アメリカで中古車購入(3)_1266

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1266回 弁護士 鈴木淳司
June 7, 2021

 この週末は、私がメンバーのゴルフ場にずっと塩漬けで、リーダーボード係をやっていました。不覚にも日焼け止めを忘れてしまい大変でした。とにかく感動的な女子ゴルフ大会となりました。
プレーオフになって、リーダーボードも総入れ替えの必要があり、ゆっくり観ることはできませんでしたが、特に日本の女子ゴルフ界にとっては今後も語り継がれる一日になったと思います。
裏方でしたが、このような舞台を支える一員になれたことは一生の思い出です。

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さて、前二回考えてきた質問を続けて考えていきましょう

いただいている質問は「SNSを使った個人売買で車を買いました。もちろん、インターネットのやり取りだけではなく、直接会い、やり取りをして、必要な書類をもらいました。古い車でしたが状態は良いという掲示でした。その掲示された内容は保管しています。無事に車も受け取り、必要な売買の書類も手に入れたのですが、DMV(カリフォルニア自動車局:日本の陸運局と業務内容は類似している)に書類を提出する段階になり、名義にSALVAGEと書いてあり、廃車となった車を売られたことに気づいたのですが、そのような内容は事前にまったく聞いていませんでした。詐欺などという形で訴えられないものでしょうか。」というものです。

前回、今回のような事件をかりに少額訴訟事件として裁判所を通して争うときの注意点について考えておきたいと思います。

多くの中古車売買には契約書がない

まず、前回考えたように、カリフォルニア州において個人間で中古車の売買を行う場合、ほとんどの場合がピンクスリップ(権利証書)のみで行われ、別途契約書というのを結ばないのが一般的であるということを考えました。
かりに契約書があれば、その契約書の内容に反すれば債務不履行となり損害賠償の対象になりえますし、契約書に書いてある文言が虚偽であれば、詐欺を追求する可能性もでてきます。

ところが、契約書がないとなると、売買内容は、前回考えたようにAs Is(現状引渡)であり、書面での約束は、ピンクスリップだけということになります。

すべての署名済みのピンクスリップと車を受け取り、同時にお金を払い領収証をもらうことが一般的ですから、書面といえばピンクスリップの記載内容だけということになりそうです。

契約書がないと詐欺の追求は不可?

それでは契約書がない場合には、詐欺で訴えられないでしょうか。

結論からいうと、どの程度事実が積み重ねられるかということが重要になると思います。

契約書にSALVAGEではない、と記載されているのに、SALVAGEであったとすれば、詐欺の重要な証拠になりそうです。

一方で一般的には契約書がないわけですから、詐欺だと言っても、「ピンクスリップにちゃんとSALVAGEと書いてあるじゃないか、その記載をちゃんと読んでいない買主が悪いのだ」とも言われる可能性がありますよね。
ですので、SALVAGEだということをあえて売主が言っていないとしても、ピンクスリップにばっちりSALVAGEと書いてあれば、詐欺の主張は簡単に通るということにはなりません

 ここで問題は、実際に売買に至るまでに、SNSやウェブなどでどのように広告され、どのようにやり取りされていたのかは重要な証拠になる可能性があります。

たとえば、SALVAGEであることを明らかに開示していないとしても、あたかも、まったく今まで問題がなかったような口ぶりで説明をしている場合や、SALVAGEかどうか聞いていたのに、嘘をついている、などの証拠があれば、詐欺、すなわち買主を騙す意思があったということが言えるかもしれません。

具体的な相談の前に事実を時系列で整理

今回質問されている方から詳しいやり取りの経緯などを聞いてはいませんので、なんとも判断できませんが、何をどのように言われたのか、専門家に相談するまでに時系列を整理しておかれると良いかもしれません。

ただ、詐欺を主張しても、ピンクスリップにSALVAGEと記載されているとすると、なかなか騙された、と実際に主張するのは簡単ではないということになりそうです。

日本人がアメリカで中古車の売買をするときに、注意が行き渡らない点かもしれません。ですが、今回考えた、SALVAGEとピンクスリップにかかれていることは、売主が本当に本人かどうか確認することと同程度に重要であるという認識を持ってください。

実際には、SALVAGEである車両に特化して買う業者もいるくらいですので、少なくともカリフォルニア州では一般的な知識ということになります。

 皆さんは、夏休みの計画はもうたてられましたか。
アメリカはもうコロナ禍が収束し、皆夏をどう過ごすかで話が盛り上がっています。
夏休みは忙しい社会人の方も一年の半ばでのリフレッシュですので、メリハリをつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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