訪米中の交通違反(1) _1205 

Golden Gate sanfran

法律ノート 第1205回 弁護士 鈴木淳司
Mar. 22, 2020

 カリフォルニア州は、アメリカで最初に州全体に外出禁止令を出しました。クライアントの方々も困惑されている方が多く、多くの質問を受けています。弁護士は、対応する必要がある事例がある場合には、例外として事務所などに行くことは許されるそうです。裁判所も、行政関係も閉鎖されるところが多く、様々な影響が出ています。ワクチンができれば一段落するのでしょうが、それまではとにかく感染者を抑えることしかできませんね。皆さんは自宅で何をされているのでしょうか。

訪米中の交通違反(1) _1205 

 さて、今回から新しくいただいている質問を考えて行きたいと思います。

 いただいている質問をまとめると、「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符をきられてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」というものです。

連絡が来ない二つの理由

 外国に旅行することは楽しいですし、私も大好きですが、知らないところに行けばもちろんリスクも存在するわけです。今回の質問のように、警察が絡むと旅の楽しさが半減してしまうこともあるでしょう。盗難にあったりすることもあります。まあ、身体に危害が加わるような事態でなく「無事」であれば、何よりです。今回の方も無事にご自宅に戻った様子で良かったです。

 さて、今回の質問に関しての事後処理を考えていきましょう。まず、まったく連絡が来ない現状をどう見るかですが、考え方は2つあります。

一つは警察が事件化しない場合です。もう一つは、出頭命令書が出されてはいるが、うまく質問者の方に届いていない場合が考えられます。

警察が事件化しない場合

 まず、前者ですが、警察も事件化するかどうかを決めることができます。事件にならないと思えば、警察内で処分をしないという判断ができます。

 この処分をしないという判断には色々な理由が考えられます。上司が処分しないという判断をする場合もありますし、実際にスピード違反の検挙に使われたスピードガンが正確に作動していなかったという場合もありますし、書類が紛失した、などという場合もあるでしょう。

 理由はともあれ、警察内で処分をしないという判断になっているとすれば、出頭命令書はそもそも裁判所から来ないわけです。

  

出頭命令書が届いていない場合

 もう一つの場合ですが、通常交通違反はInfraction(微罪)といって、刑事裁判所の中でも交通部門(Traffic Division)が対応します。警察から事件が検察に送られて、起訴されますが、Infractionの司法手続は、法律で簡易な手続が決められていて、反則金さえ納めれば解決することができます。日本でいう青切符ですね。

 今回の質問にある事例も反則金さえ払えば終了できる事例だと思います。

 たぶん、質問に記載はありませんでしたが、今回の質問者は、国際免許証で運転していたと思われます。カリフォルニア州発行の運転免許証であれば、減点の対象になりますが、国際免許証であれば、カリフォルニア州の行政機関は減点することができません。ですので、基本的に反則金を支払い、事件を終了することができます。

 また、Infractionは、ほとんどの法律では前科にはなりません

 前科となるのは、重罪(Felony)と軽罪(Misdemeanor)であって、たとえば移民行政に関する申請においては、Infractionは原則申告をしなくても良いと考えられています。反則金の納付通知がくれば、その通知に基づいて支払いをすれば裁判所に出頭する必要はありません。

 この納付通知が来ないというのは、往々にしてありえることです。郵便事情です。

 特に外国に通知を出すということになると、紛失する恐れがあり、私も何度もこのような問題について耳にしたことがあります。問題は知らされないとどのように対応してよいのかわからないことが一つ。そして、裁判所も通知を出したものの反則金が支払われない、そして出頭もない、ということになると、裁判所の命令に反したということで、勾引状がだされることになります。

 この裁判所からの勾引状は、いわゆる逮捕状と同じような役割を負っていて、場合によってはアメリカに入国する際に留置される可能性もあります。

 このように、納付通知が来ない場合には大きく分けて2つの可能性がありますが、今回の質問にあるようにどのように対応していくのが良いのか、次回考えていきましょう。

 現在、ウイルスで異常事態が続いていますが、皆さんくれぐれも安全に気を払ってまた一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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