法律ノート 第1121回 弁護士 鈴木淳司
Aug. 7, 2018
ある朝、サンフランシスコ市内にある時間貸しの駐車場に車をとめ、「昼頃戻ってくるよ」と知り合いのアテンダントに言い鍵を預けたのですが、結局駐車場に戻ったのは夕方になりました。そうしたら、そのアテンダントが、「昼頃」と書いてあるチケットの半券を眺めながら「おまえ、トランプみたいだな」と私に皮肉交じりに言いました。大笑いしてしまいました。たしかに私は言っていることとやっていることが食い違っていますね。皆さんは、笑いある生活をされていますか。
カリフォルニア州弁護士コラム「遠く離れていても…」(1)_1121
さて、皆さんからいただいている質問にお答えするのを今回は休ませていただき、最近感じたことを書かせてください。
前にも法律ノートで似たような話を書いたいと思います。別の、ある日本人女性の話です。東海岸の富豪の三度目の結婚相手の方です。未だに東海岸にお住まいですが、男性はすでに死亡しています。婚前契約があるようで、婚姻前の財産は別々の所有ということが前提での結婚だったようですが、それなりに財産を残され、女性は悠悠自適に過ごされていました。お子さんはいません。女性には実子がいないので、彼女の兄弟の子供たちをかわいがってきました。「姪っ子」、「甥っ子」ということです。甥姪は、彼女のことが好きで、何度も日本から東海岸に遊びに行きました。家族ですので、距離があろうと、甘えられます。月日は経ちました。甥姪も、歳を重ね、家族や仕事で忙しくなりました。この東海岸の女性も歳を取りました。夫と死別して、一人暮らしとなりました。
アメリカで一人暮らす老齢の叔母の遺言や信託が日本の甥と姪に
私が、彼女の甥姪から相談を受けたとき、彼女はすでに80歳を超えていて、要介護の状況で一人きりで東海岸のマンションに住んでいました。甥姪は全員日本に住み、家族を持ち、仕事に励んでいます。一人暮らしの高齢女性の将来を慮って、甥姪がかなり心配しているのですが、現地に飛んで面倒をみることもなかなか難しい現状があります。
甥姪の方々は、彼女の弁護士という男性から、多くの書類を受け取りました。遺言や信託に関しての書類です。「トラスト」なんていっても、日本で最近柳沢慎吾と中井貴一の掛け合いで「信託」って知っている、という程度で、さらに海外であるアメリカのトラストなんて、日本にいる甥姪の方々にはわかりようがありません。遺言とトラストのどちらの方が優先するのか、ということもなかなか理解することは容易ではありません。もちろん、法律ノートの長年の読者はある程度理解されていると信じていますが。
私もカリフォルニア州ではなく、他州の案件なので、そこまで詳細な法律を知り得ていませんが、もちろん似たり寄ったりなので、だいたい見当はつくものです。甥姪の方から、女性の弁護士が作成したという書類について見せていただくと、いつも私が目にしているトラストの書類、遺言の書類などでした。
弁護士らに10万ドルずつの死後信託?
ところが、ある一つの書類を見て、私の手が止まりました。2015年に作成されたという「信託変更」のための書類です。もともとの信託を確認すると、彼女は実子がいないので、自分の財産を身近で世話してくれている友人や、甥姪に死後信託する(つまり、「あげる」こと)と記述していました。しかし、2015年の「信託変更」をみると、この「彼女の弁護士」と名乗る男に10万ドル、そして、ファイナンシャル・プランナーに10万ドルをそれぞれ死後信託(つまり「あげる」こと)すると書いてあるのです。
私は、この弁護士とファイナンシャルプランナーについて、知っているか甥姪に聞いてみたところ、「知らない」し、この女性もあまり「信用していない」と言っていたようです。そうすると、益々キナ臭い感じがします。
耳も遠く、認知症もひどくなっている叔母
この女性は、親族もなく一人きりで東海岸で居住しています。ここ数年、認知症もひどくなってきています。日本にいる甥姪もなんとか話をしようと、電話や、インターネットの通信技術を駆使しますが、なにせ女性は耳が遠い。
現地では、自分を受益者としている弁護士とファイナンシャル・プランナーが取り巻いて、法律的には「守ってあげている」形をとっています。一方で、甥姪は現地に飛んで、女性の面倒はみられない現実があります。次回続けていきたいと思います。
カリフォルニア州の火事はとどまるところを知りません。人びとはこの状況を「ニュー・ノーマル」などと言いますが、一体この夏はどうなるのでしょうか。また、来週まで異常な天候を気にしつつがんばっていきましょうね。
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