次期アメリカ大統領と移民政策への影響

Washington DC

じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 07-28-2024
July 28, 2024 Junji SUZUKI

今回のじんけんニュースは、さほど新しいビザや永住権のルール変更、新たな行政の動きは見当たりませんが、今年、根本的な米国の行政が変わる可能性が出てきましたので、傾向を考えていきたいと思います。

ケネディ大統領は凶弾に倒れましたが、トランプ元大統領は、怪我のみで済みました。
そして、そのときに叫んだ「ファイト、ファイト、ファイト」が今の共和党(Repiblican Party)の合言葉になっています。

民主党(Democratic Party)は、現職のバイデン大統領が去り、副大統領の女性が名乗りをあげました。
私はサンフランシスコで弁護士をしていて、実はハリス氏がサンフランシスコの検事局長をしていた時代を知っています。
なぜ、彼女のように経験がさほどない弁護士が、いきなり検事局長になったのか、色々な記事になっているような理由がありますが、私はハリス氏がどういう人物か知っているので、彼女がトランプ元大統領に勝てるのか、疑問を抱いてはいます。

政権に左右される移民行政

移民行政は、かなりその時々の政権に影響されます。

ですので、ところどころで移民に対して厳しい反応を見せるトランプ氏が政権に返り咲くと、移民法にも影響が大きくなると予想されます。

たとえば、バイデン政権では大規模な移民行政改革を行っていない状況ですが、最近ではH-1Bビザの登録や抽選といった細かい規則を変えたりはしています。
アメリカの大学を卒業した外国人のビザ取得について、ある程度配慮する姿勢を示しています。

しかし、このように外国人のビザ取得を改善したとしても、大統領選の票には結びつきません。
なので、次の選挙までに、移民行政が色々なところで変わっていくとは期待していません。

アメリカではヒスパニック系がある程度の人口割合になっており、アメリカの国政にも影響が大きな人種となっています。
本来は民主党寄りの人種が、バイデン政権に関しては、かなり期待を削がれているようです。
理由としては、現在の経済状況でしょうか。
そうすると、フロリダ(もともとフロリダには保守系のヒスパニックが多く居住する)や、カリフォルニアでも、最大マイノリティで、移民行政にも大きく関係しているヒスパニックの票が、共和党に流れる可能性がでてきました。

大統領選の行方で何が変わる?

私の所属する事務所でも、大統領選の行方を心配して相談してこられる方も多く、それに関連した駆け込み需要も見られます。

「トランプ政権になったらこうなる」等は現状では、明言できませんが、予想される動きや措置については誰しも興味があるところだと思います。

実際には、日本人に直接関係しないことが多いとは思いますが、トランプ元大統領が前回大統領だったときに、公的な扶助を受けている外国人には、永住権取得を許さない行政命令を出しました。
当時、公的扶助に関する規則(Public Charge Rule)が変わった影響で、永住権取得が叶わなかった人もいました。

次にトランプ元大統領が当選したら、公的扶助を受けている外国人の移民申請には確実に影響してくると思います。

確かに、アメリカ合衆国の利益から考えたら、国の税収をなぜ外国人に使わなければならないのか、ということになり、トランプ元大統領の言っていることも理解できるわけです。
日本も保守的な国ですから、日本の行政も、どちらかと言えばトランプ元大統領の考え方に近い感じはしています。

アメリカでのビザ/永住権 申請への影響

私が所属している事務所でも、永住権を申請する方々に対しては、トランプ元大統領が再選されることを想定し、公的扶助を受けるのを控えるようアドバイスしています。

今現在、永住権申請中のクライアントにも、トランプ元大統領が再度同じルール改変をした時に備えて、公的扶助は極力使用しないようにアドバイスをしています。

また、ビザ申請に関しても、アメリカ・ファーストになると考えられます。

アメリカ市民の職を第一に考えるとすれば、現状で動きは見て取れませんが、就労ビザ、特に、E,H,そしてLビザについては、かなり制限的な動きがでてくると思います。

今から対策できることは少ないですが、更新が迫っている場合には早めに対応することが重要でしょう。

今回は、漠然とした記事になってしまいましたが、また次回新たなトピックを考えていきたいと思います。

作成者: jinkencom

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