就労ビザ延長時における「240日ルール」について

Washington DC Capitol

じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 09-27-2024

就労ビザというのは、永住権とちがって、米国に滞在できる期間が定められています。

ですので、ビザによっては継続して米国合法滞在をするためには、なんらかの延長申請をしなければなりません。

一方で、この延長申請が許可されるまでかなり時間がかかることも現実ではあります。

たとえば、就労ビザでアメリカに入国し、合法に滞在している場合、継続してアメリカに滞在する場合には、滞在期限が切れるまでに移民局に延長申請を行わなければなりません。

就労滞在資格の延長を雇用主が滞在期間内に移民局(USCIS)に対して申請し受理されれば、延長申請に関して移民局が審査している間、最長で240 日間、もともと発給された就労ビザに基づく就労を引き続きすることが許可されます。

申請時に「240日間延長」希望と記入することは必要になりますが、たいした労力ではありません。

この延長申請が可能なビザカテゴリにはCW-1、H-1B、H-1B1、H-2A、H-2B、H-3、L-1、O-1、O-2、P-1、P-2、P-3、R-1、TN、A-3、E-1、E-2、E-3、G-5、Iがあります。

雇用主としては、延長申請をして、移民局から受理を示すI-797Cという書類をもらえます。

その書類をI-9とともに事業所に備え置けば合法な雇用となります。

I-797C受理証明を受領する前には、I-129フォームの申請書のコピー、延長申請料金の支払証明、郵送の領収書を I-9フォームと一緒に保管する必要があります。

延長申請は、とにかく元のビザに基づく合法的な滞在期間内に申請し受理される必要がありますので、早目にパスポートが期限内か確認したほうが良いですし、I-94を確認し滞在期間が切れていないか確認したほうが良いと思います。

この240日ルールが適用されるのは、延長申請が審査中であることが条件であり、かりに240日経たずに申請が却下された場合は240日ルールはその時点で適用がなくなります。

日系企業などにおいて、E、L、H-1Bなど様々な就労ビザステータスを延長する際に適用される「240日ルール」ですが、実際のところ雇用者・被用者双方にとって非常に重要な役割を負います。

私の所属する事務所でも、かなり多くの例でこの240日ルールをつかってビザの更新をおこなっていて、雇用をかわりなく継続することができています。

最近の例ですが、いったん永住権申請が受理されて進行していたのに、移民局の手違いで撤回されたことがありました。

なんとか永住権申請をつなぎつつ雇用を確保するために、急遽この240日延長を利用してつなぐことができました。

現状、移民行政の審査時間は何をやってもかなりかかるのが現状です。

安定して雇用を継続しながらアメリカに滞在することは特に被用者に家族がいる場合には重要な要素ですし、雇用者にとっても労働力の確保にはとても重要なポイントになってきます。

ビザが切れそうになって慌ててやると失敗する可能性もありますので、アメリカに滞在できる期間が切れる6ヶ月ほど前からアメリカにおける滞在を継続される計画があるのであれば、ぜひ準備をはじめておかれると良いと思います。

また次回新たなトピックを考えていきたいと思います。

作成者: jinkencom

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