米国_ステータス変更は簡単?(1)_1360

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1360回 弁護士 鈴木淳司
Apr 1, 2023

私のアメリカにいる友人や周りの人達から、「日本に遊びに行く」という話を良く聞くようになりました。
ドルが高いのと、コロナの間に色々日本の情報を手に入れて、ぜひ行ってみたいと思う人も多いようです。
また、若い世代がアニメを好きで日本の文化に馴染みがあることも理由だそうです。
ワシントンDCの日本が寄贈した桜も、日本を身近なものにしていると思います。
みなさん、日本の桜が見たいということを言われます。
押し付けるわけでなく日本の文化について興味を持ってもらえることは嬉しいことですね。
皆さんは春を楽しまれていますか?

米国_ステータス変更は簡単?(1)_1360

さて、今回から新しく皆さんからいただいている質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると、「日本国籍の者です。アメリカの大学を卒業して、OPTで働いています。IT関連企業です。やっと仕事ができると思ったのですが、半年ほど働いたあとに解雇されました。まだ、OPT期間は残っているので仕事を探していますが、なかなか自分の知識に合ったIT関連の就職先が見つかりません。私がネットで調べると自分で会社を設立して、Eビザを取れるという記事を読みました。本当に、学生でも簡単にEビザが取れるのでしょうか。」というものです。

 私が法律ノートとタンデムで書いているじんけんニュースで取り上げるべき移民法の質問ですが、似たような質問をいくつもいただいていますので、ここで考えておきたいと思います。

ビザ取得=滞在ステータス変更ではない

 今回の質問にストレートに回答をするとE「ビザ」を取得するのは、そこまで容易ではありません。

アメリカ国内でEの「ステータス」に変更するのは、E「ビザ」の許可を得ることとは違う、ということを理解しなければなりません。

何度も法律ノートで取り上げていますが、「ビザ」を取得することと、「滞在ステータス」を変更することは、2つ似ているようですが違うものです。

入国時のビザに基づき与えられるD/S

滞在ステータスの変更はアメリカ国内での話、ビザ(査証)は自国や外国とアメリカの行き来に必要な話です。

いったん合法にアメリカに入国した場合、入国の際のビザに応じてアメリカに合法に継続的に滞在できるステータスをもらえます。
この期間をDuration of Statusといいます。
略してD/Sとも呼ばれたりしますが、入国時のビザに呼応するものの、ビザそのものとは別物として規定されています。

今回質問されている方は、アメリカ国内にいて、たぶんFビザのステータスからEビザに変更することを質問されているように思います。
そうすると、「ビザ」の問題ではなく、アメリカ国内における、「ステータス変更」の問題ということになりそうです。

私が良く比喩するのは、ビザというのは、アメリカへの出入国を司る書類ですから、いわゆる江戸時代の通行手形のようなものです。
いったん、アメリカに合法的に入国している外国人を司るのはビザではなく、「滞在ステータス」ということになるのです。
この違いをよく理解してください。

滞在ステータスは、上述したように入国の際のビザに基づいて決められます。
たとえば、学生ビザで入国をする場合、D/Sと言い、学生を続けている限りアメリカ滞在は合法であるという、終わりの日が明記されていないステータスが与えられます。

一方で就労ビザなどは、ビザの有効期限(有効手形として使える期限)とは別に、いったん入国すると、2年間など終期が明記されているステータスが与えられます。
ですので、アメリカ国内にいる場合には、国外に出ることを想定していない限り、アメリカ国内での滞在ステータスを考えるということになるわけです。

今回質問されている方が得ている情報は、おそらくアメリカ国内でEビザへステータスを変更したい、という内容なのだと思います。

ビザ取得はアメリカ国外で

ビザ(査証)というのは、アメリカ国内で発給されません。
各国にあるアメリカ大使館、領事館において発給されます。

したがって、今回質問されている方がE「ビザ」を取得することを念頭においている場合には、必ずアメリカ国外にあるアメリカ大使館、領事館の審査を通すことになります。

ビザ審査とステータス変更審査は別物

そして、ビザの審査は、アメリカ国内のステータス変更審査とは別物です。

アメリカ国内で認められても、そのままビザがもらえるわけではなく、もう一度ビザの審査をアメリカ国外で受けなくてはならないのです。

そして今回話題にあがっているEビザについては、他のビザと少々違う点があり、アメリカ国内の審査と、在外アメリカ大使館、領事館との審査と乖離があります。

次回ここから続けて考えていきましょう。

花粉がすごいですが、体調に気をつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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