法律ノート 第1163回 弁護士 鈴木淳司
June 2, 2019
アメリカでは銃乱射事件が繰り返されていますが、日本では包丁を振り回す犯罪が起き、まったく関係のない人が巻き込まれているということで心が痛いです。
元料理人で私のクライアントである経営者の方が、日本で普通に柳刃包丁を売っているのがおかしいという話をされていました。ネットで柳刃包丁をよく見てみるとたしかに凶器ですよね。
なんとかに刃物じゃないですが、家庭ではそこまで柳刃包丁を必要とするわけではないでしょうから、簡単に買えなくするような方法論はないものでしょうかね。こういったまったく関係のない人が巻き込まれる犯罪は社会全体で対応する必要がありますからね。
賃貸料の値上げ要求、簡単にできる?(2)_1163
さて前回から考えはじめた「ベイエリアに住んでいる駐在員です。2年ほどアメリカに住んでいますが、あと2年ほどアメリカに留まることが決まっています。そこで、家族(全員で4人)もこちらに呼びよせて一緒に住む計画を立てています。現在住んでいるマンションは、それなりに大きいので、このマンションであと二年ほど住みたいと思い、マネージメントオフィスに告げたところ、家賃を上げなくてはならなくなると言われて驚いています。言われていることがよくわからなかったのですが、同じマンションを借りているのに、簡単に家賃を上げることができるのでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。
契約書に人数制限が記載されているか確認
前回、賃貸借契約においては、まず契約書を確認しなければならないことを考えました。そして、その契約書に、居住者の人数制限が記載されていることがあります。絶対的記載事項ではないですが、最近は詳細な記載が増えているように思います。
まず、契約書に「何人まで」と書かれているのかどうかを確認しましょう。
その内容に沿って、住む人が増えていればまずなんにも問題はありません。
次に、契約書に居住者人数に関して制限的な記載があり、制限を超えた場合ですが、契約書の条項がそもそも有効かは、法律、条例に照らして考えないとなりません。
ここで、法律に基づいて、賃借物件の人数制限ができるかどうかについては、実は目安はありますが、画一的な法律はありません。
一方で、サンフランシスコ郡(市)のように、賃借人保護を歴史的に重んじてきた郡は、独自の条例を制定しているという現状があります。
以下、考えていきたいと思います。
カリフォルニアの居住物件法
カリフォルニア州健康及び安全法(Health and Safety Code)17922条は、カリフォルニア統一居住物件法(California Uniform Housing Code)を取り込んで一部としています。
もともと、この居住物件法は、連邦のモデル法として成り立っていたものですが、それを州レベルで活用したわけです。
ですので、基本的な考え方は連邦法とカリフォルニア州法は、同じと考えられます。
そして、居住物件法503(b)条によると、すくなくとも賃借物件は120平方フィート(約11平米)の面積がある部屋を備えてなければなりません。これが最低条件です。この最低条件を満たす賃借物件には2名の居住が相当としています。
ここから出発して、50平方フィートごとに追加の一名居住が妥当としています。そして、キッチンを除く部屋(ベッドルームでしょう)がある場合には少なくとも追加で70平方フィート(6.5平米)の面積が必要としています。
ただ、画一的にこの基準が適用されるのではなく、物件によっては特殊な造りもありますし、子供が小さければ親と一緒に寝起きするという状況も想定できると明記してあります。したがってあくまでも居住人数の目安にしかなりません。
州法として規定されたガイドラインを参考に
この法律の一般的な目安を使ってカリフォルニア州の公正雇用および居住物件局(Department of Fair Employment and Housing)は、さらに一般的なガイドラインを策定しています。このガイドラインによると、ベッドルーム1つに付き2名+1名、合計3名が基準となり、1つのベッドルームが増えると2人増加していくという考え方をとっています。しかし、あくまでもこれはガイドラインであり、法律そのものではありません。
もちろんガイドラインではありますが、一応カリフォルニア州法として規定されていますので、今回質問されている方も、契約書を見て、このガイドラインを使用しているのかどうか、確認されると良いかも知れません。
1ベッドルームの物件であれば3名、2ベッドルームの物件であれば5名が基本となり、小さなお子さんがいれば、その人数はカウントしない、といった考え方になると思います。
このガイドラインに規定された人数をさらに制限している場合には、大家さん側にも正当な理由はあるのかもしれませんが、郡の居住物件を管轄する行政機関に相談したり、調停を申し立てたりすることも可能になると思います。
次回、続けて家賃の値上げを求められているという点についてさらに考えて行きたいと思います。
アメリカではメモリアルデーが終わって、色々屋外での行事が増えてくる時期ですが、紫外線の予防をしっかりしながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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