法律ノート 第1129回 弁護士 鈴木淳司
Sep. 30, 2018
日本は台風続きのようで、被害が最小であることを心から祈っております。カリフォルニアは、まだ火事が続いています。雨が欲しいところには降らず、もうたくさんというところに降るというのは人間の力が及ばない自然の怖さであります。秋らしい日も出てきましたが、今度は寒さに関しての自然が気になるところです。皆さんは天気にかかわらず生活は順調でしょうか。
隣人に相続財産管理人を依頼された(4)_1129
さて、前三回の続きですが「私達家族は、カリフォルニア州に家を持ち、子供を育ててきました。子供たちも巣立ち、現在夫婦で暮らしています。数年前、隣人夫妻の夫が亡くなり、高齢の奥さん一人になりました。家族ぐるみで仲良くしていた夫妻です。最近になって、この奥さんから、遺言やトラストを書き換えているが、亡くなったときの管理人になってもらえないかと言われ、奥さんの弁護士とも話をしました。よく、内容が理解できなかったのですが、経済的な負担はない、ということで承諾しましたが、現状でも、どのような責任が発生するのか、不安ではあります。この管理人というのはどういうものなのか、教えてください」という質問を続けて考えていきましょう。
貸し借りの精算
前回3つの主な仕事の1つ目、すなわちどのような財産があるのか整理するのか、ということを考えました。続けて2つ目の仕事の内容を考えていきたいと思います。相続財産に関して「貸し借り」がある場合には、その精算をしていく必要があります。支払い等をするうえで、場合によっては、裁判所の許可が必要な場合もありますが、手続きはそれなりに複雑なときもあります。
まず、相続財産関係の支払いなどで、裁判所の許可がいる主なものは以下のとおりです。1つ目は、相続財産を管理する人に対して金銭的な支払いが相続財産から生じる場合です。勝手に使い込まれたりする場面を制限しているのですね。2つ目は、相続財産を相続人にわたしてしまうことです。財産を分配するには、色々な利害関係が生じるからです。3つ目は、相続財産が故人に関して生じた紛争の和解をする場合です。不当な安価での和解は相続財産において不利な状況になるからです。そして4つ目は、相続財産に属する不動産の処分が必要なときです。これらの場面に関しては、裁判所に提出する書類や手続が煩雑になりますので、専門家の助けが必要になってくると思います。
相続財産に関する負債と納税
次に、相続財産に関して負債が残っている場合には、債権者に対して故人の死亡した事実等を通知しなければなりません。負債が多い場合には大変ですが、通常はクレジットカードや家のローンなどでしょうか。また、税金に関しても故人の生前に発生したものについては、国税庁などに通知しなければなりません。この通知については、あくまでも知っている範囲で通知すれば足ります。また、債権者の方から通知をしてくることもあります。ただ、家のローンのように金融機関の担保がついている場合には、通知の有無にかかわらず、担保されている部分は債権者が権利を持ち続けます。
3つ目の仕事は納税関係です。大きく分けて、主に相続財産の納税は(1)相続財産そのものの納税、すなわち相続税が発生した場合、(2)相続財産が収入を得た場合には所得税の申告、(3)そして、故人本人の最後の故人としての申告があります。これらの納税関係は、専門家の助けが必要になるところではないでしょうか。
財産の整理以外は専門家に任せることも
以上がだいたい相続財産の管理人をする場合の仕事内容です。ある程度多岐にわたるので、「大変だ」と思われる方もいるかもしれません。しかし、専門家に任せてしまえば、実際に管理人は、相続財産の整理はある程度やらなければなりませんが、仕事の2,3については、ほぼ自分で動かなくても、対応は可能です。ですので、今回質問されている方も上記考えた流れさえ抑えておければ、まったくわからない状態で専門家に相談するよりも、安心できるのではないでしょうか。
ここまでで、全体的な相続財産管理人の「お仕事」をざっと考えてきました。もちろん、細部に関して色々な追加のご質問もあると思いますが、一応今回の4回にわたる内容を基礎として、覚えておいていただければ十分に胸を張って、管理人を受けられると思います。
また次回から新しくいただいている質問を皆さんと考えていきましょう。季節の変わり目ですので健康に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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