会社をたたむー法的な手続きは?(1)_1230

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1230回 弁護士 鈴木淳司
September 21, 2020

 ルース・ベーダー・ギンズバーグ連邦最高裁判所が逝去されました。30年弱アメリカの最高裁判所で執務していたわけですが、良くご存じない方はぜひ映画にもなっている彼女の姿を観てください。自身が弁護士になった際に女性としての差別を実感し、裁判官になっても、特に女性やマイノリティの権利と平等について数多くの事件で意見を述べてきました。私も尊敬する法曹の一人です。彼女のように信念を持ち続ける心は本当に素晴らしいです。小さな体と、いつも静かな態度ですが、法曹界、いやアメリカにとっての真の巨人でした。ご冥福を心からお祈りします。

会社をたたむー法的な手続きは?(1)_1230

 さて、今回からまた新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

 いただいている質問をまとめると「日本とアメリカの間で、インターネット売買の仲介をしている会社を経営しています(経営はカリフォルニア州)。最近コロナ禍によって売上が激減し、会社を畳もうと思っています。カリフォルニア州の法人として活動をしていたのですが、会社の営業活動を一切やめることを前提でどのような法的手続きを取ったら良いのか教えてください。」というものです。

もはや補助金だけでは立ち行かない

 コロナは、人の生活を変えてしまいました。今まで、このような状況になったことというのは、生きていて私も、そして皆さんもはじめてだと思います。この質問はコロナでアメリカが封鎖された2020年3月頃に送っていただいたメールでの質問です。具体的な質問もその後受けることになりましたが、今回は一般論としてここで考えてみたいと思います。

 アメリカでは、2020年4月、5月には、コロナによって影響を受ける雇用を助けるために、PPPと呼ばれる補助金が支払われ、個人にも、金銭が支給されました。以前法律ノートでも取り上げたと思います。

 しかし、補助金の効果は一過性のもので、コロナにより影響は未だ続いています。
 2020年4月の段階では、このPPPを利用することは一つのビジネスを継続させるための方策だとアドバイスしたことでしょう。しかし、問題はPPPを利用できなかった場合、またPPPだけでは賄えない場合です。

 もちろんビジネスコンサルタントのような肩書でアドバイスをしている方々もいるのでしょうから、ビジネス一般ではなく法律の観点から考えていきたいと思います。

「会社をやめる」ー廃業か破産か

 まず、今回の質問においては、会社をやめてしまうということです。

 この「会社をやめる」というのは、いくつかの状況を法律的な観点から考えていきましょう。質問によると、コロナの影響で商流が枯渇しているということですので、収入がなくなってしまったということです。

 そうすると、仕入れもできず、在庫もおけず、ビジネスのコストも支払いができないという状況になってしまいます。この場合、一番シンプルなのが、会社を解散して廃業できるか、ということになります。

 法律的な手続きを経ないで廃業できれば、コスト的にも安く済むかもしれません。ただ、簡単に廃業をできるかどうかは、現存しているビジネスの関係にかかってきます。
考えていきましょう。

会社財産を見直す

 まず会社の資産と負債について考えなくてはなりません。

 会社が負債を負っている場合には、現在ある資産を充当して完済できるのか、できない場合には自己資金を填補してでも完済するのか、ということを考えなければなりません。

 未払い代金や、まだ回収していない金銭など、確定できるだけまず確定する必要があります。  

 次に、継続的に存続する関係について洗い出さなければなりません。
一番大きなものでは、家賃、雇用関係、機器等のリースなどが考えられるでしょうか。

雇用や賃貸借

 雇用については、やはりコロナの時期においては、継続した契約が難しいときには、契約期間を書面により決めている契約を除いては、いわゆるAt Willと言い、いつでも契約を解除できるというのが一般的です。

 契約に期間が定められているのが、賃貸借おおよび機器等のリースです。
これらについては、現状を大家およびリース会社と話をして、話をまとめなければなりません。

 場合によっては、その時点で契約の解除を認めてくれる場合もありますが、そうでなければ、たとえば違約金を払うことで、契約を解除するということも考えなければなりません。

 もし、現状会社を取り巻く契約関係が無事に解除することが可能であれば、廃業をして、会社を解散することができます。ただ、この段階では弁護士が介入しても、一定の交渉しかできません。やはり会社の責任者が先導して、対応するのが第一歩だと思います。

 次回続けて考えていきたいと思います。カリフォルニア州の山火事はまだまだ収まっていないようですが、もう秋の気配ですね。季節がわりですので体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


▼DVグリーンカード抽選当選後サポート、お申込み受付中
https://jinken.com/win/

当選なさった皆さま、おめでとうございます! 当選した後は、一定期間、事務手続きに加えて大小の不安も抱えがちです。 移民政策の変更にも、柔軟に対応しています。

▼DVグリーンカード抽選サポート、お申込み受付中
https://jinken.com/entry

絶対アメリカに行きたい!住み続けたい!大きなチャレンジをして自分を変えたい! Momsを通じてご応募なさる方々の「本気」にこたえます。

応募期間は例年10月のおよそ1か月。すぐに終わってしまいます…

もしもDVが実施されなかった場合には、もちろん全額対応させていただきますのでご安心ください。政権の移民政策に対する不安も大きいところですが、Momsでは柔軟に対応してまいります。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。