リゾート地のタイムシェア。法律的には?(1)_980

Golden Gate sanfran

法律ノート 第980回 弁護士 鈴木淳司
June 23, 2015

 先週、新潟で開業している友人弁護士から高校野球のピッチャーが伸び伸びと投球している写真が届きました。20年ほど前にその友人は留学していて、当時生まれたばかりの彼の子供を私が膝に乗っけて写真を撮ったことを覚えています。子供の成長に目を見張りました。この20年、私の体で成長したといえば、腹周りと中性脂肪の値くらいでしょうか。

リゾート地のタイムシェア。法律的には?(1)_980

 さて今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。質問をまとめると「あるリゾート地で、タイムシェアを購入しました。最近ではいろいろなプランが出ていて、将来的にも家族で有効に使えるかなと思い夫婦で決断しました。気に入っているリゾート地なので、ただ単にバケーションでお金を使うのであれば、資産価値もあるので良いのではないかと思っています。しかし、インターネットではいろいろネガティブな話もあり、毎年の管理費を払うときになって不安になります。法律的にはタイムシェアというのは、どのように考えれば良いのでしょうか」という質問です。

魅力的な面も多いが…

 近年では、私もリゾート地に行くと、「ぜひタイムシェアを考えてください」とかなりしつこく誘われます。大型のチェーンホテルなどがタイムシェア事業に本腰をいれて、説明会に出てくれれば、ポイントや様々な特典をくれる、といった勧誘をチェックインからチェックアウト時まで行っています。話を聞くと、たしかに魅力的な面もあります。ホテルの部屋よりも充実したマンションタイプの部屋をあてがってくれたり、ホテルのチェーン店系列であれば、色々なホテルの選択があったり、とプラスの面しかないようにも思えます。私はタイムシェアを購入するのは躊躇しますが、皆さんも今回考える法律ノートを勘案して、ご購入時の注意点とされてください。

法律的にどのような権利を買うのかは契約書に

 タイムシェアというのは、法律用語ではなく色々な性質を持つことができますが、基本的には契約書でコントロールされます。したがって、一つ一つの案件で、契約書をかなり詳しく吟味しなければ、何に注意をして、何がベネフィットなのかを確定することができません。タイムシェアを売る側としても、利益を考えてかなり詳細に契約書を練ってきますので、その内容をよく読んで理解することが重要です。

 一般的には、タイムシェアというのは、あるリゾート物件を、たとえば、一年のうちに1週間、2週間といった時間的な枠を設定して所有することを言います。時間軸については、契約書でコントロールされますが、通常は、一年52週間を1週間単位で売り出すという形を取っています。そうすると、ひとつのリゾート物件、たとえば2LDKの部屋を一つそのまま買って所有するよりも、その購入価格の52分の1からの値段で購入することができるため、ある程度購入価格も安く、別荘を持たなくても気軽に購入できるメリットがあります。

 また、タイムシェアによっては、購入した物件以外でも、ネットワーク内の他の物件と代替して使用することができるような権利ももらえる場合もあります。タイムシェアによって、購入物件を使用できる期間を明確に決める場合もありますが、多くの場合に「Float」と言って、一年間のピーク時を除いて、どこか一週間の予約をいれる、といったシステムを取っています。

 また、タイムシェアについて「所有」という表現を使う場合もありますが、どのような法律的な権利を買うのかは、かなり契約書を詳しく見る必要があります。場合によっては、物件を証券化して、その持ち分をもらう場合物件を賃借の対象として、一定期間賃借できる権利をもらう場合ストレートに対象物件の1週間分に値する部分を所有する場合、など様々です。

 単純に物件の一部を所有する場合には、所有者としての権利は比較的強いのでしょうが、タイムシェア物件によっては、デベロッパーから賃借(リース)しているだけの場合もあります。詳しいことは次回以降考えていきたいと思います。

タイムシェアの相続に頭を悩ませたことも

 90年代に、私が手がけた相続事件で、タイムシェアの相続に頭を悩ませたことがありました。売ろうとしても売れない、相続人も誰も欲しがらない、といったことで、他の財産の処分はすんなりいったのですが、タイムシェアの処分にかなり困った思い出があります。

 リゾート地ですから、本人が居住している場所とも違う法律が適用され、かなりややこしいことになった記憶があります。タイムシェアは「資産」として良い、という考え方と「資産」だから処分に困る、という考え方が同時に成り立つ不思議な部分があります。

 次回詳しく考えていきましょう。バスケは40年ぶりに地元のチームが勝ち、まだまだお祭り気分が覚めていないベイエリアですが、皆が楽しい気分になることは良いことです。また一週間、生活のなかの小さなことでもよいので楽しみながら、がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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