法律ノート 第1187回 弁護士 鈴木淳司
Nov 18, 2019
最近は、ウクライナ疑惑が政治を騒がせています。結局どうなるのかわかりませんが、ある意味、国にとってどこまで利益となるのか、微妙な感じがします。よく、表現として、「ディヴァイディッドアメリカ」(分断されたアメリカ)と言いますが、私は不正確だと思います。紅白歌合戦だって、紅組白組で分断されたとしても、仲が悪いわけではありません。他方、現政権下の雰囲気は、分断されているというより、「私の考え方をとるか、取らなければ敵」という敵対的(Adversarial)な考えが蔓延しているように思います。弁護士を長くやっていると、敵対したとしても、相手にも分がある場合がほとんどです。ですので、ただ単に相手を敵対視して責めても何も生まれないのです。なんだか、見ていて悲しい状況ですね。
海外にある財産を相続する_(2) 1187
さて、前回からの質問を続けて考えていきましょう。
いただいている質問は、「アメリカに長年住んでいますが、親が最近他界し、日本にある不動産を複数相続しました。一つの不動産は兄弟で共有しています。アメリカではすでに私はトラストを作成しているのですが、相談している弁護士に今回の相続のことを告げると、トラストの内容を変えなければならないということを聞きました。一方で、日本ではトラストというものがあまり一般的ではないということを日本に住む兄弟から聞いています。このような場合、どのように対応していけばよいのでしょうか」というものでした。
まず、自分の財産を把握する
具体的なお答えをするのが難しいので、今回の質問を踏まえて、相続を意識するときに、どのような点に留意しておかなければならないのか、続けて考えていきたいと思います。
前回は、まず重要なのは、自分の財産というのはどの程度何があるのかを把握するということを書きました。
ときどき、生命保険金は財産ではないとか、トラストに入ってしまっては自分の財産ではない、などと聞きかじりの法律論を前提におっしゃる方もいるのですが、どのようなものであっても自分が関わって金銭に置換できるものがあれば、一応財産としてカウントしてほしいということは考えました。
特に注意が必要な不動産
今回、続けていきましょう。
財産をすべて書き出した場合、その財産のなかで特に注意を払わなければならないのが、不動産です。不動産はかなりその土地建物が存在している場所の法律の制限を受けます。ですので、不動産については、登記簿なり土地に関する権利書類を用意する必要があります。また、土地建物については、かなり法律も国によって違っています。
相続についても、制限があったり、そもそも所有も外国人を制限していたり、税金によっても大きく違っています。金融資産については前回簡単に考えましたが、土地建物については、そこを管轄する法律と税務の専門家にまずアドバイスをもらうことが必要になると思います。そこが出発点です。それから、動産についても、その動産が所在する場所の法律が適用される可能性が高いですので、できれば、リストを書き出したら、どのような相続が考えられるのか、各々の所在場所をみながら専門家にまずは一般論を相談しておくべきだと思います。
次に、トラストというのも、まだまだ日本では週刊誌や新聞の広告で、銀行などが「うちに頼んでください、後見制度とは違います」的な宣伝をやっている程度ですので、アメリカと違って浸透している過程でしょうか。そうすると、単にアメリカのトラストに日本の不動産を組み込もうとしてもうまくいきません。
トラストをチューンアップ
そこで、いくつか、ノウハウがあります。(私が創作したノウハウもあるので、ぼかしておきます。)
一つは、複数の相続書類をつくるという手です。もちろんトラストを作成するのにはそれなりにお金がかかりますが、トラストがアメリカで有用と言われているのは、アメリカ国内の財産があるということを基礎にしているからです。したがって、外国の手続は想定していないことになります。
一方でトラストというのは、契約の一種ですから、色々なチューンアップをすることも可能になるわけですね。
そこで、たとえば今回質問されている方であれば、日本の相続関係の書類と、アメリカの書類を相互に参照するような形にして整合性をとれば使えるようになるかもしれません。単に、今回質問されている方のように、日本の財産をそのまま組み込めば後日の問題が生じる可能性は残るので、少々手間でも考えてみると良いオプションだと思います。
ここから次回考えていきたいと思います。
みなさんは秋を楽しんでおられますか?色々美味しいものもありますが、忙しくてなかなか運動ができません。反省しつつ、美味しいお酒を飲んでいます。インフルエンザが本格的になってきました。気をつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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