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大統領令による出生地主義の制限について_1134

法律ノート 第1134回 弁護士 鈴木淳司
Nov.6、2018

 今回は、皆さんからの質問にお答えするのを一度休ませていただき、法律に関する最近のトピックを考えてみたいと思います。

大統領令による出生地主義の制限について_1134

 明日(2018年11月6日)はアメリカ議会選挙が行われます。同時に多数の住民投票も各州、各郡で行われる大事な日であります。今年は、現大統領就任後、初のリトマス試験紙になるため、大統領は勝機を固めるべく様々なパフォーマンスを提供してくれています。

アンカーベビーとチェーンイミグレーション

 アメリカの南では難民申請を願ってアメリカに向けて進んでいるキャラバンのことを取り上げ、5000人以上の軍隊を国境に送っています。複数の退役幹部軍人がこれは明らかな政治的な軍事利用だと厳しく批判していますが、大統領は意に介さず税金を投入しています。

 現大統領は当選前、移民問題を大きく前面に押し出していました。その結果、正当な難民申請を目指している外国人に対しても、強く出ていることは明らかですが、もう一つ出生地主義の制限について中間選挙前に大々的にマスコミのインタビューで再度謳いました。「アンカーベビー」や「チェーンイミグレーション」を許すな、というものです。前者は、子供にアメリカ市民権を取らせ、それをきっかけにアメリカに移民をしてくること、後者は、一人がアメリカ市民権を取るとその家族もアメリカに移住してくること、を指します。この国は、現状の連邦制になってから歴史は浅く、現大統領の妻を含めほぼ後者のような形でアメリカに入ってきています。これを廃止させようとしているのです。

アメリカ国内で出生すればアメリカ国籍

 大きく分けて、世界の国々には、生まれた人に国籍が認められるには2つの方法があります。一つは出生主義、もう一つは出生地主義です。出生地主義を認める国家は、形は様々ですがアメリカを含め30以上あります。(現大統領がインタビューで、「このような出生地主義を取っているのはアメリカだけだ」と言っていたのは間違っています。)日本は出生主義を歴史的にとっていて、日本人の子でなければ日本人には出生時になれないのが原則です。

 したがって、現在アメリカ大統領が言っていることは、日本人には実は親和的に聞こえると思います。アメリカでは、アメリカ国内で出生すれば、アメリカ国籍が与えられます。移民国家であるアメリカではほぼ当たり前に受け止められていました。

これまでまもられてきた出生地主義に制限が?

 今回、現大統領は、大統領令によって、この出生地主義を制限する、とインタビューで明言しました。中間選挙前というタイミングは偶然なのでしょうか。以前、現政権は、アメリカに渡航禁止をする国を包括的に指定する大統領令を発令し、最高裁判所まで争われ、内容は一部改定したものの、大統領令が支持された過去があります。今回も本当に大統領令を発令することで出生地主義を制限できるのでしょうか。

 アメリカは立憲国家ですので、憲法が最高法規であります。その憲法の修正14条は1868年に現在の最終型として議会で制定されました。この修正が行われるまでは黒人であるがゆえにアメリカ市民として認められなかった過去があります。修正14条の原文は、該当する箇所について、この原稿の最後に記載しておきます。

「アメリカ合衆国で生まれた、または帰化したすべての人は、合衆国の管轄に服する場合、米国籍保持者である(筆者訳)…」とされています。米国で司法試験を受けるには、修正5条などとともに、暗記が要求されるほど、重要な条文です。

 1898年には、この修正14条が試された事件があります。中国籍の両親を持つ人が中国に滞在後、米国に再入国拒否され、最高裁判所まで争って、修正14条に基づいて、国籍を認められました(United States v. Wong Kim Ark (1898))。その後、この根本的に米国で出生した者に米国籍を与えるという考えは変更されていません。米国最高裁判所は、修正14条で認められた権利を文言通りに解釈しながら、広く権利を認めてきたのです。

 この流れで、1982年に判決に至ったPlyer v. Doe 457 U.S. 202 (1982)という事件では、不法移民の子で、米国籍を持たない子にも、修正14条の保護が及び、不法だからといって、教育費の削減をすることはできない、と判示されました。不法移民の子でも修正14条にいう「人」である、と判決文にあります。

このように、修正14条で出生地主義はかなり広汎に守られてきましたし、不法移民に対する修正14条の適用も最高裁判所判例で明確になっています。

「合衆国の管轄に服する場合」の解釈をめぐる議論

 しかし、上記修正14条の訳した一部である「合衆国の管轄に服する場合」の解釈について、ごく少数の政治家や法律家が噛みつきます。上記1982年の判決において「合衆国の管轄に服する場合の解釈は、判決本文ではなく、脚注で取り上げられているだけなので、少数派は、まだこの部分について、最高裁判所は判断していない、と主張しています。

 すなわち、不法移民であれば、合衆国の管轄に服していないと言えるというのです。1982年判決の根本的な趣旨に反している主張なので、簡単に通る考え方ではありませんが、このような議論の余地があり、これを現政権が使ってくる可能性は残ります。

 上記を見ると明らかですが、議会が制定した修正14条、司法の最高機関である最高裁判所が決めた判決が存在するなか、三権の一つである行政の長が大統領令を出すだけで、人権を制限できるのか、というとなかなか難しいことがわかります。

 今まで、まったく眠っていた問題ですが、司法界でもこれから議論されていくことになるトピックかもしれません。最高裁判所にも、現政権が指名した判事が二人入っています。今後上記を踏まえて注視したい問題ですね。 

(米国憲法修正14条原文抜粋)
All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the state wherein they reside. No state shall make or enforce any law which shall abridge the privileges or immunities of citizens of the United States; nor shall any state deprive any person of life, liberty, or property, without due process of law; nor deny to any person within its jurisdiction the equal protection of the laws.


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