米国_窃盗にあった際の損害回復方法(2)_1358

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1358回 弁護士 鈴木淳司
Mar 19, 2023

 日本の友人はWBCで盛り上がっています。
各国の選手がしのぎを削っていますが、メジャーの選手も多く参加していますね。
プエルトリコの選手が足を怪我したのを見て、ひやひやしています。

まだアメリカのメジャーは開幕前ですので怪我があるとその選手やチームには問題となります。
高額を払っている選手との契約が現在どうなっているのか、興味があるところです。

一方で若い選手にとっては、大リーグに覚えてもらえる良い機会なのでしょうね。
皆さんは春のスポーツを楽しまれていらっしゃいますか?

米国_窃盗にあった際の損害回復方法(2)_1358

 さて、前回から考えてきた「昨年、車を盗まれました。数日後に車は出てきたのですが、もう乗れるような状況ではなく、車内にあったものも出てきませんでした。損害は保険でカバーしてもらえました。最近になって、その車を盗んだ犯人が見つかったということを警察から言われました。場合によっては、裁判で証人となってほしいと言われています。この盗んだ人がわかったということなので、保険では賄ってもらえなかった額や、不便を被った被害を民事訴訟で追求できないかと考えているのでしょうが、可能なのでしょうか。」という質問を今回も考えていきましょう。

方法は2つ、刑事か民事

前回、犯罪によって被った損害の回復について2つ方法論をご紹介しました。

一つは、犯罪を行った被告人の刑事裁判において、被害回復の手続きを求めること、もう一つは民事訴訟を提起することが主に方法になるでしょうか。

刑事裁判ー被害者賠償制度の場合

 刑事裁判における被害回復は、検察が主に行いますが、他の行政機関も関わることも多々あります。

今回は、大まかな内容を見ていきましょう。

被害が客観的に明らかであること

まず、刑事事件において被害者の損害が回復されるためには、事件上その損害が明らかになっている必要があります。
誰が被害者で、どの程度の被害を被ったのか、起訴状や警察の調書などに記載されていなければなりません。
記載されていない場合には、検察や警察に連絡をして、明らかにしてもらう必要があります。

通常、損害がある場合には、検察が被害者に連絡をして、どのような態様で損害が生じたのか、そしてその損害は金銭にするといくらなのか、などを聞き取り、その内容を法廷で明らかにします。

慰謝料の請求は難しい

ただ、慰謝料等の請求は難しく、実際に被った損害の範囲での主張になると思います。

そうすると今回質問にあるように不便が生じたこと、についてはうまく理由付けられないと回復は難しいかもしれません。

実際に支出した額など紙で提出できる額であれば明らかにしやすいと思います。
そして、刑事裁判において、司法取引または陪審裁判によって被告人が有罪となった場合、被害者の損害については支払うように判決の一部になります。
もちろん、被告人がお金を持っていない場合も多々ありますので、すぐに回復ができるかは疑問ではあります。

司法取引があれば賠償の可能性あり

司法取引を有利にするために、弁護人ができるだけ被害者に賠償をして、刑を軽くする弁護活動をすることも多くあります。
司法取引を被告人が考えている場合には、自ら賠償金を支払うということをするので、その場合には、支払いが任意に受けられる可能性が高くなります。
この被害者弁償制度については、被害者がお金を使って弁護士を立てる必要も基本的にはありませんし、検察が積極的に動いてくれれば、実損害を回復できる可能性はあります。

損害を争うと陪審裁判で証言することも

一方で、被告人が損害について争う場合には、陪審裁判になる可能性もあります。
その場合には、被害者として、法廷で証言をする必要が出てくるかもしれません。
公の法廷で証言をするのは緊張するでしょうし、弁護人からも被告人寄りの尋問をされる可能性が高いです。
したがって損害を申告した場合には、その内容について公の場で話をする必要が出てくることを頭に入れて置かなければなりません。

ここから、次回民事訴訟を提起することを考えて被害者弁償制度との違いを考えていきましょう。

 花粉がひどいという話を良く聞く季節です。
私自身問題はないのですが、いつ来襲してくるのかヒヤヒヤはしています。
せっかくの花が綺麗な季節なので、外出も楽しみたいですね。
また次回まで健康管理に気をつけながらがんばっていきましょう。

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作成者: jinkencom

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