法律ノート 第1509回 弁護士 鈴木淳司
Jan 25, 2026
この週末、米東部の友人からの連絡で全体的に冷凍庫のようになっている、というニュースと写真が送られてきました。数日前に州都サクラメント郊外に行ったのですが、通常では見ない濃霧でした。なかなか冬の天候も異常だった夏に引けを取らないように違ってきているようにも思います。皆さんのお住いの地域はいかがでしょうか。
ビザ更新中の不動産購入が可能なら…?
さて、前回、アメリカで外国人が家を買うときになにか制限があるのか、という質問を考えましたが、その質問を見た読者の方から類似する質問をいただきました。今回内容が似ているので、考えておきたいと思います。いただいている質問をまとめると「日本企業からの駐在としてカリフォルニアでマンションを借りて住んでいます。最近転職をして米国の企業に移りました。今年、マンションの契約更新を迎えるのですが、現在ビザの更新中なので、賃貸借に影響しないのか不安です。前回の法律ノートは、不動産購入に関してでしたが、賃貸借についても教えていただけると幸いです」というものです。
カリフォルニアでは既得居住権の下で移民ステータスは問われない
まず基本となるのは、カリフォルニア州において、賃借人の移民ステータスは居住権とは全く切り離されたものであるという原則です。州法(民法1940.3条等)は、家主が入居者に対して市民権の有無や詳細な移民ステータスを調査することを厳格に禁じています。今回質問されている方のように、例えビザが失効間近であったとしても、あるいは更新手続き中であったとしても、それは家主があなたを強制的に追い出したり、差別的な条件を突きつけたりする正当な理由にはなり得ません。一度有効な賃貸借契約を結んだ以上、皆さんは国籍やビザにかかわらず、カリフォルニア州法が定めるすべての「テナントとしての権利」を享受する資格があります。
家主の報復行為には提訴できる
さらに、2026年から施行された新しい住宅保護法では、家主による「通報の脅し」に対してこれまで以上に厳しい対応が用意されています。家主がテナントに対して「移民局に通報する」と言及したり、それを匂わせて退去を迫る行為は、単なる嫌がらせを超えて、明確な「不法な報復行為(Retaliation)」とみなされます。この改正法における最大のポイントは「報復の推定」というルールです。もし家主があなたのステータスを知った後、あるいはあなたが何らかの権利(修理の依頼など)を主張した後に、180日以内に立ち退きを迫ったり家賃を大幅に上げたりした場合、裁判所はその行為を「不当な報復」であると推定して審理を進めることになりました。国籍やビザなどは関係なく、報復行為に対して提訴ができるようになります。私も不法報復事件は得意な分野ですが、弁護士に相談できるレベルになりえます。
トラブルには冷静に対応、証拠は必ず保存を
かりに、皆さんが家主から、上記のようなトラブルに直面した場合、家主に対して感情的に反論するのではなく、まずは冷静に「証拠」を積み上げることが重要です。家主からの脅し文句が含まれたメールやテキストメッセージは、どんなに些細なものでもすべて保存してください。また、口頭で脅された場合には、その直後に「先ほどおっしゃった発言について確認したい」といった内容のメールを送り、相手の反応を記録に残すことが、後の裁判や交渉で決定的な武器となります。カリフォルニア州では、家主が敗訴した場合、テナント側は実際に被った損害の3倍にあたる「賠償金(Treble Damages)」を請求できる可能性があるので、家主側もかなり気をつけなければなりません。
サンクチュアリ・シティの居住者が覚えておきたいこと
最後に皆さまに覚えておいていただきたいのは、サンフランシスコやロサンゼルスといった主要都市の多くは「サンクチュアリ・シティ(聖域都市)」としての姿勢を貫いており、民間の家主とのトラブルにおいて裁判所や警察があなたのステータスを移民局に流すことは原則としてありません。カリフォルニア州の法律は、国籍にかかわらず、権利を守ることは根本的に変わりません。とにかく「滞在資格に不安があるから」という思いは払拭されると良いと思います。
次回また新しくいただいた質問を考えていきたいと思います。もう2026年も一ヶ月が終わってしまいます。まだ、やらなくてはならないことはたくさんありますね。体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
三連休で天気も良いので皆さんは外出を楽しまれていますか。カリフォルニアは1月とは思えない良い陽気であります。まだまだインフルエンザの話はどこでも出ていますので、体調には気をつけつつ、陽気を楽しんで一週間がんばっていきましょうね。
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2026年1月)の情報に基づいており、法律や規制は変更される可能性があります。
本記事の内容に基づいて行動される場合は、必ず専門の弁護士にご相談のうえ、個別の状況に応じた適切な法的助言を受けてください。本記事を読まれたことにより、JINKEN.COMまたは執筆者との間に弁護士・依頼人関係が成立するものではありません。
本記事の利用により生じたいかなる損害についても、当事務所および執筆者は、故意または重過失がある場合を除き、責任を負いかねますのでご了承ください。
あなたがずっと抱いている疑問を解消しませんか?
しかし、アメリカの法律事務所はハードルが高い!!確かに。
JINKEN.COMでは、アメリカの弁護士事務所への橋渡しのサービスを提供しています。
お客様の状況とニーズ、ご希望を聞き取り、必要な書類等をまとめる お手伝いです。
私たちは、ジャッジ(評価・判断)をいたしません。
皆さんの頭の中、お気持ちを、できるだけ正確に表現する業務を行います。
ご料金は事前に明確にご提示し、追加のご請求は一切ございません。
i@jinken.com または こちらから直接お問い合せください。
■関連記事
米_外国人の住宅ローン取得_1508
アメリカ_賃貸住宅のキャンセルポリシー(1)_1383
アメリカ_賃貸住宅のキャンセルポリシー(2)_1384
アメリカ_賃貸住宅のキャンセルポリシー(3)_1385
運営弁護士
渡米後にも頼れる弁護士/弁護士事務所
アメリカ暮らしを現実に。
JINKEN.COMにアカウント登録して最新のアメリカ移民法にキャッチアップ
■アメリカの永住権を抽選で取得ーDiversity Immigrant Visa Program
アメリカの永住権を抽選で取得する制度があるのをご存知ですか?
日本からも、毎年永住権者として長期合法滞在する方々がいらっしゃいます。
応募サポート希望の方はこちらから
日本出生の方は、高校卒業時点からご応募ができます!当選後も安心のサポート。まずは正しい応募から。
■グリーンカードDV当選後サポート
グリーンカードDV抽選に応募して、当選の確認を忘れていませんか?当選は、忘れた頃にやってきます!
グリーンカード当選後サポートはこちらから
充実した当選後サポートで、安心してグリーンカード取得まで進めましょう。家族・仕事・結婚・離婚・海外在住・介護に闘病と場面は様々ですが、お客様のニーズに柔軟にお応えしています。
