I-94とビザ

空港これからアメリカへ

November 01, 2011

 秋ですなぁ。なんだか、昼はポカポカで夜は寒いというのが、なんとも眠りを誘いますし、平和なひとときを過ごせますね。私は、今週末は仕事も数時間だけに抑えて、のんびりすごしました。しかし、のんびりもしていられないのが、庭に出没するもぐらです。もぐらが花を根こそぎ食べてしまうのです。人間はのんびりしていても、もぐらには週末はないのです。何か対策を考えなければ。

 まずは、じんけんを通して、永住権の抽選に申請してくださった皆さん、ありがとうございます。そして、皆さんが全員当選するとよいな、と心からお祈りしております。今までじんけんでは多くの方々が当選してきたのですが、残念ながら全員が当選するということにはなりません。
 ただ、じんけんのスタッフも週末返上でがんばっています。皆様の思いが当選に通じるようにスタッフ一同願いを込めています。ちなみに、じんけんのスタッフはくじ運が非常に良いので、その運が皆さんにも広く行き渡ってくれるとよいな、と思っています。

I-94とビザ

 さて、今回は、ビザとI-94の違いについて考えていきたいと思います。
 非常に基礎的なことなのですが、なかなか理解していただけないということが多くあります。ですので、今回の記事は基礎的で重要なことなので、アメリカにビザをもって滞在している皆さん、またこれから滞在を考えている皆さんは注意してください。

I-94とビザの違いは最重要トピック

 実は、このビザとI-94の違いというのは、何度も何度も、いろいろなところで私が注意を喚起しているのですが、理解されていない方がいらっしゃいます。
 なかなか、渡米前に法律の細かいところまで確認するのはしんどいとは思いますが、少なくとも今回のトピックについては、何度も反復して理解をされてください。最重要のトピックの一つです。なぜ、最重要か、というと、今回のトピックを理解していないで、反することをしてしまうと、最悪不法滞在とされてしまいます。不法滞在は、何がなんでも避けなければならない事態ですから、皆さんとしても、気を付けなければなりません。

 さて、VisaとI-94の違い、といっても、いったいなんのことだ、と思われる方がいらっしゃると思いますので、ここから考えて行きましょう。
 Visaなし入国で、一時的にアメリカに入国される方々は、出発前にコンピュータで登録をしているので、今回の問題には直面しません。

ビザの有効期間とは

 しかし、アメリカ大使館を通して、ビザを申請し、日本のパスポートにビザが一ページべったり自分の顔写真とともに貼られている方々は今回の記事をよく読まなければなりません。皆さんがアメリカ大使館からビザを受けて、まず気にされるのが、皆さんの顔写真が自分のものかどうか、ということだと思いますが、これはチェックが簡単です。名前などのチェックも簡単です。それ以外に必ずチェックすると思われるのが、ビザの有効期間です。

 ビザは豆腐や野菜と同じで賞味期限が記載されています。何日に発給され、何日までに有効であるということが、ビザに書かれています。このビザに書かれている期間はビザの有効期限です。ここで重要なのは、ビザが有効でも、必ずアメリカにその有効期限内マックスで滞在できるかどうかはわからない、ということを暗記しておくことです。その理由は後ほど述べます。

Ⅿ=ビザの有効期間内は何度も出入り可能

 ビザの有効期限に加えて、「M」と書かれていることが日本人ではほとんどです。Mと言われても、何が、Mかビザのうえからはあきらかではありませんが、MとはMultipleを意味します

 すなわち、ビザの有効期限内であれば、何度もアメリカに出入りすることが可能であるという意味なのです。ビザによっては、Mの代わりに、2とか、3とか書かれている可能性があります。これは、入国の回数制限が書かれているのです。2であれば、2回、3であれば3回アメリカにそのビザで入国ができるということを示しています。現在発給されている多くのビザで、日本人に発給されるのであれば、Mとされているのが多いと思います。

ビザの期限 ≠ I-94の期間

 ビザの期限というのは、パスポートのアメリカビザページに顔写真とともに記載されていますが、この期間はI-94にスタンプされる期間とは別の期間です。じゃあ、I-94というのはどういう書類なんだよ、と思われる方もいるかもしれません。

