法律ノート 第1521回 弁護士 鈴木淳司
April 27, 2026
先日、プロ野球の試合を観戦していると、今年からビデオ判定が本格導入されたことに気づきました。微妙なプレーのたびに審判がイヤホンで指示を受け、AIが解析した映像をもとに最終判定を下す光景は、かつての職人的な審判の姿とはずいぶん異なります。「AIに仕事を奪われる」という話は弁護士業界でも他人事ではありませんが、グラウンドの審判台にまでその波が押し寄せていることを目の当たりにして、少し複雑な気持ちになりました。
さて、今回からまた新しい質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。いただいている質問について固有名詞を削除して、まとめると「日本在住の者です。アメリカに住んでいる長年の友人が退職をして、新しくビジネスをはじめるということで、一緒にやらないかと誘われています。そこまで貯金があるわけではないですが、相当額を出資してくれれば良い、という話です。不動産を買い、運用するというビジネスです。出資するにあたり、法人をつくるということでその持ち分を渡すと言われていますが、ピンときていません。どのような法人がアメリカにはあって、私が出資する際にどのような法人だと安心できるのでしょうか。」
老後の資産を、信頼する友人のビジネスに投じるという行為は、一見すると「人間関係に基づく安心感」があるように思えます。しかし、法的観点から見れば、出資とは契約行為であり、それに伴う権利と義務は感情や信頼感とは切り離して考えなければならないと思います。まずはアメリカにどのような法人形態があるのかを整理した上で、出資者として注意すべきポイントを考えていきましょう。
日本では「会社」といえば主として株式会社または合同会社が念頭に置かれますが、アメリカにはいくつかの異なる法人形態が存在します。代表的なものを以下考えます。
まずは、株式会社(Corporation)です。日本の株式会社に最も近い形態です。所有者は株主(Shareholder)であり、取締役会(Board of Directors)および役員(Officers)が会社を運営します。Corporationにはさらに、連邦法人税(Federal Corporate Income Tax)の課税対象となるCコーポレーション(C-Corporation)と、一定の要件を満たした場合に法人段階での課税を回避できるSコーポレーション(S-Corporation)とがあります。Sコーポレーションは株主数の上限(100名以下)、外国人株主不可、一種類の株式のみ発行可能など、いくつかの厳格な要件が課されます。株式会社は上場企業や大規模なビジネスには適していますが、小規模な不動産投資目的に用いられることは比較的少ないといえます。
次に有限責任会社(Limited Liability Company、LLC)が考えられます。アメリカの各州で認められている法人形態で、現在、不動産投資ビジネスにおいて最も広く利用されています。構成員は「メンバー(Member)」と呼ばれ、その権利関係は「運営契約書(Operating Agreement)」によって規律されます。LLCの最大の特徴は、第一に有限責任(Limited Liability)が認められている点です。つまり、LLCが債務を負った場合でも、原則としてメンバーはその個人財産をもって責任を負わされることはありません。第二に、税務上は「パス・スルー課税(Pass-Through Taxation)」が認められており、法人段階では課税されず、損益がメンバーに直接帰属して個人の確定申告で処理される点です。これにより二重課税を回避できます。さらに、株式会社と比較して設立・維持コストが低く、定期的な取締役会の開催等の形式的要件も軽減されています。
第三として、合名会社・有限組合(General Partnership/Limited Partnership)が考えられます。二名以上の者が共同でビジネスを行う際に成立する組合形態です。合名会社に相当するGeneral Partnership(GP)では全パートナーが経営に参加し、全員が無限責任(Unlimited Liability)を負います。一方、有限組合に相当するLimited Partnership(LP)は、無限責任を負って経営を担うゼネラル・パートナー(General Partner)と、出資のみを行い有限責任(Limited Liability)を有するリミテッド・パートナー(Limited Partner)から構成されます。不動産ファンドや不動産投資ビジネスでは、このLP形態も頻繁に利用されます。
4つ目になりますが、有限責任組合(Limited Liability Partnership、LLP)というのもあります。LLPは主に弁護士事務所や会計事務所など専門職が共同で事務所を運営する際に利用される形態です。不動産投資の文脈では比較的利用頻度が低いため、本稿では詳述を割愛します。
主に、この4つの形態がアメリカでは代表的な法人なのですが、重要なのはまず、無限責任を負うのか、有限責任のみで良いのかというところは大きな分岐点になります。要は、ビジネスの負債を限定なく負ってしまうのかどうか、という点はかなり重要なポイントになると思います。どのビジネス形態が、より良いのか次回考えていきましょう。
日本は大型連休ですね。日本から来るメールが減っているので日本にいる皆さんはのんびりされているのかもしれません。リフレッシュは大事です。アメリカは連休は関係ないので、また働いたり、学校にいかれている皆さんは一週間がんばっていきましょうね。
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