木淳司
Oct. 22, 2018

 アメリカでは、日本の暴力団組織は、主に2010年に米国からテロ組織指定されたことから、今更ながら、かなり遡って暴力団と関係があったことを理由に米国に入国拒否される日本人が増えています。一方で、あるアジアの国に出張しているとき、いわゆるスーパー銭湯でくつろいでいると、全身入れ墨の日本人が結構いるのです。日本では公衆浴場では入れ墨が禁止のところが多いので、逆に興味深く感じてしまいます。不思議な光景が外国にはあるものです。

米国で非営利団体を設立したい(1)_1132

 さて、今回から、新たに、読者の方からいただいている質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると「現在アメリカの大学でソーシャルスタディーズを勉強しています。卒業したら、賛同してくれる友人とともに、海外に住む日本人や、日本に行きたいという外国人を支援する非営利の団体をつくりたいと思っています。まだ、アイディアは漠然としているのですが、寄付を募ってこのような団体を設立し、将来米国を中心にして活動をしたいと思っているのですが、可能なのでしょうか。」というものです。

非営利団体の設立と運営の基礎

 今回の読者の方のメールを読むと、日本の大学を中退され、何年かボランティア活動をし、その後、アメリカの大学に入り直されたようです。よく、学校に行かれるなぁ、などと思い感心してしまいます。ご本人の文面を拝見すると、かなり、日本人の利益を考えてやりたいことがあるといった感じが伝わってきます。最近では、アメリカにおいては、保護主義が強すぎると批判されるトランプ政権ですが、よく考えてみると、日本の企業も日本国内でお金を吸い上げて、海外でばらまいているようなところが少なくありません。現在では、外国に展開するということ自体が目的になっている考えを持つ日本人が多いので、今回質問されている方は、将来的には日本に還元される利益のため、大きな視点で保護主義的な考え方をもっておられるように思います。こういった考え方もあり得るのでしょうね。

 今回質問されている方は、海外でビジネスを展開されている日本人と日本国内をもっとつなげていきたいという思いで、いろいろな案を練られているようですし、民間レベル、草の根レベルでの日本と外国人のつながりを展開したいという思いも強いようです。具体的な案は今回、一つ一つ考えませんが、まずは、今回の質問を踏まえて(1)非営利団体の設立、運営の基礎、そして、次回以降になりますが(2)外国人が非営利団体を基礎にしてビザなどを取得できるのか、という点を考えていきたいと思います。

アメリカの法制度上の非営利団体とは?

 さて、まず非営利団体というのは、アメリカの法制度上どうなっているのか、考えます。非営利団体について、おもに登記が必要なのは各州で、一般の営利企業と同様の許認可を得なければなりません。そして、税法上、優遇を受けたい場合には、連邦政府から、優遇措置の許認可を得なければなりません。アメリカでは、非営利団体として認められるためには、二段階になっていて、まず州法上「非営利団体」として成立させたうえで、連邦政府の税的優遇を考えるというパターンになります。詳しくは次回以降考えます。

非営利団体の目的を固めることが第一歩

 ここで、非営利団体というのは、どのような団体を言うのでしょうか。簡単にいえば、目的がお金儲けではない団体です。通常の企業といえば、いろいろな業態はありますが、究極的には目的は「金儲け」です。一方で、非営利団体の目的は、金儲け以外のものです。たとえば、宗教団体であれば、教義を広めることが目的でしょうし、教育団体であれば、教育をすること、広めることが目的になります。映画の普及も目的になりますし、慈善もその事自体目的になります。場合によっては目的のある親睦団体も非営利ということになるわけです。

 今回、質問されている方も、いろいろな目的の設定の仕方があると思います。もちろん、将来的に連邦政府から非営利団体としての地位を認められるために、考えられるストラテジーはありますが、究極を言えば、日本と日本国外のつながりを深める目的というのも認められるかもしれません。そのような団体は、いくらでも存在するわけです。また、各州の団体登記はさほど難しいものではありませんので、今回の質問者の方も第一歩は、団体の目的をしっかり固めていくということになるでしょうか。ここから次回続けて考えていきましょう。

 皆さんが中秋の名月を楽しまれていることを祈っております。また一週間世の中はいろいろありますが、秋を感じながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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