 I-94*というのは、皆さんが飛行機内で書き込む七夕の短冊の化物みたいに縦長の白い書類です。この書類には、名前やパスポート、ビザ情報を書き込みます。ちなみに犯罪歴に関しては、アメリカの裁判所などと情報交換をいち早くしていますが、このI-94のペーパーレス化はしていないというのは、アメリカらしいですね。このI-94はアメリカ入国時に入国審査官に対して提出します。そうすると、その短冊を3つにわけて、一部分を皆さんのパスポートにホチキス止めされます。のI-94の破片には、スタンプがされていつまで有効か期間が書きこまれます。この期間が、I-94記載の期間ということになります。

 ここまで、読まれた方は、ビザの有効期限と、I-94記載の期間という2つの違うタイムフレームがありそうだ、ということに気づかれていると思います。そうです、ビザとI-94の期限は、はっきりわけて考えなくてはいけないのです。I-94は入国時に、審査官が汚い字で「何日まで」と書きますが、読めなかったら、必ず確認するくらい重要です。

ビザの考え方は「通行手形」

 では、どのように違うのかというと、私が今まで自分で考えて一番よい比喩としては、ビザの有効期限は、江戸時代の関所を通る通行手形の期限と考えてもらえば良いと思います。水戸黄門や鬼平犯科帳でもでてくるあの通行手形です。

 審査の際に、通行手形が有効期限内であれば、通行は許されるのです。ですから、ビザに記載されている期間は、入国審査時に期間内であれば原則として入国は許されるということになります。たとえ、ビザの有効期限が「あと数日」ということであったとしても、「関所」でビザをみて、有効期限内であれば、入国を拒否する事由にはなりません。入国が許可されることになります。

 ビザの有効期限というのは、いつまで「関所」を通れるか、ということをコントロールする期間であるということで覚えておいてください。

I-94の考え方は「いつまで滞在できるか」

 一方、I-94にスタンプして、記入される期間ですが、これは入国審査を受けてから、「いつまで滞在できるのか」を示す期間です。
 ですので、いったん入国が許された場合には、ビザに記載されている有効期限は関係がなく、I-94に記載されている期間が皆さんがアメリカに滞在できる期間となります。

 ビザは通行手形ですので、いったん入国審査という関所を通過してしまうと関係がなくなり、今度は、I-94に記載されている期間で縛られることになります。I-94は小さい紙切れですし、入国審査官が汚い字で書くことが多いので軽視されやすのですが、とにかく、すでにアメリカに入国されているのであれば、ビザの期限より、I-94の期限の方が重要になるのです。ビザの有効期限よりも短くI-94の期限が記載されることも、ビザによってはあります。Eビザをお持ちのかたなどそういうことが多いと思います。

D/S=滞在資格に基づけば、I-94は有効

 一方、学生ビザ(F-1ビザ)をお持ちの方は、I-94に期限が書いていないではないか、と思われる方も多いと思います。学生ビザの場合には、I-94にD/Sと書かれるのが一般的です。これは、Duration of Status(滞在資格に基づいている限り)という意味で、学生ビザに基づいて、学生を続けている限りは、I-94は有効であるということです。

 もし学校に行かない場合には、学生ビザの期間が有効であっても、違反していることになりますし、卒業してしまえば滞在期間は満了するということになります。

 このI-94に記載された期間は、アメリカからいったん出国するとゼロ発進となります。すなわち、また通行手形を入国審査時に提示して、その提示されたビザに基づいて滞在期間が決まることになるのですね。

 以上が、基本的なのですが、よくわからないビザとI-94の関係です。これでも、「まだわからない」という方は、じんけん宛に質問をしていただければ、と思います。

それではまた次回まで。

*I-94は、現在電子化されていて、オンラインで滞在期限の確認ができます。


■ アメリカに合法滞在するにはビザ。その取得と更新から解放されるにはグリーンカード!
何と、アメリカは移民の国と言われているだけあって、毎年政府公式で、抽選で永住権が当たるプログラムを実施しています。
JINKEN.COMでは、グリーンカード抽選DVプログラムの申請代行受付中!
応募期間はあっという間…申請は年に一度ですから、チャンスを逃さずに!
https://jinken.com/momsusa/dv-program

 
■ 弊社ご利用者様の声はこちらから
 
■ 最新の鈴木弁護士書き下ろしブログはこちらから。
メールのご登録だけで、毎月10日にお届けします。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。