アメリカ_警察の車内検査拒める?(2)_1310

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1310回 弁護士 鈴木淳司
April 17, 2022

 大型事件が一息ついて、事件に関わってきたインターンと週末に「お疲れ様会」をやりました。
いつものことですが、昼から酒を飲んで楽しい時間を過ごしました。
若い弁護士が多く、普段は忙しい時間を過ごしているのでしょうが、一つの事件を一緒にやってきたというベクトルは一緒です。
事件解決を喜びましたが、話題は尽きず、またやりたいなと思いました。
子供らも参加していましたが、成長を見るのも楽しいものです。
みなさんの週末はいかがですか。

アメリカ_警察の車内検査拒める?(2)_1310

 さて、前回から考えている質問を続けて考えていきましょう。

いただいている内容は「コロナ禍の折家族とキャンプに行く途中の出来事でした。スピード違反ということで、乗っていた大型のバンが警察に止められました。単にスピード違反の問題であると当初言われていたのですが、車のグローブボックスから車の登録証を出すときに友人が持っていたライフル銃の薬莢が入っているのを警察に見られました。以前、友人が忘れていったものをいれていたので、何も問題はないと思っていました。警察官に押されて車内を調べられて、数時間拘束されました。楽しいキャンプの出だしで台無しになってしまったのですが、こういった場合には車内の検査などは拒否できると友人から言われました。今後のためにも拒否をするべきだったのか考えてしまいます。」というものです。

 前回、スピード違反で停車を命じられたときにはまず法律的にどのような状況になるのか考えました。
端緒といって、捜査のきっかけというのはどのような状況が想定できるのか見てきました。
そもそもスピード違反がなければ停車を命じられることはないので、スピードは守って運転しましょう、ということになりますが。

さて、今回の質問のように車の停車を命じられ、警察官とのやり取りのなかで薬莢が見つかったという場合、車内の捜索を拒否するべきだったか、考えていきましょう。

 一つの考え方は、今回の質問で提示されているように、拒否をする場合です。

車内検査の拒否は法律上は可能だが

拒否をすることは法律上可能です。
最初にスピード違反で止められている以上、その内容から踏み込んで捜査をされてしまうことは想定外である、ということで「薬莢の所持は違法なものではない」と強く言い、捜査を拒否することもできます。
端緒があったとしても、あくまでも警察官は任意の捜査として、車内を見せてくれ、と言っているだけなので、もし捜査したければ捜索令状を持ってこい、ということで拒否をすることは可能なのです。
このように質問者のご友人も対応するように言っているのでしょうが、それで行かせてくれるときもあるでしょうし、そうは簡単にいかない場合もあると思います。
停車を命じた警察官がどのような性格かが大きく影響するかもしれません。

 警察官も一定の教育を受け、法律で決められた一定の範囲内の仕事をしているわけですが、人によって、対応が違います。
警察官も人ですので当たり前ではあります。
「一切捜査協力を拒否する」といってすぐに引き下がる人もいますし、正義感や、使命感に燃えて、拒否されても引き下がらない人もいるわけです。
アドホック的ではありますが、その場で判断をしなければいけないところだと思います。

やましくないなら捜査に協力するのも手

 2つ目の考え方としては、疚しいことがなければ、捜査に協力してしまうという考え方です。

警察官もたとえば、薬莢が見つかったとしても、理由に辻褄があえば、銃社会アメリカですからそこまで問題にはしません。
逆に抗うと、さらに「怪しいのでは」と思われてしまいます。
最初から薬莢の持ち主、その用途などを話して納得してもらえれば、それで解放してくれるかもしれません。

警察官も人の子ですから、やはり普通に話をして、納得すればそれで終わりになると思います。
最近では、警察官も規則で捜査の一部始終を録音または録画していることが多く、権限を濫用するような事例は減っています。
たしかに警察官に停められて、いろいろ詮索されることは、気分は良くないですが、こちらからドライに捜査に協力する態度を示しておくと、誰も嫌な気はしませんし、早く解放される可能性もあると思います。

運転の際は、車内まで責任をもつ

車のなかにあるものは、基本的に運転している人の責任として考えておくべきですし、仮にわからないものが車内にある場合には、理由が付けられるようにしておくべきだと思います。

警察官としても、仕事をしている訳ですので、問題が無いほうがベターと思っていると思います。
ですので、仕事をしている人に協力するという態度を取っておいたほうが良い事例だと私は思います。

数時間拘束というのは長いですが、それなりに対応なども考えればすぐに行かせてくれたのではないかと思います。
いろいろなイメージを警察官にお持ちなのかもしれませんが、敵対するだけではなく、仕事に協力をするという態度もあったほうが良いかもしれませんね。

次回からまた新しい質問を考えていきたいと思います。

春は楽しいことが多いので、コロナにも打ち勝ってきているので、季節を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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