ビザ保持者のアメリカ国内転職

Washington DC Capitol of the United States

じんけんニュース 12-23-2022 弁護士 鈴木淳司

 今年最後のじんけんニュースになりました。
皆さん今年もじんけん、そしてスタッフ一同色々お世話になりました。来年もどうか宜しくお願いいたします。

 今年はまだ、パンデミックの影響が濃く、ワクチン接種の話題が絶えませんでした。2023年は明るい話題が増えると良いですね。

ビザ保持者のアメリカ国内転職

 今回は、よく米国で就労されている方から質問のある話題を取り上げたいと思います。

転職とビザ・滞在ステータス

今回考えるシチュエーションというのは、すでに就労ビザ、E、H、そしてLビザの許可を得て、アメリカ国内で働いている方がいるとしましょう。

その方が、転職をして、他の就労先を見つけた場合には、スポンサーが変わることになるので、ビザも再度取得しなければならなくなります。
スポンサーが変わると、以前のスポンサーから得ているビザは失効することになるのです。

そうすると、アメリカ国内にいて、滞在資格(E,H,L)を変更する手続が必要になるわけです。
その手続の変更も手間と時間がかかることになり、転職によってタイムラグが生じます。

就労ビザが失効すれば、不法滞在になってしまいます。
不法滞在になってしまうと、アメリカ国内で滞在資格の変更ができなくなります。

ですので、転職で起きるタイムラグは移民法によってどのように管理されているのか、知っておかなければならないのです。

グレースピリオド

 さて、就労ビザを持っていて、転職する場合、前職を離職してから(滞在資格が失効したとき)、60日間以内(I-94の滞在資格が切れるのが60日以内であれば、その期限まで)に新たな滞在資格を申請、そして移民局に受理されていなければなりません。
就労の滞在資格申請が間に合わなければ、他のビザも考えられるかもしれません。

いずれにしても、離職後60日というのがタイムラグのリミットになります。これをグレースピリオドと言います。

H-1Bビザの特殊性

 EとLには認められていませんが、H-1Bビザに関してはこのグレースピリオド中にあらたにHの資格を申請し受理されていれば、再度許可がおりなくても働きはじめられるというポータビリティーというルールがあります。

 しかし、EとLにはこのポータビリティーのルールが適用されないため、新しい許可を得るまでは、新たな職場で働くことができないことに注意が必要です。

 前の職場を辞める、または解雇された場合、その解雇された日にビザは失効したことになります。
雇用者によっては、すぐに移民局に解雇や辞職に関して通知する企業もあります。
解雇や辞職をして、そのことは移民局に知れないとおもっていると不意打ちに遭う可能性は捨てきれませんので注意が必要です。

グレースピリオドは厳守

 この解雇や辞職があったときからグレースピリオドが進行しますので、必ず60日間は記録しておいたほうが良いと思います。

この間にアメリカを出国すれば不法滞在にはなりませんが、前職を離職しているので新たにビザを日本にある米国大使館経由で取得しなければアメリカに再入国することはできません(H-1Bビザには一部例外はあります)。

事前準備で不法滞在を回避

もうアメリカに戻ってこない前提であれば、60日の間にアメリカを出ればよいだけですので、余裕はありますが、就業先を変更するのであれば、この60日間というのは短いですから注意が必要です。
できるだけ早くから、移民局申請ができるように形を整えておく必要があります。

とにかく、ひとつ覚えていただきたいことは、就労ビザ、またはその配偶者ビザでアメリカに滞在されている外国人の方々は、職を失う、職を移るというときには必ず今回ご紹介している60日のグレースピリオドについては理解して覚えておいてください。

年末年始は皆様ゆっくりされているのでしょうか。
また、来年2023年もじんけんを宜しくお願いいたします。

スタッフ一同、皆様にとって素晴らしい年でありますよう、心から祈っております。

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作成者: jinkencom

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