プラクティカル・トレーニング延長申請

May 30, 2008




 
日本でも外国人が入国する際の指紋確認の制度がはじまりました。なんでもアメリカがやっているからといって、同じ事をするのはどうかと思いますが、日本人であれば、登録をすれば出入国が簡単になりましたね。
さて今回は、アメリカ移民局が先月発表したプラクティカル・トレーニングに関する新しいルールについてここでご説明したいと思います。
プラクティカル・トレーニングはOptional Practical Training (OPT) と呼ばれていますが、F-1学生ビザなどを持つ外国人学生が自分の専門エリアの勉強を終えた後に、実際の就職経験を得る目的で就業するための期間の決められたステータスです。
多くのアメリカの大学で学ぶ学生は自国に帰るよりもアメリカで仕事をしたいと思っているようですが、学生から本格的な就職に移行するための一時的なステータスと捉えられています。通常、F-1ビザを保ち大学等の高等教育機関で学位を得ると、12ヶ月の就労期間がもらえます。今回、一定の場合にこの就労期間の延長が認められました。以下、ご紹介していきましょう。
まず、今回就労期間の延長が認められる外国人学生は学位を科学、テクノロジー、エンジニアリング、および数学の分野で取った人です。この4つの分野で学位を取った場合、12ヶ月に限られていたOPT期間を最大で17ヶ月更に延長でき、最大期間で29ヶ月まで伸ばすことができるようになりました。延長が認められるためには就職先が移民局が指定するE-Verifyプログラムという外国人のステータスをチェックできるシステムに登録していなければなりません。
この4つの分野での延長が特に望まれた理由の一つに、H-1Bビザの発給が追いつかないということが言われています。
 すなわち、H-1Bビザは毎年発給枠が決まっているために、H-1Bビザを取得できるスキルがあるだけでなく、雇い主も決まっているのに、発給がされない、というケースが多いのです。
 そこで、卒業した若い外国人学生に就職し易いようにした、ということを言っています。他にも細かくOPTに関しては規則の変更がありますが、基本的にこれらの分野に該当する学生が仕事をすることをできるだけ容易にしようという狙いがあります。
 OPTの延長申請する場合、外国人学生でF-1ビザを持つ者は、
①すでに12ヶ月のOPTに参加していること
②学位の専門性が上述した4つの分野であること
③アメリカにおける雇用が分野に直結していること
④雇用主が移民局の指定するE-Verifyプログラムに参加していること

の4つの要件が必要です。
 今回の改正について、移民局の発表ではアメリカの経済力を維持するために、専門的知識を持つ外国人を雇う機会を広げるのが今回の改正の主眼である、ということを言っています。
 私見ですが、確かに外国人の学生で一定の分野で勉強を終えた場合には有用かもしれませんが、果たして良い面ばかりなのでしょうか。そうは思えません。すなわち、新卒者は29ヶ月一定の分野では外国人でも、H-1Bビザなどを取得しなくても、働けることになります。すると低賃金で、29ヶ月に限って雇用をすることを意図する雇用主がどんどんでてくるような気がします。
 結局H-1Bビザのような面倒な申請書類の作成も必要ありませんから、雇用する側にとっては、ある程度「気軽」に雇用をすることができることになり、雇用が気軽にできれば、解雇も簡単になるわけですし、OPTが失効するので、雇用を継続できない、ということも口実とできる可能性があるわけです。両刃の剣ですので、今後実際どのように今回の規則の改正が実際の新卒者の雇用に影響するのか、動向を見守っていかなければなりませんね。
また次回あたらしいトピックを考えていきたいと思います。


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作成者: jinkencom

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