車上荒らしに遭った話_1363

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1363回 弁護士 鈴木淳司
Apr 24, 2023

 前回の冒頭で、車上荒らしに遭ったことを書いたら、友人や読者から、大丈夫か、といったメールやメッセージをたくさんいただきました。
心配してくださってありがとうございます。
いただいたメールにもあったのですが、鉢合わせないで良かったし、体に何も問題がないのが良かったです。

皆さんも他人の不幸は蜜の味ですし、このような犯罪に遭った場合、実際に弁護士がどのように対応したのか、知っておくと参考になるかな、と思い、かつ前回ちょうど質問の回答が終わり、キリが良いので、今回実体験を書かせてください。

車上荒らしに遭った話_1363

事件のあらまし

 さて、事件が起きたのは私の所属する事務所のあるサンフランシスコのダウンタウンなのですが、その夜から、ちょうどミシガンに出張するため早朝のフライトを捕まえるべく、着替え等を車に積んでありました。
路駐ができたので、事務所から数ブロックのところにとめたのですが、ちょっと場所が暗かったですかね。
事務所を出たのが夜の11時頃になってしまったので、犯行はたぶん18時から23時の間だと思います。

車上荒らしの手口

 こういう事件のほとんどは、駐車している車が歩道に面している方の後方座席のガラスを割ります。
そして、後部座席、およびトランクに積んであるものを盗むというのがパターンになっています。
運転席や助手席のガラスはほぼ割りません。
たぶん複数で自転車で来て、後部座席のところを割り、一人は見張り、一人は中から物を盗むという感じなのでしょう。

私のケースもこのパターンでした。
私の車は後部にスモークが濃く入っている(純正)ので、見えないと思ったら大間違いでしたね。

貴重品は車内に残さない

出張のための、キャリーオンバッグ(20年以上愛用)、とダッフルバッグが盗まれました。
ほとんどは服だったので、私のパンツと靴下をとって何になるのかな、と思いましたが、貴重品はいつも車に残さないので、まったく盗られませんでした。

一つ窃盗犯が失敗したのは、私のiPadです。
ちょうど、ビデオミーティングをして、そのまま助手席に置いておいたのですが、カバーが黒く、私の車の内装も黒いので、見えなかったのでしょうね。残念でした。
それから、窃盗犯はゴルファーではありませんでした。
高い距離計などはそのままでした。

 結局、窓が割られたまま、出張用の着替えを確保し、ホテルで一泊して朝に出張に行くことにしました。
窓はできるだけあるもので塞ぎましたが、事務所の人が手伝ってくれて、空港の駐車場で雨風が入らないようにしてくれていたのは助かりました。

保険会社や警察に連絡する

出張中に、窓ガラスの修理のために、保険会社に電話したところ、私の加入している保険では、自己負担100ドルで、窓ガラスを直してくれるということで、少し先になりましたが予約が入りました。
窓ガラスの話はさらに後述します。

車の窓も事務所の人が塞いでくれたので、少々安心して、出張でのビジネスに集中してしまったのですが、警察への届け出を5日ほど怠ってしまいました。
これが一つ損したところです。

補償内容は要確認

盗難に遭った場合の補償を考えたときに、クレジットカードに「盗難・紛失補償」ってあるじゃないですか。
それで、警察へ届け出たあと、クレジットカード会社に電話をしたら、「盗難にあってから48時間以内に警察に通報していないと補償は受けられない」と却下されました。
こんなにカード使っているのにひどいなぁ、と思ったらちゃんとウェブサイトにも48時間以内の届出が必要とか、書いてあるんです。

「カードには補償があるから安心」なんていうフレーズには乗ってはいけません。
かならず、補償内容をチェックしてから、カードを作るべきです。

また、私は忙しくてできなかったのですが、盗難があったことを知ってから、48時間以内に届け出を(今はオンラインが主流)したほうが良いです。
今回失敗した教訓です。

 さて、出張から戻ってきて、保険会社が予約してくれていたガラス修理のところに行ったら、用意されていた窓が逆側、それもスモークが入っていない製品で、また物流の問題で10日間くらいかかると言われ、自力で探したところで、2日間で純正の部品を取り寄せてくれてやってもらいました。

結局100ドルは取られましたが、ガラスは修理できました。
やはり、保険に加入するときには、色々話に乗ってくれるエージェントを選ぶのが大事だと思います。
彼女はとても積極的に助けてくれましたが、最終的には自分で見つけて対応しました。

盗難被害を回復する

ガラスが修正できれば、雨風はしのげるので、盗られたものを、どう保険で回復できるのか、考えました。
盗られたバッグ2つは、それなりに高いものでしたが、内容物は、それほどまで、という感じです。

保険を使うときに気をつけなければいけないのが、ディダクティブル(Deductible)です。
保険を使って支払いを受けるためには、自己資金からいくら払わなければならないか、ということを決めているものです。

ディダクティブルが安ければ、保険の総額は高くなります。
車の保険では窓ガラスは100ドルがディダクティブルでした。
安く済んだわけです。

ところが、車内の盗難品については、悩ましい状況が生じました。
私の持ち家に保険があり、Deductibleは2500ドルと設定されています。
それを車の盗品にも転用できるのですが、2500ドルを払って、2500ドルをもらってもあまり意味がないですよね。
盗品はそこまで値打ちがあるものではなかったのです。

一方で、私の所属する事務所にビジネス保険というのがありまして、そちらのDeductibleは500ドルだったのです。
そこに目をつけて、そちらの保険にクレームを立ててみました。
そうしたら受け入れられたのですが、「ビジネスに使うものに限る」と言われました。

私の仕事は、どこからビジネスでどこから私的なのか、わからないところがたくさんあります。
なので、一生懸命ビジネスに引きつけて、コンピュータの充電用具、だとか、かばんも出張で使うのだ、など、主張しました。
これらは正当なのです。

ただ、電動歯ブラシについては、保険会社のクレームエージェントが、「んー、歯ブラシとか洗面用具は」と、躊躇していたので、最近では「ビジネス電動歯ブラシというコンセプトがあるんじゃない」と言ったら、却下されました。
それでも、Deductible払って、それなりの原状回復の保険金が出そうなので、良かったです。

保険金に関する書類を確認しておく

 今、他に思いつく保険金を支払っているかというと、ないのですが、皆さんも盗難に遭ったときには、とにかく、自分で払っているすべての保険金に関する書類をチェックして、保険金がもらえるのかどうかを確認するべきです。
また、忙しくてもオンラインでできるので、盗難にあったら、48時間以内に警察にレポートすることをおすすめします。

 結局、私はそこまで被害に遭いませんでした。
情報も貴重品も無事です(いつも注意していますが)。
なので、いつも払っている保険から、どれだけ回復できるか考えていますが、満足できる程度には回復できそうです。

犯罪に遭おうと、やれることは全部やるというのは大事ですね。
ピンチをできるだけの有利にさせる姿勢は事件でも、自分のことでも持っておきたいものです。

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作成者: jinkencom

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