July 09, 2006
ここ数年、過去の犯罪歴がある故にアメリカに入国できないという相談を受けることが非常に増加したように思います。
犯罪歴といっても、いろいろな犯罪がありますが、特に麻薬関連で有罪判決を過去に受けたことのある外国人はなかなかアメリカにいれてもらえません。弁護士がいると解決するというケースは実はあまり多くありません。
なぜかというと、アメリカ国内にいる外国人には憲法上の適正手続(デュープロセス)が保障されているのですが、外国にいる外国人には保障されていません。
ですので、アメリカに入国したいと思っている場合、外国人には入国する「権利」はなく、簡単に言ってしまえば、「お願いベース」なのです。
それは日本でも同じで、外国人は日本に入国する「権利」を持っていません。自国の利益を守ることは、その国の裁量に任されているからです。なぜ、犯罪歴がある日本人はアメリカにいれてもらえないのだ、フェアじゃない、と思われる方は、ぜひマクリーン事件という日本の最高裁までいった有名な事件がありますので、インターネットでリサーチでもしてみてください。
さて、同時多発テロ以来、アメリカ連邦移民局はアメリカに入国する外国人のバックグラウンドチェックを念入りに始めましたが、どのような内容をチェックされているのかというのは「ナショナル・セキュリティー」ということで分かりません。
しかし、アメリカ連邦移民局はある程度の発表はしていますので、今回考えていきたいと思います。アメリカ移民局は基本的にFBIと協力をして情報を得ていますが、他にも連邦政府の機関からの情報は潤沢に受けています。
まず、アメリカ移民局はIBISというシステムを使ってバックグラウンドチェックをします。IBISはThe Interagency Border Inspection Systemの略ですが、連邦政府の機関の情報が横断的にチェックできるシステムです。データベースにはセキュリティリスクに関する情報、公的にリスクとなる情報、犯罪に関する情報などがあります。移民局はこれらの情報に端末からすぐにアクセスできますので、犯罪歴などはすぐにあがってくるのです。IBISチェックを行うと、その場でだいたい結果がでるのですが、何か問題があると、拘束をして調査をせよ、という内容の表示がでます。アメリカ入国の際、使っているシステムがこのIBISですね。
二つめの方法は指紋の調査です。
指紋の採取はアメリカ入国の際にも行われますが、入国の際に採られる指紋はその場でチェックをしているわけではなく、後日必要になったら保存してある情報として使うという意味があります。
しかし、永住権申請の場合など、指紋が採取されますが、その指紋はFBIに送られてチェックされます。公表では24-48時間以内に結果がでるということですが、かかるときには一ヶ月近くかかります。FBIは指紋を過去の犯罪歴と照合して、その結果を移民局に通知する、相互システムが構築されています。
照会にだされる指紋の約10パーセントがなんらかの犯罪歴や移民法違反の問題を含んでいると移民局は公表していますが、もし、そのような記録があった場合には、ちゃんとそれらの犯罪や移民法違反について当事者が処理をした、という証拠を提出するようにしています。ですので、逮捕されて、起訴はされなかったにせよ、記録に残る可能性がありますから、それらの証拠は捨てないで持っておくようにしましょう。持っておくのも嫌かもしれませんが。
三つ目の方法は名前の調査です。これもFBIと協力をして、指紋の調査と並行して行われます。
過去の記録から指紋と名前が一致すれば良いわけですが、一致しない場合には問題となります。この名前のチェックには一件だいたい2週間程度かかり、20パーセントのケースは半年程度かかる場合もあるという発表です。さらに1パーセントのケースは半年以上かかる場合もあり、いろいろな機関から寄せられている情報を総合して判断するらしいですが、詳しいシステムは公表されていません。
基本的に、上記の3つのプロセスによって外国人のバックグラウンドチェックを行うわけですから、ある意味過去の犯罪歴を隠して入国することは非常に難しくなっています。もちろん個人情報を入国の審査以外に使うということはしないとは言っていますが、犯罪に関する情報は州や郡レベルのものまで把握されているケースが少なくありません。ですから、過去に犯罪歴がある人がアメリカに入国する際に犯罪歴がない、ということで入国を試みることは得策ではありません。
すでに犯罪歴がある人は査証免除プログラム(ビザウェーバープログラム)を使って入国することができないケースがほとんどですから、できれば、何らかのビザをアメリカ大使館・領事館に対して申請してみることで、ある程度リスクを事前に知ることができると思います。
また、新しいトピックを次回考えていきましょう。
それではまた次回まで、さようなら。
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