離婚したらアメリカにいられない?(1)_1481

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1481回 弁護士 鈴木淳司
July 14, 2025

 事務所の人たちとジャイアンツ対ドジャースの試合を観てきました。金曜日の夜です。私の所属する事務所から歩いて数分なので、気軽に楽しめます。
大谷選手のホームランも見られましたし、地元のチームも勝ち、最後までだれも席から動かない接戦で、心に残る名試合でした。
今年はジャイアンツも頑張っていて、オールスターゲーム以降も目が離せません。
皆さんは、夏のスポーツを楽しまれていますか。

離婚したらアメリカにいられない?(1)_1481

 さて、今回からまた皆さんからいただいている新しい質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると「私(日本国籍女性)は夫の職場からビジネススクールの派遣留学に合わせて渡米しました。子どもはいません。留学中に夫との関係が悪化し、離婚を考えています。現在、夫の学生ビザの付帯としてアメリカに滞在しているのですが、夫は日本の雇用主から、数カ月後に帰国をするように言われています。私はどちらかというと、離婚してアメリカに滞在したいのですが、なにかこのままアメリカに滞在する方法はないでしょうか」というものです。

 今回の質問は離婚の問題に関わるようですが、離婚については、色々質問をいただいていますので別途考えていきたいと思います。

今回の質問は、離婚に際しての移民法の問題だと思います。
離婚をすることは考えるのは個人の問題ですので、どちらかというと個人の問題だと思いますが、移民法については別途今回考えていきたいと思います。

学生ビザに厳しい現政権

 今回質問されている方は、配偶者の方が学生ビザで渡米されているということらしいです。

学生ビザには、FビザやJビザというものがありますが、近年アメリカの政権は学生ビザに対して厳しく監視をしていることは、近時のニュースでもよく取り扱われているので、皆さんも御存知かと思います。

今回の質問は、私の回答が遅くトランプ政権前にいただいている質問ではあります。
私の回答スピードが遅いこともありますが、現在ではビザを取り巻く法律にもかなり運用面で違いが出てきています。

今回の質問に対するお答えとしては、現在の政権下での取り扱いについて想定される状況を踏まえて考えていきたいと思います。

配偶者ビザは主たるビザの滞在資格に左右される

 今回質問されている方は、Fビザの配偶者ビザでアメリカに滞在されています。

配偶者ビザというのは、基本的に主たるビザに付随しているビザで、主たるビザが親ガメとすれば、子ガメという位置づけになります。

親ガメの資格がなくなれば、自動的に子ガメの滞在資格もうしなわれるという関係にあります。

したがって、簡単に現在離婚を申し立てると、配偶者ビザを失ってしまうことになります。

現政権の外国人取り締まりの動向に注意

現政権は、不法にアメリカ入国をした外国人の取締を主眼にしていますが、一方で、外国人がアメリカに滞在するビザが切れてしまっている場合、たとえば離婚で付帯ビザの資格を失っている場合などの滞在資格切れについても、今後取締を強化していくという方向にシフトしていく可能性があります。

実際にメキシコから入国して、そのまま滞在資格が切れてしまったサッカー選手も最近、不法滞在としてメキシコに送り返される事例がでてきています。

そうすると、今回の質問にあるように、主たる学生ビザに付随するF-2ビザ保持者についても、滞在資格が切れるという事例にはかなり気をつけなければならないという状況にあります。

ですので、離婚の申し立て時期についてはかなり慎重にならなければなりません。

ビザの申請と離婚の申し立て、各時期に注意

かりに離婚を申し立てた場合には、移民局としては、配偶者としてアメリカに滞在する資格がない、と判断する場合もありえます。

そうすると、今回の質問にあるように、離婚をしたい、という思いはあっても、ご自身が自分でビザの申請をして、その許可を得るプロセスに入っていなければ、基本的にご主人の学生ビザの付帯となっています。

そうすると、主たるビザ保持者であるご主人の状況に応じて、付帯ビザの効力は影響を受けることになります。

今回質問されている方に関しては、あまり考えずに離婚を申し立ててしまうと、不法滞在になってしまう可能性があるので危険です。

そもそも移民法の問題をわからずに進めてしまう弁護士もいますので、はじめに移民法の問題に対して対策を考えてからでないと、離婚を申し立てるのは危険だと思います。

次回続けて考えていきたいと思います。

 これからカリフォルニアは山火事が怖い季節ですが、それでも湿気がなく夜は快適に過ごせる状況です。
くれぐれも火元に注意しながら、また一週間夏を楽しんでいきましょうね。


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作成者: jinkencom

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