法律ノート 第1499回 弁護士 鈴木淳司
Nov 16, 2025
現政権の指示で、今後1セント通貨の新規発行が廃止されました。
日本の一円玉も作るのに1円以上かかるそうですが、通称ペニーと呼ばれる1セント通貨も同様にコストが上回るそうです。
お金もデジタルに移行しつつあり、割り勘をするにもスマホがあれば済む時代になったわけです。
アメリカの小さな商店に行くと、レジ脇にトレーがあって、ペニーがあれば置いて、手持ちが足りなければそこからもらったりするということもこれからはなくなっていくのでしょうね。
道端に落ちているペニーを拾うと幸運が訪れるというラッキーペニーという言葉も廃れていくのでしょうか。
一円を笑うものは一円になくという諺も変化していくのかもしれません。
カリフォルニア_リビングトラストを検討すべきか_1499
さて、前二回、リビングトラストのことについて皆さんと考えましたが、その法律ノートを読んでくださった読者数名の方から関連する質問をいただきました。
子供がいない夫婦に関しての質問です。
ここでいただいた質問の一つを取り上げて考えていきたいと思います。
ここで取り上げる質問はよくまとまっていて感心しましたが、さらに少しまとめると「米国籍で子供のいない夫婦です。主人と前妻(米国籍)との間に3人(米国籍)の子供がおりますが、私との間には子供はいません。財産は全て金融資産で、不動産はありません。主人名義の金融資産財産の受益者は配偶者である私になっているものと、銀行口座が共同名義のものとあります。このような場合、相続のために敢えてリビングトラストを作成しなくても良いでしょうか。それと夫の前妻との間にいる子供たちには私が亡くなった後の金融資産の受益者として彼らの氏名の記載があります。」
今回質問されている御夫婦は不動産をお持ちにならないということです。
そして、すでに、銀行口座がジョイントアカウントであること、他の金融資産は受益者が明記されているということから、結論から言うと、信託(リビングトラスト)の作成は必要ないかもしれません。
一方で、ご夫婦になんらかの特別な目的がある場合などは、リビングトラストを作成することで、利点が活かせる可能性はあります。
今回の質問を見ると、配偶者を第一受取人とし、継子(夫の連れ子)を(配偶者死亡後の)二次受取人とする現在の金融資産の取り決められているようです。
そうすると、プロベート(遺産検認手続)を回避し、資産の円滑な移転をするには十分であるように思われます。
カリフォルニア州法は、金融口座における受取人指定のような「検認不要の移転(non-probate transfers)」を、プロベート手続きを経ずに死亡時に財産を移転させる有効な仕組みとして認めています。
一方、リビングトラストを作成すると、この検認手続回避に加え、さらなる利点を提供することが可能になります。
例えば、リビングトラストは、信託設定者(この場合はご夫婦)の存命中、特に意思決定能力を喪失した場合に、資産を管理するための仕組みとして機能します。
これにより、成年後見(conservatorship)の申し立てといった法的手続の必要性を回避できる可能性があります。
存命中に意思決定ができないような事態が発生したときには、リビングとラストや委任状(Power of Attorney)を作成しておくことで、残された人たちの負担が軽減されることになります。
これが一つの利点といえるでしょう。
次に、リビングトラストを作成すると、受取人への資産分配に関する条件を詳細に指定したり、相続人間の潜在的な紛争に対処したりするなど、より詳細で柔軟な遺産計画を組み込めます。
たとえば簡単な例を挙げると、ご夫妻がお亡くなりになると仮定しましょう。
残された継子の三人の方々がしっかりされていれば問題ないですが、遺産というのは降って湧いたお金ですから、場合によっては、「おー、お金があるからフェラーリを買っちゃおう」となり散財されてしまう可能性があります。
場合によっては詐欺の被害に遭ってなくなってしまうかもしれません。
配偶者が勝手につかってしまうという事例もあります。
こういったシナリオもあり得るので、たとえば遺産の中から月々◯◯ドルを渡す、といったように設定をすることが可能です。
簡単にいえば、トラストがなければ、お二人の死後は無条件で遺産が相続されていきますが、トラストによって死後、財産のコントロールを一定程度することができるのです。
またよくある例として、息子は可愛いが、その配偶者は信用していない、という相談者も多いです。
このような場合には、息子さんを飛び越えてお孫さんに残したいと考えてリビングとラストを作成される方も少なくありません。
このように、もしご夫婦が、ご自身の遺産に対して、ご自身らの死後、ある程度管理を確実にしたい場合、または、生存配偶者の死亡後に継子たちの間で起こり得る紛争のような、潜在的な問題に対処したいと考える場合には、リビングトラストは価値があるかもしれませんね。
したがって、今回の質問にある現在の取り決め(受取人指定や共同口座)だけでも、検認手続回避という目的を達成するには十分です。
しかし、上記のように、もう少し細かくいろいろ配慮しておきたい、と思う場合には、信託があった方がベターということになります。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」という考えを気にされるのであれば、ぜひ御夫婦で話し合って、どのようにするのが残された人たちにベストなのか考えれば良いのかな、と思います。
ベイエリアは雨が多い一週間でした。
交通事故もたくさん見ました。
カリフォルニアに住んでいると雨のなかの走行というのは、あまり多くないので貰い事故も含めて注意したいですね。
雨で風邪を引かないようにしながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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