法律ノート 第1166回 弁護士 鈴木淳司
June 23, 2019
このところ自分が担当している事件の関係もあって、米国連邦裁判所の判決ダイジェストを週末でも気にして見ているのですが、とんでもない事件を見つけて興味が沸いて読んでしまいました。
ミネソタの連邦地裁において、マネーロンダリング等の罪でハンズマイヤー元弁護士は168ヶ月の禁錮刑に処されました。何をしたかというと、この元弁護士、自分でポルノ動画をつくって、違法ダウンロードサイトにアップロード、そして、その動画をダウンロードした人達に、架空の会社を使って、著作権法違反の裁判を提起するということで脅迫、「和解金」名目で金銭を取っていたようで、実に6億円以上の収入があったとか。引っかかる人も情けないですが、弁護士の立場を利用して、裁判所を通して架空の裁判をでっち上げたのです。言い渡し上限の刑でも足りないし、全米の裁判所を騙したことは許さない、と判事は法廷で相当怒っていたようですね。法律の知識を悪いことに使う弁護士がいてはたまったものではありませんし、私も許せないです。
このところ、特許を買い取って、抵触すると脅す事例が問題になっていますが、著作権に関しても同様の事例が横行しているのですね。私の所属する事務所も著作権はかなり扱うので、注意しなければならない問題です。
ちなみに、この行為をアメリカでは「トローリング」と呼びます。日本語にもなっているトローリングがもともとの意味なのですが、ネットでいういわゆる「荒らし行為」という意味合いです。
日本の法律の文献で、真面目に「トローリング」とか、そのまま書かれているのをみると、サーモンを思い浮かべて書いているのかな、などと思ってしまいます。センスの良い日本語はないものでしょうか。
まえがきが長くなりましたが、皆さん、オフィシャルの夏ですね、楽しまれていますか。
寄付金の使途(2)_1166
さて、前回から考えてきた質問です。
「10年ほど前から懇意にしている医師の紹介で知り合った、ある音楽家のリサイタルをサポートするために、ある程度まとまったお金を寄付しました。その音楽家の方の姿勢や演奏内容に賛同したこともあります。しかし、リサイタル前に音楽家の方が、かなり重い病にかかり、リサイタルは中止され、今後の活動も難しくなってきました。寄付金について、あまり大きな声を出したくないのですが、実際には寄付金はリサイタルの準備には使われなかったようですが、すでに集めた寄付金はこの音楽家のために使われたということで、さらに寄付を求められています。このような場合、使途を明確にするとか、さらにどのような名目であろうと、寄付金が使われるのか知る方法というものはないのでしょうか」
寄付の前に確認!寄付金の使用目的は?
今回は、いただいた質問を少し場合分けしながら、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
まず、今回「寄付をした」ということですが、その目的がよくわかりません。推測できるのは、音楽関係の目的ですが、たとえば、チャリティーとしてこの音楽家の方をサポートしているのであれば、寄付金が非課税の対象となる団体に寄付しているのかわかりません。あくまでも、その音楽家のリサイタルを聞く、という目的では寄付金が連邦税の控除対象となるのは難しいからです。
今回の法律ノートでは、控除対象の寄付について焦点は当てませんが、単に音楽家が好きでそのサポートのためにお金を出しているとも考えられます。そうすると、寄付そのものがもしかしたら、控除対象にはならないかもしれません。AKB48の応援のために、何枚CDを買っても税金は控除できないのです。
一方で、もし、なんらかの音楽の普及を目指す団体で、連邦法法典に定められている29種類の非課税団体の一つと認められている場合、質問者が、たとえば、特定の音楽の教育普及のために寄付をしているのであれば、控除対象になるかもしれません。
したがって、寄付をする場合には、まずどのような目的にその金銭や財産が使われるのか、はっきり知っておかなければなりません。
この寄付の目的がはっきりしないと、寄付を受けた団体がどのようにお金を使うのかに口出ししにくくなります。この辺は後述します。
高額な寄付は契約書を作成
次に、寄付というのは、金額も様々で、億単位の寄付は通常契約書を作成します。
寄付といっても、様々な条件やコントロールについて決めるのが一般的だからです。
その契約書には、上述した「目的」などが記載されています。
場合によっては、寄付先に基金(Fund)をつくり、原資を守ったうえで、運用益で目的を達するように設定することも考えられます。
ですので、寄付金の使途についても、紙ベースで確認できることになりますし、今回質問されている方のようなケースでは、契約に沿った使用がされているのかどうか、チェックする方法も記載されていることになります。
ただ、問題は比較的少額の寄付金では契約書などないことがほとんどだと思います。そのような寄付は通常、目的が定まった団体に、その団体の目的達成のために寄付されるので、使途については、団体内で定まっている定款等にしたがって支出されていくものと思います。
今回質問されている方も契約書はさすがになさそうです。
このように考えると、今回の質問のキモは、寄付をした団体がどのような団体で、どのような決まりごと(定款など)が定められているのか確認しなければなりません。
次回続けていきましょう。
カリフォルニア州は今週穏やかな天気ですが、来週以降暑くなりそうです。家事も怖い季節になりました。夏の自然を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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