買い物中に大怪我。店に医療費を請求できる?(2)_984

Golden Gate sanfran

法律ノート 第984回 弁護士 鈴木淳司
Dec. 7, 2015

 先日、80歳近くなる女性シンガーのディナーショーに参加させていただきました。さすがに、歌われている歌は知らないものが多かったのですが、実に魅力的な方でした。張りのあるハスキーな声に驚くとともに、いくつになっても、好きなことをのびのびとやられていると、人間はいつも輝いているのだと思いました。皆さんも一生の楽しみをお持ちになっていますか。

買い物中に大怪我。店に医療費を請求できる?(2)_984

 さて、前回から考えてきた質問を続けて考えていきましょう。「量販店に買い物にいったときに、小学生の子供が滑って転びました。固い床で腕の骨にヒビが入って、頭部も強打したので安静が必要ということになりました。こういった場合、よく聞くのが店側が責任を負うということですが、この量販店に対して医療費などを請求することができるのでしょうか。なお、現状で、子供の怪我は私の勤務先の保険で家族もカバーされるので、それでまかなっています。」というものです。

商用の物件には、ゲストの安全に配慮する義務が

 基本的に「ゲスト」としてお店に来る客に対しては、ある程度店側が安全にショッピングをさせる義務を負うことは理解していただけたでしょうか。簡単に言うと、「トレスパッサー」に対しては、土地の所有者が現存している危険を知っている場合には、怪我に対して限定的に責任を負うことになります。

 「ゲスト」というのは承諾を得て、土地建物に入る人を指すということは前回理解していただいたと思いますが、承諾を得ているだけに、土地建物の所有者や管理者は、それなりに対象となる場所の管理をすることを法律で要求されます。

 あまり難しい言い方は避けますが、大きく考えると、商用の物件と、個人的に使用する物件と若干考え方が違います。個人的に使用する物件といえば、自宅などが考えられるでしょうか。このような物件では所有者や管理者が危険であると知っているもの、また一般的に危険であると考えられるものについて危険を除去するか、対応策を講じなければ過失があると考えられてしまいます。

 さらに、商用物件、たとえば今回の質問にあるような事例、たとえば、スーパーや、大型量販店などにおいては、さらに高度な危険を防止したり、除去したりする義務があります。

 たとえば、定期的に管理する場所を警備したり、問題がないかチェックしたり義務がさらに課せられます。よく、凍った路面で転んで、その家のオーナーを訴えるという例を目にしますが、これはオーナーが危険を知っていて放置していたということが悪いわけです。もちろん保守をしなければなりませんが、その保守は合理的な範囲となります。

 しかし、スーパーなどでは、保守の部分において、巡回などをしなくてはならないので、通常の個人的な所有物件よりは高度な安全に配慮する義務が存在するのです。

どの店でも買い物客の安全をチェックしている

 今回のような事例ですと、店に対してクレームをすると、店側としては、どのように巡回警備をして、問題がないのかを判例に沿って確認します。かなり頻繁に、たとえば水がこぼれていないかとか、危険な陳列棚がないか、など確認した記録をとっています。

 また、最近では、防犯カメラが発達していますので、何かフロアに問題がないのかを随時確認しています。もちろん、大型スーパーや量販店だからこそできる巡回はありますが、多かれ少なかれどの店でも買い物客の安全をチェックしているわけです。

店が安全に配慮する義務を怠ったかどうか

 今回質問されている方においても、まずどのような理由で子供さんがころんだのか、店側に安全を配慮する義務を怠ったこといえるだけの理由があるのかを、確認しなければなりません。ただ単に子供さんがころんだというだけでは、店側の責任とすることは難しいわけです。

 たとえば、水がこぼれていたこと、危険な物につまずいたこと、などを指摘する必要があります。ここまで主張をすることができれば、店側は、巡回などをして危険を除去していたことをもって防御をすることになります。

 したがって、ただ単に子供がころんだというだけで店が自動的に責任を負うわけではなく、なんらかの危険な状況があったかどうかは重要なポイントなのですね。そのところの事実関係いかんによって、結果が違ってくるでしょう。

 次回新しくいただいた質問を考えていきたいと思います。もうアメリカはすっかりホリデーシーズンで、職場もスローになってくる季節ですが、もうひと踏ん張り頑張っていきましょうね。


▼DV-2020の当選後サポート、受付中!

https://jinken.com/win/

グリーンカード取得まで、とことんお手伝い。1年以上の長期にわたって、メールのやり取りは200,300,400以上が当たり前。

各種証明書の翻訳・面接その他のコンサルティング・実際のグリーンカード取得者の経験にもとづく専用QAページ・各国の警察証明取得・大使館等への問い合わせが、すべてセットになっている総合サービス

面接通知はどうやってくる?次に何をすべき?…日常と併行して手続きを進めるのは、本当に大変です。 気軽に相談できる専門家がいれば、心強いこと間違いなし!大きな不安を、ぐっと軽減します。 

*当選後手続きは、細やかなサポートを徹底するため、お断りする場合があります。 サポートをご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせを。(i@jinken.comもしくは各担当者アドレスまで)

▼DVグリーンカード抽選サポート、お申込み受付中

https://jinken.com/entry/

絶対アメリカに行きたい!住み続けたい!大きなチャレンジをして自分を変えたい! Momsを通じてご応募なさる方々の「本気」にこたえます。

応募期間は例年10月のおよそ1か月。

もしもDVが実施されなかった場合には、もちろん全額対応させていただきますのでご安心ください。政権の移民政策に対する不安も大きいところですが、Momsでは柔軟に対応してまいります。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。