Tビザ-軟禁・奴隷状態からの解放-新たな非移民ビザ

Washington DC Capitol of the United States

Feb 25, 2002

昨年の9月11日以降、移民に関する動きもだいぶ減っていたようですが、今月に入り、動きがまた活発になってきました。日本人の方々でも様子を見ようと思われていたのでしょうか、俄然私の事務所も忙しくなってきています。じんけんコムでも皆さんのよいサポートとなれるよう、がんばっていこうと思っています。


さて、今回は新しいビザカテゴリーでTというものが移民局によって創設されましたので、内容を考えていきましょう。

人身保護目的のTビザ新設

 このTビザというのは、売春などを強要され、いわゆる監禁されたような状態で、アメリカに住んでいる外国人がアメリカ政府の発表によると年間約4万5千人から5万人いると推定されています。いわば「奴隷」のような形で働かされている人達がいるのです。

 アメリカ政府はこの人身売買に対して厳しく処罰するために様々な法律を制定していますが、その一つにTrafficking Victims Protection Act of 2000 (TVPA)という法律があります。この法律で、人身売買の被害者にはTビザを与えるという形にしたのです。

 このTビザを与えることにより、人身売買の被害者の保護、および、連邦捜査局(FBI)などが犯罪の捜査をする手段を手助けできると考えました。

 司法長官のジョン・アッシュクロフトが記者会見で”Today’s announcement gives victims of human trafficking refuge from the deplorable treatment they endure and sends a clear warning to traffickers that this barbaric action is a fundamental violation of human decency that will not be tolerated.” といっていましたが、まさに外国人であるがために、不法滞在という危険な状態で働かされ、アメリカ政府にも助けを求められない状況にある人身売買の被害者もこの新設されたTビザのおかげで、アメリカに合法的に滞在できるだけではなく、アメリカ政府に助けを求めることが出来るようになりました。

 そういう意味では、今までは不法滞在ということを「餌」に、外国人を食い物にしてきた団体があります。このTビザの創設により、このような問題に少しでも良い影響がでることを私も祈っています。

人身保護の範囲は広い

 このTビザの申請は被害者被害者の配偶者、その子供(21才以下)およびその親も含まれています。

 このTVPA法では、人身売買に関与していたものは無期または20年以上の禁固刑とされています。また、TVPA法では、今まで罰しにくかった、強制方法、たとえば移民関係の書類、パスポートなどをとりあげる方法、心理的に強迫をする方法、騙して強制する方法なども、人身売買と位置づけています。

 人身売買といっても、広範囲にTVPA法では規定していて、勧誘をしたり、人を運んだり、暴力や詐欺的な行為を行ったものを含んでいます。

Tビザの取得方法 I-914フォーム

 Tビザの申請にはI-914というフォームを使い申請者本人のみの申請ができます。申請書は移民局のVermont Service Center at USINS, Vermont Service Center, 75 Lower Weldon Street, St. Albans, VT 05479-0001に提出します。家族はI-914Aという書類を使います。

 申請料は一件200ドルで、同じ申請書で申請する家族構成員は一人につき50ドルで、最高額は400ドルとなっています。また14才から79才の申請者は一人につき$50の指紋採取料が取られます。フォームには申請料免除も申請することができる配慮がされています。

滞在のみならず労働許可も取得可能

 労働許可を得ることも可能で、そのときにはI-765というフォームも使用する必要があります。

 今回の記事は日常生活に関することとはかけ離れた内容のビザかもしれませんが、こういった人道に反する犯罪を撲滅するためには、皆さんもどのようなことでも良いですから協力をしていただければと思います。こういったビザが用意されたということを知っているだけでも、違うのですから。

それではまた次回まで。


 
■ アメリカに合法滞在するにはビザ。その取得と更新から解放されるにはグリーンカード!
何と、アメリカは移民の国と言われているだけあって、毎年政府公式で、抽選で永住権が当たるプログラムを実施しています。
Momsでは、アメリカ抽選永住権の代行申請を通年受付中!
応募期間はあっという間…申請は年に一度ですから、チャンスを逃さずに!働く・学ぶ・子育てする…永住権はすべてができます。
https://jinken.com/momsusa.jp/dv-program

■ 弊社ご利用者様の声はこちらから
 
■ 最新の鈴木弁護士書き下ろしブログはこちらから。メールのご登録だけで、毎月10日にお届けします。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。