コンサル料が未払いに。コンサルタントに関する契約(1)_1182

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法律ノート 第1182回 弁護士 鈴木淳司
Oct 12, 2019

 ベイエリアでも、突風対策で計画停電が行われましたが、日本でも台風が直撃しているようです。世界的に自然災害の規模が大きくなっているように思います。ところで、最近はスマホで、緊急情報が入ってきて、ある意味便利になってきているのですが、「注意しろ、注意しろ」と言われても、一体何を具体的にしてよいのかわからないときがありますね。ただ不安感が増すだけだと情報過多になって良くないようにも思います。皆さんも日々災害対策されていますか?

コンサル料が未払いに。コンサルタントに関する契約(1)_1182

 さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

 いただいている質問を皆さんと考えていきましょう。まとめると「ベイエリアでIT関係の会社に勤めていましたが、今年から独立してコンサルタントをしています。コンサル料の支払いでトラブルが生じています。仕事をしたのに、支払いを拒まれています。私は最善を尽くしたのですが、結果としてはうまくいきませんでした。こういった場合には、支払いを受けられないということになるのでしょうか」という質問です。

 ベイエリアは好景気ですので、自分の能力をできるだけ高価でお金に換えるということが人生で最重要といった風潮があります。

 私はあまり参加しませんが、ビジネス系の交流会に顔を出すと、コンサルタントの方たちが多く、企業に属しない人たちが名刺を配ってアピールしている姿にびっくりしたことがあります。今回質問されている方も、色々自分の売り込みが大変ではあったものの成功したようですが、最後に関係が悪化するのは、心が痛いのではないでしょうか。

専門分野に絞った契約書の利用を

 さて、法律ノートではコンサルタントに関する契約ということについて、少々今回の質問を踏まえて考えていきたいと思います。

 まず、コンサルタントというのは、一般的には、自分の有している知識や経験に基づいて知的サービスを提供することを業とする人を言います。そうすると、ある程度の専門的な分野に集中して業務を提供していくことになると思います。

 汎用性のある契約書ではなく、ある程度分野に絞った形の契約書を利用するのが良いのですが、現状では多くの方々が、インターネットで落としてきた一般的な契約書を自分の感覚でいじって利用しているような現状があります。

 私自身も、企業からコンサルティング契約を見せてもらうことが度々あるのですが、やはり内容的にはコンサルタントの方々が法律をよく理解していないような契約書を目にします。難しそうなことは書いてありますが、根本的な法律の理解がないわけです。

 今回法律ノートでいくつか今回頂いている質問に絡めて考えていきたいと思います。

「委任」か「請負」か

 まず、皆さん「委任」と「請負」という言葉を聞かれたことがありますか。

 聞き流しているときも多いのかもしれませんが、法律的にはかなり違う内容になっています。

 委任というのは、主に法律業務や医療業務のように、結果は保障できないような業務に使われます。受任を受けた人たちができる限りのベストを尽しても、結果が残念なことになる場合もありますよね。色々な外部からのファクターがあるからです。

 このような場合には、最善を尽くす契約を締結し、それが委任関係ということになります。会社と取締役の契約も委任というのが一般的です。

 一方で、請負というのはプロジェクトの完成を目的にしています。

 したがって、たとえば家の建築とか、業務の達成とか、完成を目処に行う契約が請負ということになります。

 この委任と請負の違いを考えると、契約において、何を目的に設定しているのか、ということで内容に違いがでてくることがわかりますよね。現代のアメリカでは、この委任か請負か、という棲み分けが明確にされていないことが多くあります。

 しかし、根本的にはこの「最善を尽くせばよいのか」または「完成をすることを目的にしているのか」という違いはかなり契約内容によって重要になります。

 ここから次回考えていきましょう。

 秋を楽しむどころか、どこもかしこも災害がひどい状況ですが、落ち着くことを祈ってまた一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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