アメリカ_少額裁判制度Small Claims(2)_1290

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1290回 弁護士 鈴木淳司
November 24, 2021

 今週はサンクスギビングがあり、いたる所で人がごった返していますね。
マスクをつけていない人も散見されます。
アメリカでは第三回目のコロナワクチン接種が進んでいて私も打ちました。
三回打ってしまうと無敵だ、みたいに考える人もいるようですが、本当なんでしょうか。
しかし、このままだと、インフルエンザと同様に毎年接種になるのでしょうかね。
打たなくてよいなら注射は避けたいものですが。
皆さんはサンクスギビングの準備はいかがですか。
私も今年は集まりに参加する予定です。

アメリカ_少額裁判制度Small Claims(2)_1290

 さて、前回から考えてきた、「二年ほど前に、私の乗っていた中古車を友人に売りました。タイトル(権利)も、その友人に売買した際に移転しました。友人は、すぐに全額払えなかったので、2年間の期限を決めて、毎月分割で売買代金を払ってくれていました。しかし、コロナ禍で、支払いが滞りまだ数千ドル支払いを受けていません。このような場合には、小額裁判制度を利用して支払いを受けることができるのでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。

前回は、少額裁判提起までに考えておかなければならない点を挙げました。

少額訴訟の進め方-訴状

少額裁判を提起するとして、裁判所にいくか、インターネットを通じて書類をダウンロードしておかなければなりません。
訴状(Complaint)という書類がメインですが、その書類にどのような訴えを提起するか書かなければなりません。

今回質問されている方のように、売買代金の残額を請求する場合には、その請求額だけではなく、どのようにその請求に至ったのか説明し、その説明を基礎づける書類等も揃えなくてはいけません。

弁護士に委任できない少額裁判

ここで覚えておきたいのは、少額裁判制度において、弁護士に事件を委任することはできない点です。

あくまでも本人がやらざるを得ません。

通訳が必要な場合にも基本的に自分で手配しなければなりません。

もちろん弁護士が代理出廷することはできませんが、用意を手伝ってもらうことはできます
たとえば書類を作成してもらったり、宣誓書があった方が良いなどとアドバイスをもらうこともできます。
揃った書類については、本人名義で裁判所に提出すればよいわけです。

スモールクレームズアドバイザリ

また、少額裁判所においては、スモールクレームズアドバイザリーという、アドバイスをしてくれる団体が各郡に用意されています(https://www.courts.ca.gov/selfhelp-advisors.htm 参照)。
これらの団体の詳細を私はわかりませんが、皆さんが相談をして、どのような書類を作成したら良いのかアドバイスをくれるということになると思います。

ただ、法律相談は提供できないというのが原則ですから、自分としてはどのような請求をどのような原因から求めるのか、はっきりさせてから相談するのが良いと思います。

少額訴訟の特徴

 少額裁判は通常、弁護士が裁判官役を兼務する郡もありますし、少額裁判ばかり担当している裁判官もいます。

一般的には、少額裁判は何か問題がない限り一回で結審します。
ですから、すべて提出すべき書類や、証言をしてくれる証人はそのワンチャンスのときに集める必要があります。

また、当事者や証人も働いている人も多いことから夜に開廷して利便を高めるという郡もあります。
裁判の進行は、何件も少額裁判が集められるので、たとえば9時開廷といっても午前中ずっと待たされる可能性もあり得ます。

また、進行は単純で両方の当事者からの書類はすでに提出されているとして、裁判所の判断で、当事者や証人から話を聞くということになります。

少額裁判には弁護士が出廷できないことから、裁判官が主導権を握って質問をしてくることが多いです。
よく、テレビに出てくるジャッジなんとか、といった裁判モノのようになる場合が多いと思います。

証言が一通り終わると、それでその日はおしまいです。
後日、裁判官が判断して、郵送で結果を送ってくることになります。
不服があれば、地裁を第二審として、控訴することも可能ですが、ほとんどの事件はこの判断で終了することになります。

判決と執行は別の話

 かりに、今回質問された方が勝訴した場合、それだけでは自動的にお金をもらえるわけではなく、執行をしていかなければなりません。

判決文を執行するには、各少額裁判所の指示に従って、行政の執行を行う保安局(Sheriff’s Office)に頼むことになります。

判決文があれば、相手方の銀行口座などに執行をかけていくこともできます。
ただ、相手方にまったくお金がなければ、回収できないという問題も発生します。

ですので、相手方にある程度財産があるのかは確認しておくのが良いですし、かりに訴えられる人間が複数いる場合には、被告の人数を増やしておくことも一つ考えた方がよい点かもしれません。

 少額裁判の流れについては今回この辺にしておきたいと思います。

もし、他の視点から質問があれば、いつでも質問をしていただければと思います。

また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。

パーティーなどが多い季節ですが、体調には注意してまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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