アメリカ人のパートナーと離婚、永住権は?(1)_1458

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1458回 弁護士 鈴木淳司
Feb 23, 2025

日本の桜であるソメイヨシノは、一般的にはサンフランシスコにはありませんが、いわゆる桜(チェリー)がかなり咲きはじめました。
春の訪れですね。
ここ数日は天気もとても良く、白っぽいピンクの花がところどころで満開になっているところもあり、とても気分の良い季節です。
もちろん、花の活動がはじまると、今度は花粉の季節にもなるわけですが。
日本では寒波がニュースになっているので、まだ春には少し遠いのでしょうか。

アメリカ人のパートナーと離婚、永住権は?(1)_1458

さて、今回からまた新しくいただいている質問をみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

いただいた質問は、まとめると「日本人(女性)です。日本に住んでいましたが現在は夫とアメリカに住んでいます。子どもはいません。夫とは、彼が日本で英語を教えていたときに知り合い、日本で一緒に同棲していました。夫がアメリカで新しい仕事を得たことから籍を入れ、最近になってアメリカに引っ越してきました。ただ、私の父親に介護が必要になりそうな病状が見つかったことなどから、日本に帰りたいと考えています。夫は、日本でまた暮らしていくことには抵抗があるみたいで、円満にですが離婚をしたほうが良いか、と夫婦で話をしています。ただ、将来的にはまたアメリカでの暮らしもしたいので、永住権を失ってしまうのか、不安です。どのようにすれば永住権を維持できるのか、教えてください」というものです。

実は、似たような相談が先週も私の所属する事務所にあったりして、決して特殊な質問ではありません。
どちらかというと、外国人がアメリカ人と婚姻する場合に発生するシナリオなので、身近な問題かもしれません。
似たような質問はいくつか法律ノートにも寄せられていますので、今回まとめて、いくつかの考えられる状況を考えていこうと思います。

アメリカ国籍をお持ちの方と婚姻により永住権を取得する場合、雇用を通して申請する場合に比べて、揃える書類は少ないといえます。
ですので取得は比較的簡単といえるかもしれませんが、一方で、今回の質問にあるような永住権の維持については、色々考えなくてはならないことがあります。

今回は、永住権保持者が外国人をスポンサーする場合ではなく、アメリカ国籍をお持ちの方がスポンサーとなる場合を考えていきたいと思います。

アメリカ国籍の配偶者を通して永住権を取得した場合、2年間は「条件付き(Conditional)」の永住権となります。
この条件というのは、偽装結婚などがないのかを確認する考えが根底にあります。

2年間、婚姻生活を継続しているのかどうか、条件付きの永住権を得てから、2年後(正確には2年が経過する90日前)までにI-751申請をしなければなりませんが、申請に際して同居している証拠等を添付することになっています。
この申請に対する許可がでれば、その後は条件なく永住権者となります。

第一の例として、すでに今回質問されている方がこの2年間の条件付き永住権の要件をクリアーしている場合について考えていきたいと思います。
すでにこの要件をクリアーされていれば、単独で永住権を持つこととなりますので、今回質問にあるように日本へ行くことも可能になります。

しかし、永住権保持者に関しては、アメリカ国籍と違い、アメリカに「永住する」という前提があります。
そうすると、アメリカを長期で離れると「永住の意思がないのではないか」という疑念がアメリカ政府に生まれるので、永住権の維持について審判が開かれることもあります。
かなり移民局の裁量が大きいところなのですが、アメリカに6ヶ月まで不在にするなら、問題はなく、6ヶ月から1年間程度の不在は、灰色になってきます。

また、1年以上だと、「永住の意思」があるのか、疑念を抱かれることになります。
もちろん長期間アメリカを不在したことで自動的に永住権を放棄したとはみなされませんが、だいたいの期間的な肌感は知っておいていただきたいところです。
かりにどうしても長期間アメリカを離れなくてはいけない永住権者がいる場合には、再入国許可証をとれば、一度の申請で最長で2年間はアメリカを不在にすることができます。

まずは、今回の質問をされている方のように、介護等の継続的な必要がある状況であれば、再入国許可証を取得して、ご家族の様体やご自身の将来について、様子を見るということが良いのかもしれません。
次回続けていきたいと思います。

野球もオープン戦がはじまっていますが、日本の優れた選手が活躍しそうで楽しみな一年ですね。
朝晩の寒暖差が激しいですから、体調には注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。



あなたがずっと抱いている疑問を解消しませんか?
しかし、アメリカの法律事務所はハードルが高い!!確かに。

JINKEN.COMでは、アメリカの弁護士事務所への橋渡しのサービスを提供しています。
お客様の状況とニーズ、ご希望を聞き取り、必要な書類等をまとめる お手伝いです。
私たちは、ジャッジ(評価・判断)をいたしません。
皆さんの頭の中、お気持ちを、できるだけ正確に表現する業務を行います。
ご料金は事前に明確にご提示し、追加のご請求は一切ございません。
i@jinken.com または こちらから直接お問い合せください

■関連記事

アメリカで結婚した娘、日本で離婚できる?(1)_1080

米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?(1)_1066

運営弁護士

アメリカ暮らしを現実に。
JINKEN.COMにアカウント登録して最新のアメリカ移民法にキャッチアップ

■アメリカの永住権を抽選で取得ーDiversity Immigrant Visa Program

アメリカの永住権を抽選で取得する制度があるのをご存知ですか?
日本からも、毎年永住権者として長期合法滞在する方々がいらっしゃいます。

応募サポート希望の方はこちらから

日本出生の方は、高校卒業時点からご応募ができます!当選後も安心のサポート。まずは正しい応募から。

■グリーンカードDV当選後サポート

グリーンカードDV抽選に応募して、当選の確認を忘れていませんか?当選は、忘れた頃にやってきます!

グリーンカード当選後サポートはこちらから

充実した当選後サポートで、安心してグリーンカード取得まで進めましょう。家族・仕事・結婚・離婚・海外在住・介護に闘病と場面は様々ですが、お客様のニーズに柔軟にお応えしています。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。