日本人女子よ 、しなやかにそして強く_1267

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1267回 弁護士 鈴木淳司
June 13, 2021

 今回は皆さんからの質問にお答えするのを一回休ませていただき、最近私が身近に感じた話題を考えていきたいと思います。
皆さんからいただいている質問は一回休ませていただきますがお付き合いください。

日本人女子よ 、しなやかにそして強く_1267
アメリカでの婚姻無効を乗り越えて

 私の事務所に一歳児をかかえて来ている事務方がいますが、赤ちゃんがいると事務所の雰囲気も実際に良いですね。微笑みが生まれます。
どうせ男は子供が産めないのですから、女性が子供を連れてきて職場で堂々としていれば良いと思うのです。子供は将来の宝であります。

一方、女性は女性で、子供を抱えながら仕事をするのも大変だと思われているでしょう。
一般的に女性の考え方を男性が知っているのか、と言われれば私や世の中の男性は簡単には肯定できないでしょう。
ただ、男だろうが、女だろうが、今の世の中心を強く持って生きていかなければなりません。
傲慢であってはいけませんが、心や態度にしなやかさを持ちながら、生きていくことに性別は関係ないとおもっています。

 さて、私自身は離婚裁判には関わらないのですが(私の所属する事務所では色々な相談はありますが)、数年前に「婚姻無効」というちょっとめずらしい裁判に関わることになりました。
実は以前法律ノートでも取り上げたトピックではあります。

若くて結婚した男女が、性交渉もなく、異常な新婚生活を形づくっていて、離婚ではなく、婚姻無効、いわゆる婚姻がそもそもなかった、という法律的な立て付けを使ってみよう、ということになりました。
通常の離婚とは、全然違うので、駆り出され私が事件に首を突っ込みました。
紹介をいただいた日本の弁護士からも指名されたので、主任として取り組みました。

その事件は結婚式などは派手に行われたものの、実際の婚姻生活がまったくなかった形で始まり、そして終わりました。
そうすると、経歴を考えると、離婚よりも、婚姻無効の方が、人生の傷は浅くなるのではないかと思ったのです。

個人的には、離婚しようが、どうしようが、その「人」をみるのであまり関係のないことだと思いますが、私のクライアントだった女性は日本人で、お見合いし、単身彼を頼ってわざわざアメリカに来たという流れもあり、本人や家族の強い希望も相まって、法廷で最終的に争って婚姻無効を勝ち取りました。

 事件が進み、裁判所の最終的な判断を仰ぐことになりました。
既に日本に帰国された本人女性と、付添でお母様が裁判のためにのみ渡米されてきました。辛い事件でした。
アメリカにいる男に嫁ごうとしていておきた悲劇であります。
男女の関係はさておき、母子で望んだ和解はできたものの、楽しいことのないサンフランシスコ滞在では、ネガティブな思い出にしかなりません。
私が誘って、ゴルフのカントリークラブでの夕食をご一緒しました。
流石にゴルフはできませんでしたが、夕食は堪能し、そのゴルフコースのグッズも色々手に入れられて母子はご帰国されました。

 今回、全米女子オープンが、私がメンバーのクラブで行われ、日本ゆかりの選手がプレーオフ争いをしたということもあり、日本でもかなりニュースになっていたようです。
私は、メンバーボランティアとしてリーダーズボードを週末ずっと担当していて、忙しかったのですが、あるメッセージが届きました。

数年経って、以前婚姻無効が成立した女性から連絡がはいっていたのです。
「全米女子オープン、笹生優花ちゃん優勝しましたね!素晴らしい!!彼女の優勝と共に、その舞台となったクラブへ先生がお連れ下さって、あの素晴らしいクラブハウスでお食事をご馳走になったこと、今でもまだまだ興奮しております!先生と共に過ごしたサンフランシスコでの時間は、私にとってかけがえのない大切な想い出です!!本当に有難うございました!!」。

私も、クラブで食事をしたことを思い出し、やりとりを重ねました。
このやり取りのなかで、彼女は結婚し、今ではゴルフ好きの夫と、そして家族と楽しく過ごしているという報告をしてくれました。
彼女も、全米女子オープンがきっかけになり、食事を思い出したのでしょう。

 
 この報告を受けて掛け値なしに「いいじゃないか」と感じました。
彼女はベイエリアで辛酸を嘗め、私の事務所にネガティブがことで相談し、悩み、決断し、そして数年経って幸せになったのです。

私は、弁護士として、この辛いことを乗り越える踏み台になったわけで、これは弁護士冥利に尽きるじゃないですか。
クライアントが幸せになり、その報告をわざわざくれることが私にとっては本当に嬉しかったです。

ネガティブな状況を超えて、強くなった日本女子。
実はゴルファーだけでないのです。

彼女から、「結婚に対して前向きになれたのは、先生がいつもいつも温かいお言葉をかけて励まして頂き優しく接して下さったからです。本当に有難うございました。」という返事をもらいました。
私は実はなにもお世辞も言っていません。

実際には、私が前向きにしたではなく、自分で強くなって乗り越えられたのだと思います。
そして、自分の強さを持って、がんばっていく心があるから、幸せになられたんだと思います。
ちょっとしたゴルフが縁のメールでしたが、自分で努力し、それを掴むというシーンを女子から何度も見せてもらう週末になりました。

また次回は皆さんからいただいている質問を考えていきましょう。

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作成者: jinkencom

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